11月11日は中国「独身の日」1分で10億ドル動く巨大セールイベントについて解説

公開日:2020年07月16日

毎年11月11日に中国で行われる独身の日セールは、破格の総売り上げが日本でも報じられ、話題になっています。

本来はセールのための日ではありませんでしたが、中国のIT企業アリババが仕掛けたセールがきっかけとなり、独身という枠を超えて幅広い年代が注目するセールの日になりました。

この記事では「独身の日」の由来、セールの日になった理由や、中国でのEC需要について解説します。


独身の日が中国の最大セールの日になったわけ

本来、独身の人が結婚相手を探したり、ギフトを送りあうための日でしたが、現在では一年で最大規模のセールが行われる日として、多くの人が買い物をする日となりました。

この11月11日の意味が大きく変わった背景には、中国最大級ECを持つIT企業アリババグループによるプロモーションがきっかけだといわれています。

独身の日とは

中国では11月11日を「光棍節(こうけんせつ)」と呼び、独身を祝う日として知られています。「1」が並ぶこの日は、一人やシングルを連想させるため、独身という意味の「光棍」に祝日の意味の「節」がつき、独身の日として大学生らがパーティをしたことが始まりだったといわれています。

公的な祝日として認められていないため休日ではありませんが、別名で「W11(ダブルイレブン)」や「双11」、「シングルデー」と呼ばれるほど、中国国内では浸透しています。

この日はお見合いパーティの開催や独身者へプレゼント贈答するなど、独身者に関連するイベントが多数開催されています。

独身の日 インバウンド用語集

インバウンド用語 独身の日 とは について解説します

独身の日が中国で最大セールの日になった理由

独身の日がセールイベントの日として認識されるようになったきっかけは、2009年に中国最大IT企業の阿里巴巴集団(アリババグループ)が仕掛けたといわれています。

アリババグループは11月11日を「W11」として、独身の人に向けて、「自分へのご褒美や買い物をしましょう」と呼びかけ、運営するネット通販サイト「天猫商城(Tモール)」でセールを開始しました。

このセールは他ECサイト「京東(ジンドン)」などでも取り入れられ、セールの日としての認識が広まりました。現在では毎年売り上げを更新し続け、独身以外の多くの人が注目し、買い物する一大イベントになっています。

販売する商品は日用品から、家や高級品など、普段なら通販であまり取り扱われることのない商品まで多岐にわたっています。

11月11日「独身の日」とは

「独身の日」という言葉を耳にした人は、少なからずいると思います。インバウンド市場の加速により、中国大型連休となる旧正月の「春節」や、イスラム教徒が食べることが許されている「ハラルフード」など、外国の文化要素を理解する機会も増えてきたように感じます。とりわけ、訪日中国人においては、訪日外国人のなかでもトップの割合を占めているため、今後更に中国の文化・風習を深く知る機会も増えていくでしょう。中国EC最大手のアリババグループと資生堂が2019年3月に戦略業務提携を締結したことが発表されました。と...

独身の日を盛り上げているアリババグループのECサイト:天猫(Tmall)

アリババグループが運営する天猫(Tmall)」はテンマオと呼ばれ、中国で圧倒的なシェアを持つECサイトです。2013年に開設し、急激な成長を遂げています。天猫は、中国向けのEC以外に、中国での小売業許可を取得せずに出店、販売ができる越境ECサイト天猫国際(Tmall Global)」も有し、累計流通額は84兆円に達しています。

天猫には、毎月7億人のユーザーが訪れ、越境も含むECサイトでの累計流通額は84兆円に達し、中国国内で最大規模になっています。

中国での越境ECでは、「天猫国際」以外に、網易考拉、海囤全球、唯品国際/VIP、Amazon海外購などありますが、越境EC内でも大きなシェアを獲得しています。

天猫 インバウンド用語集

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2019年の独身の日はどうだった?

