「コロナ収束後の友人・家族の再会」需要を掴めるか:渡航制限解除後の「VFR」向けの対策とは

新型コロナウイルス感染拡大はいまだ収束のめどが立たず、訪日外国人観光客の渡航制限は続いています。しかし渡航制限が解除されたとしても、訪日外客数がすぐに2019年並みの水準に戻るわけではないでしょう。

渡航制限解除後のインバウンド需要が戻る順番を展望した時、まずはじめに戻るのが個人旅行(FIT)、特に「VFR」と呼ばれる「友人・親族訪問を目的とした旅行」の戻りが早いとされています。

本記事では、今後のインバウンド対策を検討する上で注目されるVFRとはなにか、そしてVFRの需要を掴むために必要な対策を整理します。

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会えなかった人に会うために。コロナ後の観光で注目されるVFR

VFRとは「Visiting Friends and Relatives」の略で、「友人・親族訪問を目的とした旅行」を意味します。

国内旅行における実家への帰省や、海外旅行であれば、海外在住の友人や家族に会いに行くケースなどが挙げられます。

2019年の訪日外国人消費動向調査によると、訪日目的の中でVFRが占める割合は全体の約5%ほどと、まだまだ誘致が進んでいないのが現状です。

その一方、イギリスとオーストラリアは日本と同じく入国ルートが空路と海路がメインの国でありながら、VFRが渡航目的全体の20〜30%を占めるなど、状況は日本とは大きく異なります。

観光・レジャー需要は季節要因やイベントリスクに大きく左右される特性を持ちます。その一方で、VFRは季節要因やイベントリスクにあまり左右されない特性を持つため、安定した訪日外国人旅行客を獲得する上で、VFRの誘致は重要といえるでしょう。

そして、VFRはアフターコロナの観光需要の戻りの早さについても、そのポテンシャルを示唆する調査結果が出ています。

JTBとJTB総合研究所がまとめた「新型コロナウイルス感染拡大による暮らしや心の変化および旅行再開に向けての意識調査」によると、外出自粛や渡航制限解除後にしたいこととして、「国内旅行」(40.9%)、「外食」(40.5%)に次いで「友人・知人に会う」(39.1%)が上位に挙がっています。

加えて、すぐに行きたい旅行や外出についても、「友人・知人訪問」(24.4%)がトップを占めており、VFRを目的とした旅行需要の高さがうかがえます。

最近話題の「VFR=知人・家族訪問」訪日客4,000万人誘致の鍵に?

訪日外国人の旅行目的はまちまちです。観光をしに訪日する人もいれば、出張や研修などビジネス目的で訪日する外国人もいます。中には日本で働いでいる、もしくは勉強している知人や親族に会うことを目的に訪日している外国人も存在しています。こうした人たちは、旅行業界ではVFRと呼ばれています。インバウンド対策にお困りですか?「訪日ラボ」のインバウンドに精通したコンサルタントが、インバウンドの集客や受け入れ整備のご相談に対応します!訪日ラボに相談してみる目次VFRとは?:Visiting Friends ...


VFRの鍵を握る「在留外国人」は近年増加中

VFRを目的とした訪日観光客を増やすためには「在留外国人」が重要なカギとなります。

法務省の発表によれば、2019年末の在留外国人数は293万3,173人で、過去最高を記録しています。

国別では中国、韓国、ベトナムの順に多く、特にベトナムが前年対比24.5%増、インドネシアが同18.7%増と顕著な増加を示しています。

JNTO(日本政府観光局)も、10月19日から在留外国人向けSNS投稿促進キャンペーンを実施するなど、在留外国人への情報拡散を後押ししています。

JNTO、「在留外国人」向けSNS投稿促進キャンペーン開始:海外への情報拡散狙い

10月12日、JNTO(日本政府観光局)は「在留外国人」向けのSNS投稿促進キャンペーン「My own personal Japanキャンペーン」を10月19日より実施することを発表しました。このキャンペーンは、インバウンド回帰を見据えた訪日意欲喚起の取り組みであると考えられています。目次JNTO、在留外国人向け「My own personal Japanキャンペーン」開始JNTO、在留外国人向け「My own personal Japanキャンペーン」開始JNTOが期間限定で実施する「M...


