従来は独身者が集まってパーティーが催されていた日でしたが、現在では中国の最大のEC商戦として注目されています。
また、越境ECにおける国・地域別流通総額ランキングで日本が4年連続1位を獲得したなど、日本商品の人気の高さが伺えます。
2020年は新型コロナウイルス流行の影響で巣ごもり需要が活発し、EC利用の増加とライブコマースの定着で、昨年の盛況ぶりをさらに上回ることが予想されています。
本記事では、独身の日の基礎知識や2019年までのセールの様子、2020年の動向について整理します。
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中国の「独身の日」とは?
中国では毎年11月11日を「独身の日」として言われています。「ダブルイレブン」や「光棍節(光棍とは中国語で独身の意味です)」とも呼ばれています。
独身の日は南京大学の学生たちによって考案されたと言われており、その日に独身の若者たちが集まってパーティーを開いたり、プレゼントを送り合ったり、結婚相手を探したりする様々なイベントが行われています。
独身の日が1年で最大のEC商戦日となった理由
そのきっかけは、2009年に中国の大手EC企業アリババグループ(以下、アリババ)がECサイト「淘宝商城」(2012年に天猫(Tmall)に改名)で開催した大規模のECセールにあります。
その売れ行きが予想を上回ったことから、以降、アリババを筆頭に各大手ECサイトがセールイベントを開催し、次第に中国で最大のEC商戦日となりました。
また、独身の日のセールイベントはECサイトでのみならず、百貨店やスーパーマーケットなどの実店舗でも行われています。
これまでの独身の日セール
独身の日のECセールの取引額は、年々最高記録を更新しています。中国本土の企業のみならず、中国人消費者をターゲットにしている世界の企業からも多大な関心を寄せられています。
ここでは、2019年までの独身の日セールの様子を振り返ります。
年々取引額が増加し続ける独身の日セール
アリババが運営している天猫(Tmall)では、2009年に独身の日セール開始当初は取引金額が0.52億元(約8.3億円)だったものの、2017年に開始当時の3,200倍の1,682億元(約2兆6,726億円)を達成しました。
2018年には開始から2分5秒で取引額が100億元(約1,588億円)を超え、最終的にセール終了時点で、総取引額が2,135億元(約3兆3,909億円)を記録しています。
2019年はわずか1分36秒で100億元(約1,588億円)の取引額を達成したのち、1時間3分59秒で1,000億元(約1兆5,882億円)突破するなど、2018年よりも速いペースで数字を伸ばしました。最終的に11月11日の総取引額は2,684億元(約4兆1,602億円)と、過去最高の売上を達成しています。
独身の日セールでの日本ブランドの人気
日本のブランドは高品質で安心というイメージがあることから中国で人気を博しており、独身の日においてもよく売れています。
アリババの発表によると、2016年から2019年まで越境ECにおける地域別流通総額ランクで、日本が4年連続1位を獲得しました。
2019年の独身の日に、1日で1億元(約15.9億円)以上を売り上げた299店舗のうち、資生堂やユニクロ、花王、東芝など日本企業21社がランクインしました。
商品カテゴリー別で見ると、日本商品のうち化粧品、美容用品、家電がもっとも人気を集めています。
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2020年の独身の日セールはどうなる?
2019年まで大きな賑わいを見せていた独身の日のセールですが、新型コロナウイルスの流行で消費行動変容が生じているなか、2020年の独身の日のセールがどのように変化するのでしょうか。
コロナ禍でECの需要の高まり
新型コロナウイルスの流行による「巣ごもり」がオンライン消費の成長に拍車をかけ、中国ではECの利用が増加しています。
アリババの2020年4〜6月期の決算発表によると、天猫(Tmall)においては、現物商品の取引によるGMV(流通取引総額)は前年同期比27%増で、特に一般消費財、家庭用品、家電の成長が著しいことがわかります。
またコロナ禍で海外渡航が制限されている中、中国人消費者の越境ECに対する需要も高まっています。
同社の決算によれば、2020年4〜6月期の越境ECサイト「天猫国際」のGMVは前年同期比で40%超えの増加となりました。
このように巣ごもり需要などでEC利用が増加していることから、2020年の独身の日はこれまで以上にオンライン消費が活発になると予測されます。
ライブコマースの定着
ライブコマースとは文字通り「ライブ動画」と「EC」を組み合わせたものであり、ライブ配信の視聴者はリアルタイムで商品を紹介する配信者に質問したりするコミュニケーションを取りながら、買い物ができます。
中国ではライブコマースの市場規模が年々拡大しており、独身の日にライブコマースで商品を購入する人も多くいます。
アリババが2019年の独身の日セールで達成した総取引額2,684億元(約4兆1,602億円)のうち、200億元(約3,187億円)近くが同社のライブコマースプラットフォーム「タオバオライブ」を経由しました。
さらに新型コロナウイルスの流行で対面での商品販売が難しいため、ライブコマースが一層拡大・定着し、今年の独身の日ではライブコマースが主戦場となることが予想されます。
実際、2020年独身の日の予約販売初日である10月21日に、午前0時からの10分間でタオバオライブでの取引額が去年の予約販売初日の丸1日分を超え、最終的に4倍の取引額に達しました。
同日、タオバオライブの2大トップライバーと呼ばれる「薇娅(viya)」と「李佳琦(Austin)」がそれぞれ8時間のライブ配信を行いました。二人のライブ配信を視聴した人数は延べ3億人に達し、合計70億元(約1,100億円)を売り上げました。
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2020年は10月下旬から商品予約を開始、セール日は4日間に
2020年の独身の日は例年と異なり、アリババはコロナ禍で打撃を受けた企業を支援するために、独身の日のセール期間を拡大し、11月1日〜3日と11月11日の2回に分けて開催します。予約販売の受付は10月21日からスタートしています。
そのため、今年の独身の日セールは合計4日間となり、セールに参加する企業の数やセールの利用者数も例年を上回ると予想されます。
また、アリババは中国人消費者の海外製品に対する需要の増加に対応するため、越境ECにおいて89か国・地域から2,600以上の新ブランドの新商品を提供すると発表しました。
中国最大のECセールの日「独身の日」
中国国民的イベントとなった独身の日のセールは年々と取引額を更新しており、独身の日のセールに商機を見出し参入する日本企業も増加しています。
そして新型コロナウイルスの影響を受け、EC需要が伸びているることとライブコマースを活用した販売手法が拡大していることで、2020年の独身の日のセールは去年を上回る盛り上がりになることが予想されます。
中国のEC事業はインバウンドとも深いつながりがあるため、コロナ禍での独身の日の動向をキャッチしつつ、中国人消費者のニーズを掴むプロモーション戦略の磨き上げや商品開発・造成につながるでしょう。
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この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
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