インドカレーの食器はなぜ「ステンレス」なのか:意外と知らない宗教的・実利的なワケ

完全無料 口コミアカデミー 「インバウンドの教科書」出ました! 国別・都道府県別データ・トレンドをカバー 見てみる

近年、インセンティブ旅行を中心に訪日旅行のニーズが高まっているインバウンドのインド市場では、独自の文化や宗教による考え方が浸透しています。

インドカレーのお皿がステンレス製であったり、右手のみで食事をしたりする点もその一部です。今回は、食器からわかるインドの食文化や慣習について紹介します。インド人の間で親しまれている食習慣や文化的背景を理解し、インド人観光客の受け入れ体制の整備に役立てましょう。

インバウンド対策にお困りですか?
「訪日ラボ」のインバウンドに精通したコンサルタントが、インバウンドの集客や受け入れ整備のご相談に対応します!
訪日ラボに相談してみる

インバウンドの最新情報をお届け!訪日ラボのメールマガジンに登録する(無料)

インドカレーのお皿がステンレス製のワケ

日本でも、インド料理レストランに行くと、カレーのお皿が陶器ではなくステンレス製であることが多いことがわかります。その背景として、実はインドにおける宗教的概念やインドカレーならではの特徴が影響しているといいます。

ヒンドゥー教の概念「不浄」

インドでは、人口の約8割がヒンドゥー教徒といわれており、彼らはヒンドゥー教の基本的な概念である「浄、不浄」を日頃から重んじています。ヒンドゥー教の法典の1つ「マヌ法典」で規定されている概念で、日本人にもわかる汚物のようなモノだけでなく、血液なども不浄として規定されています。

そのため、食器が汚れることを避けるために、インドではステンレス製のお皿が使われるようになりました。南インドでは、バナナリーフを使用しているケースも多く見受けられます。

インド西部のコルカタや南部のケララなどでは、チャイという紅茶の一種を飲む際に素焼きのコップを使用しますが、チャイを飲み終わったらその都度投げ捨ててしまいます。これはまさに、人が使ったモノは不浄という、ヒンドゥー教の基本的概念の現れです。

現代もなおステンレスが利用されるのはスパイスの色移り防止

インドカレーのお皿にステンレスが使用される理由として、スパイスの色移り防止も挙げられます。インドカレーにはさまざまなスパイスを多用するため、白いお皿の場合、赤やオレンジなどのスパイスの色が沈着してしまうことがあります。

一方で、ステンレス製のお皿を使用すれば色移りすることなく、油汚れなども落としやすいため、現在も日常的に使用されるようになりました。

また、ステンレス製のお皿のメリットとして、壊れにくさも挙げられますが、インドではカレーを手で食べる習慣があることから、冷めやすさの観点からも重宝されているといえます。

【訪日ラボ監修/無料】インバウンド対策を始めるなら「インバウンドの教科書」にお任せ


食器からわかるインド文化

インドでステンレス製のお皿が多用される背景として、インドならではの文化が影響しています。ここでは、食器からわかるインドの食文化と食習慣について解説します。

一番多く食べるのはカレー

インド料理は、基本的にさまざまなスパイスを使用し味付けをするのが特徴です。インドではカレーだけでなく、クミンやターメリック(ウコン)、コショウなどの香辛料を使用して作るスープや煮込み料理、油で炒めたおかずも、日常的に食べられています。

また、日本で関東と関西で出汁の味が変わるように、インドも北と南で使われるスパイスが異なります。

北インドでは、一般的にガラムマサラと呼ばれる香辛料を使用し、「タンドゥール」というつぼ形の釜でタンドリーチキンやナンなどを作ります。南インドでは、よりスパイシーな料理が好まれ、ココナッツミルクで風味をまろやかにする料理が主流です。

東インドのベンガル地方では、よくパンチフォロンという配合調味料を使用します。熱した油にパンチフォロンを入れ、香りを出してから野菜や魚を調理すると、さっぱりした上品な味に仕上がり人々に親しまれています。

かつてポルトガルの植民地であった西インドのゴア州では、豚肉や魚を使用した煮込み料理といった、ポルトガルの食文化の影響を受けた料理も残っています。

このようにインドでは、カレーを中心にさまざまなスパイスを使用した料理が浸透しており、日本や中国などと同じように、地域によって異なる食文化を持っている点が特徴的です。

右手だけでごはんを食べる

インド人は手を使って食事をするというイメージは日本でも浸透していますが、実は右手のみを使うことがルールとなっています。最近では都市部を中心にナイフとフォークを使う場面も増えましたが、宗教的なお祭りなどでは現在も手で食べるのが主流です。