VFRの消費特性:宿泊消費は控えめ、食事に多く消費する傾向

VFRの消費特性として、一般的にゲスト側の人は、ホストの家に泊まることが多いため、宿泊にはあまりお金を使わない傾向があるといわれています。

しかし、ホスト側が留学生などの若い独身世代で、ゲスト側がその両親であるようなケースは、ゲスト側は新たに宿泊施設を利用する傾向が高くなります。

2019年12月末の出入国在留管理庁の発表によると、約293万人の日本の在留外国人のうち、留学生と技能実習生を合計すると80万人以上いることがわかります。

留学生、技能実習生のいずれも増加傾向にあるため、ゲスト側が宿泊施設の利用を含めた多くの消費をするVFRの形も増加傾向にあるといえるでしょう。

その他の特徴として、ホスト側はゲストをもてなすために、食事やお土産などを購入するための消費額が増える傾向があります。

VFRの場合、訪日外国人と在留外国人が伴って行動することが考えられるため、その分の消費額の増加が期待できます。同時に、こうした友人グループ、親族のグループを想定したインバウンド対策も必要となります。

VFRとは

VFRとは、「在日している友人や家族に会いに行く」という目的を持った訪日外国人のことです。VFRは、滞在中の消費が多い、リピート率が高いという理由からインバウンド市場の中でも重要な存在を占めてきています。そこでこの記事では、VFRとは何か、VFRの可能性、VFRの課題や対策について解説します。インバウンド対策にお困りですか?「訪日ラボ」のインバウンドに精通したコンサルタントが、インバウンドの集客や受け入れ整備のご相談に対応します!訪日ラボに相談してみる目次VFRとは?友人や家族のもとを訪れ...


VFR需要を獲得するためにできること

ここまでVFRとは何か、そして今後VFRが注目される理由について解説してきました。

ここからは、VFR需要を獲得するために何ができるか、考察していきます。

在留外国人の情報発信の促進

インバウンド事業者としては、渡航制限期間中である現段階は、まずは在留外国人の観光を誘致することが重要といえます。

在留外国人の間での認知度を高め、彼らのネットワークを通じて現地の知人・友人に伝えてもらうことで、渡航制限解除後にVFRによる訪日客を増やすという流れが重要になります。

人的つながりによる情報拡散を強化するためには、ツイッターなどSNSなどを活用したプロモーションは有効な手段のひとつとなり得ます。

JNTOも在留外国人向けのSNS投稿促進キャンペーン「My own personal Japanキャンペーン」を開始しており、在留外国人の情報発信力に注目が集まっています。

JNTO、「在留外国人」向けSNS投稿促進キャンペーン開始:海外への情報拡散狙い

10月12日、JNTO(日本政府観光局)は「在留外国人」向けのSNS投稿促進キャンペーン「My own personal Japanキャンペーン」を10月19日より実施することを発表しました。このキャンペーンは、インバウンド回帰を見据えた訪日意欲喚起の取り組みであると考えられています。目次JNTO、在留外国人向け「My own personal Japanキャンペーン」開始JNTO、在留外国人向け「My own personal Japanキャンペーン」開始JNTOが期間限定で実施する「M...


飲食店は適切な情報発信と受け入れ環境整備が必要

VFRの需要を支える重要な要素の一つである飲食店もまた、適切な情報発信と受け入れ環境の整備が必要です。

まずこれまでに来店している訪日客の出身国を把握し、国ごとにきめ細かな対策を考えていく必要があります。国によって食文化は異なるため、必要に応じてベジタリアンや、ハラルへの対応を進めていく必要もあるでしょう。

また、メニューの多言語対応も重要です。料理のイメージや量が伝わりやすいような、写真付きの翻訳メニューがあると良いでしょう。

「無理、無駄、ムラ」を解決すれば、ハラールやベジタリアン対応も「スタンダード」に!国際化で避けられないフードダイバーシティ対応

食の多様化対策について支援するフードダイバーシティ株式会社の守護です。ハラール、ベジタリアン、ヴィーガンで数多く成功事例が積み上がってきた昨今。しかしまだまだ全国で講演させてもらう中で「手間がかかるから対応できません」という声も多くいただきます。もちろん人材不足が加速する中で、現状に加えて新しいオペレーションを組み込むことが難しいのは私もよく理解しているつもりです。そのなかで「手間がかかるから対応する」という声も最近とても増えてきました。それは一体どういうことなのでしょうか。今日はこちらに...

そして外国人への認知を伸ばしていくためには、訪日客が目にするグルメサイトに掲載されることも重要になります。

外国人旅行客に多く閲覧されているグルメサイトとしては、グルメサイト「ヒトサラ」の外国人向けサイト「SOVOR JAPAN」、中国向けの主要なサイトとして挙げられる大衆点評「馬蜂窩(マーファンウォー)」、アメリカ発の世界最大級口コミサイト「Yelp」などがあります。

また、日本で有名な「食べログ」や「ぐるなび」でも多言語対応が進められています。

【事例アリ】大衆点評とは

2018年、訪日外国人観光客が史上初の3,000万人を突破しました。そのうち約3割が中国からの観光客です。2019年1月には訪日中国人に対するビザ発給要件の緩和が行われ、今年はさらに加速して中国人観光客が増加するとも見られています。中国では年初の新EC法の施行や、「理性的な消費」といったスローガンの広まり、富裕層におけるオリジナルな旅行体験への需要の高まりなど、様々な環境とトレンドの変化が現れています。特に新EC法による転売目的の商品購入が減少することも考えられ、今後ますます「コト消費」で...