2019年に11回目を迎えた独身の日は、過去記録を塗り替え例年以上の盛り上げを見せました。さらに、歌手のテイラースイフトやアジアのセレブなども登場してイベントに華を添え、アリババが提供するライブ配信アプリでは、ライブコマースも行われました。

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2019年の独身の日売り上げ:過去最高の4.2兆円を記録

アリババグループの発表によると、同社は2019年の独身の日開始からわずか1分で10億ドルを売り上げました。その驚異的な売り上げスピードは落ちることなく、開始から17時間たらずで2018年度の同社の流通総額2,135億元を超え、最終的には利用者は昨年より1億人増え5億人、売り上げはグループ全体で2,684億元(約4.2兆円)を達成し、記録を更新しました。

78か国から2万2,000以上のブランドが参加し、ユニクロ、アップル、ダイソン、ギャップなどの84ブランドが、開始からわずか1時間で取扱い高が1億人民元を超えました。

売上高は過去最高となりましたが、伸び率は2018年より27%を下回り、過去一番低い水準となりました。中国経済の低迷に伴い、国内での電子商取引の低迷したことが主な要因であるといわれています。

2019年の独身の日で売れたもの

このセールでは、食品関連に次ぎ、化粧品、おむつなど生活関連の商品が人気となりました。国外ブランドの商品も人気で、日本、アメリカ、韓国、オーストラリア、ドイツのブランドが上位5か国としてあげられました。

コスメ、食品、雑貨など8ジャンルのカテゴリー別売上トップ10社ランキング(合計80社)では、日本の企業から「資生堂」、「花王」、「ムーニー」、「リファ」などの生活・美容関連企業や、食品では「カルビー」、雑貨では時計メーカー「カシオ」などがランクインしました。

また、独身の日のセールには、通常ECでは取り扱われないような商品まで登場し、話題を呼んでいます。

今年度は自動車ブランド「ボルボ」も参加し、数車種を大幅な値下げをして販売しました。他にも国内の人気エリアの住宅などの出品もみられました。

ネットインフルエンサー「KOL」や「網紅(ワンホン)」を活用したLIVE販売がカギに

独身の日に売り上げを得るうえでキーポイントになるのが、インフルエンサーを使用したライブ配信」です。

中国ではネット上で人気のインフルエンサー「網紅(ワンホン)」KOL (Key Opinion Leader)」と呼び、彼らは数十万から数百万のフォロワーを抱えています。彼らのライブで商品を紹介または実際に体験してもらうことで、フォロワーに商品をアピールできます。

ある有名人気インフルエンサーのライブ配信は、230万人が視聴し、そこで紹介された商品は、2時間で43億円を売り上げる結果となりました。

このようにインフルエンサーが多大な影響力を与える理由のひとつとして、中国の「口コミや信頼できる人の意見を参考に買い物する」という傾向があげられます。

このような傾向を受け、Tmall全体では、約90%のブランドがライブ配信を行い、実施店舗数は前年比の200%以上増加しました。

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増加する越境ECの需要

中国では、越境ECの需要が日に日に増し、爆買いを規制する法律ができるなど追い風が吹いています。アリババが所有する越境ECサイト「天猫国際」も出店店舗数をさらに増やすなど、今後の成長計画を発表しました。

ECサイトを利用する中国人の増加

中国インターネット情報センターによると、2018年12月時点でネットショッピング利用者が前年度比約15%増の6億1,000万人に達しました。

スマートフォンを利用してショッピングする人も多く、5億1千万人が携帯端末から注文しており、2019年の独身の日でも、取引の90%が携帯端末から行われています。

さらに、2018年にジェトロ(日本貿易振興機構)が行った調査によると、中国の消費者のうち、越境ECを通して日本製品を購入したことがある人は約7割という結果になっています。その理由として、「中国で店頭未販売だから」「注文から商品到着時間が短い」「偽物ではない」などの回答が多く上げられました。