右手のみを使って食べる理由は、ヒンドゥー教の教えで浄を扱う手と不浄を扱う手が決まっており、不浄である左手で食事をすることは教えに反するからです。

また、自然のものを使用することを推奨しているため、南インドを中心にバナナの葉っぱをお皿代わりにすることもあります。

食文化から国の習慣を知ることで理解につながる

インドでステンレス製のお皿を使う理由として、ヒンドゥー教の不浄の概念やスパイスの色移り防止があるなどといったことから、インドならではの宗教事情や食文化を知ることができます。

インドといえばカレーのイメージが強いなか、地方によって使用するスパイスや親しまれる料理が異なるということを知っていれば、インド人の食の好みも出身地によって異なることが想像できるでしょう。

また食事は浄を扱う手である右手のみですることから、訪日旅行で訪れたインド人と握手をするときも右手を差し出すようにするなど、インドならではの習慣に配慮した対応が可能となります。

食文化をきっかけにその国の習慣や宗教事情などを理解し、インバウンド市場別に適切なおもてなしを心がけることで、インバウンドの満足度向上やリピーターの獲得にも繋がるでしょう。

インバウンド対策にお困りですか?
「訪日ラボ」のインバウンドに精通したコンサルタントが、インバウンドの集客や受け入れ整備のご相談に対応します!
訪日ラボに相談してみる

<参照>

・外務省:インド

・国土交通省:6. ヒンドゥー教

訪日ラボ 最新版インバウンド情報まとめ

訪日ラボおすすめの記事をご紹介します。

永山卓也氏・mov共著『Googleビジネスプロフィールですごい集客力を手に入れる』8月5日発売


訪日ラボを運営する株式会社movは、株式会社ユニットティ 代表取締役で、日本初のGoogle ビジネスプロフィール ダイアモンドプロダクトエキスパートとしても活躍する永山 卓也氏とともに、Googleビジネスプロフィール専門の解説書『Googleビジネスプロフィールですごい集客力を手に入れる』を青春出版社より8月5日から発売いたします。

本書は、小売・飲食・宿泊業、観光業のマーケティング、マネジメント支援を中心に豊富な支援実績を持つ永山氏、そして口コミ対策・ローカルSEO(MEO)、インバウンド領域に知見を持つmovがタッグを組み、Googleビジネスプロフィールに関わる店舗集客施策を解説したものです。

全国の書店及びAmazonなどのオンライン書店、電子書籍での販売を予定しております。事前予約については以下のページをご確認ください。
https://amzn.asia/d/06xjqsYU

詳しくはこちらをご覧ください。
永山卓也氏・mov共著『Googleビジネスプロフィールですごい集客力を手に入れる』8月5日発売


【インバウンド情報まとめ 2024年7月前編】「もう一度行きたい国」日本が1位に、その背景は? 他


訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月発行しています。

この記事では、主に7月前半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。

最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください!

本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。

最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。

口コミアカデミーにご登録いただくと、レポートの全容を無料にてご覧いただけます。

詳しくはこちらをご覧ください。

「もう一度行きたい国」日本が1位に、その背景は? / 4月の国別宿泊者数 中国が再び1位に【インバウンドまとめ 2024年7月前編】

今こそインバウンドを基礎から学び直す!ここでしか読めない「インバウンドの教科書」

スマホ最適化で、通勤途中や仕込みの合間など、いつでもどこでも完全無料で学べるオンラインスクール「口コミアカデミー」では、訪日ラボがまとめた「インバウンドの教科書」を公開しています。

「インバウンドの教科書」では、国別・都道府県別のデータや、インバウンドの基礎を学びなおせる充実のカリキュラムを用意しています!その他、インバウンド対策で欠かせない中国最大の口コミサイト「大衆点評」の徹底解説や、近年注目をあつめる「Google Map」を活用した集客方法など専門家の監修つきの信頼性の高い役立つコンテンツが盛りだくさん!

→ 【無料】「インバウンドの教科書」を見てみる

完全無料 口コミアカデミー 「インバウンドの教科書」出ました! 国別・都道府県別データ・トレンドをカバー 見てみる

関連インバウンド記事

 

役にたったら
いいね!してください

この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

訪日外国人観光客インバウンド需要情報を配信するインバウンド総合ニュースサイト「訪日ラボ」。インバウンド担当者・訪日マーケティング担当者向けに政府や観光庁が発表する統計のわかりやすいまとめやインバウンド事業に取り組む企業の事例、外国人旅行客がよく行く観光地などを配信しています!

プロモーションのご相談や店舗の集客力アップに