実際に来店してもらうことに成功したら、来店時の満足度を高めてリピーターを増やし、口コミでさらなる集客アップを目指すことが重要です。

客が思わずSNS上で投稿したくなるような、見栄えの良い盛り付けやユニークなメニューを考案することも効果的でしょう。

その他、店舗向けの集客は多種多様な戦略が求められます。店舗向けの集客ノウハウに関しては、姉妹メディアである「口コミラボ」もご参考ください。

口コミを増やすコツは?質の高い口コミを増やすテクニックも紹介

購入する商品や食事の場所を選ぶとき、情報量が十分にあれば新規顧客の獲得や顧客満足度の上昇につながります。中でもユーザーが重視しているのが「口コミ」です。口コミは商品やサービス、店舗に対する評価でもあります。この記事では、口コミを増やす仕組みや質の高い口コミを増やす方法をご紹介します。なぜ口コミが重要なのか口コミは、実際に店舗を利用した人の感想や体験談を知る方法として多くのユーザーが活用しています。口コミ評価の良し悪しは、店舗の予約や商品購入に直結します。ユーザーは、実際に商品やサービスを利...

家族で楽しめるコンテンツの造成

VFRではホストが家族や知人などのゲストをもてなすことが多いことから、家族やグループで楽しめるコンテンツを造成することも重要です。

例えば飲食店ならば、ホストが訪日客のゲストの歓待に利用したくなるような、大人数で日本の伝統的な料理を楽しめるコースやお得なプランを用意するのも効果的でしょう。

テーマパークやイベントであれば、グループで記念写真ができる撮影スポットを用意することで、SNS投稿など人的つながりによる情報拡散の強化も期待できます。

感染症予防の意識の高まりから、アウトドアなど屋外でのアクティビティの人気が継続することも考えられるため、日本の自然を楽しめるグループツアーなども商機があるかもしれません。

多言語対応のホームページや、通訳ガイドを用意するなどの配慮を行うことで、より安心して利用してもらうことができるでしょう。

次なる狙いは「子連れインバウンド」世界の家族を関西好きに たおやかカンパニーの代表が「LED関西」のファイナリストに選出

目次子連れインバウンド観光事業を展開 ビジネスプランの発表へ世界の家族が関西好きに 地域の人との交流を織り交ぜた体験も子連れインバウンド観光事業を展開 ビジネスプランの発表へ「京都のおかん」が立ち上げた、海外からの子連れ旅行客に特化したツアー&体験プログラム「Family Experience Japan」を提供する株式会社たおやかカンパニーは2018年12月31日、代表の赤坂美保氏が「LED関西」のファイナリストに選出されたと発表しました。「LED関西」は、経済産業省の女性起業家応援プロ...


VFRでコロナ後の新たな需要を掘り起こす

知人・友人に会うための旅行「VFR」は、コロナ後の旅行需要をけん引する可能性があり、注目が高まっています。

いち早くVFRに着目したインバウンド施策を整えておくことで、コロナ後に訪日客が戻り始めるときに、VFR需要のチャンスを捉えることができるでしょう。

また、VFRに限らず全ての訪日外国人の誘致に共通していえることでもありますが、「安全・安心」の実現とPRは必須といえます。

VFRは、まだ日本では一般的な観光やビジネスに比べると誘致が進んでいないからこそ、VFRの訪日客やホストにとって魅力的なサービスを打ち出すことで、新たな需要を掘り起こすことができるでしょう。

観光4大要素に追加すべき「安全・安心」とは?インバウンド復活を成功させる「2つの新条件」

日本国内において新型コロナウイルスの第二波が懸念されている中、政府は入国制限の緩和に慎重な姿勢を示しています。観光目的の渡航に対する制限はもちろんのこと、ビジネス目的でも緩和の合意に至ったのはベトナム一国のみとなっています。6月17日に日本政府観光局(JNTO)が発表した統計によれば、4月の訪日外国人の数は、前年同月と比べて 99.9%減という衝撃的な減少幅を記録しましたが、これが新型コロナウイルスの流行以前まで回復するにはどのくらいかかるのでしょうか。IATA(国際航空運送協会)は、国際...


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<参照>

法務省:令和元年末現在における在留外国人数について

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

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