また、新型コロナウィルスの影響によりEC需要はさらに高まっています。

中国国家統計局によると、2020年1月から4月の小売り売上高は前年比1.7%増加しました。その中でも飲食料品や生活用品が特に売り上げが増加しており、ECサイトでの買い物がより日常化することが予想されます。

中国電子商取引法による影響

2019年1月に施行された「中国電子商取引法(通称 電商法)」別名「爆買い規制法」により、越境EC市場がより活発になりました。

施行前は、「ソーシャルバイヤー」とよばれる個人バイヤーが日本で購入したものを税金を払わずに販売し、利益を得る転売行為が頻繁に行われていました。

しかし、電商法の施行後は、個人バイヤーでも行政許可が必要になり、納税義務が発生します。バイドゥ株式会社が行ったアンケートでは、約7割の転売業者が電商法の施行後、業務を休止すると答えました。

中国政府としては、この法が施行されることにより税収アップを見込んでおり、越境ECルートは今後も拡大する方針を発表しています。

また、電商法の施行は、ブランド側にも大きなメリットがあるといえます。

個人バイヤーが多い中ではブランドイメージや価格のコントロールが難しい状況でしたが、自社の商品を自社のページで販売できるようになったことで、ブランド価値を守りながら、価格をコントロールしやすくなりました。

【中国】新「爆買い規制法」で転売屋の7割が撤退

近年、ディスカウントストアやドラッグストアでは、棚にある商品をごっそり買っていく中国人客の姿をしばしば目にします。彼らの多くは、内外価格差を利用して、日本で安く買い、中国で売りさばく転売業者「ソーシャルバイヤー」です。彼らは、中国国内で人気の「目薬」「熱さまし用シート」「傷薬」「鎮痛剤」など、多くの日本人になじみのある日常薬を爆買いしています。これらの医薬品が人気な理由は「安全でよく効く」という強いイメージがあるためだと言われています。実際、中国国内で製造販売されている医薬品には不信感を抱...

「天猫国際」は2020年中に1,000社の初出店を目指す

アリババ運営の「天猫国際」では、全世界92の国や地域、約2万5,000の海外ブランドが出店しています。このうち8割以上のブランドが、この出店により中国市場への初進出を果たしています。

天猫国際」は、2020年4月に、年内での1,000ブランドの初出店を目標に、国外企業の中国進出を支援すること発表しました。

天猫国際は、この計画の実現に向け、新規出店における申請プロセスの簡素化や、1対1での出店サポートサービスなどを計画し、申請から出店までを30日間で行えるようにする予定です。

さらに、天猫国際では出店ブランドの活動支援を目的に、マーケティング専門のセンターを設立しました。これにより、これまでの消費動向などをまとめたビッグデータを活用してマーケティング施策などを提供し、出店ブランドが90日以内に売上高100万元を獲得できるよう支援することを目標としています。

2020年「独身の日」越境ECのニーズはさらに高まるか

新型コロナウイルスにより、訪日中国人客数は大きく減少となりましたが、越境ECの売り上げは順調に伸びています。

6月頃に行われる、独身の日に次ぐ巨大セール「618」は、中国EC企業第二位の「京東」がスタートさせましたが、アリババを含む大手ECで同様のセールが実施され、今年は各社大幅な売り上げ増を記録しました。

独身の日をはじめとしたこうした巨大セールは、中国市場に自社の商品をアピールし、認知度を向上させるチャンスとなります。

また、越境ECは、訪日せずとも商品を買えるため、新型コロナウイルスの感染拡大により移動の制限が続く今後も、ニーズが高まることが予想されます。

天猫国際は、より多くの海外企業が中国の越境ECに参入できるように様々なサービスを提供しています。

このようなサービスや出展支援を活用し、越境ECにおいて自社の魅力を早い段階で打ち出し認知度を獲得することが、口コミや評判を重視する中国人ユーザーの購買につながる施策といえるでしょう。


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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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