台湾で「日本そっくりスポット」が大混雑…「聖地」への憧れがコロナ禍で加速

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いま台湾では、新型コロナウイルスの影響で海外旅行ができないなか、「行ったつもり」旅行がブームとなっています。

台湾の苗栗県にあるホテル「馥藝金鬱金香酒店」は、Facebookで「県内の観光地だけで世界旅行が楽しめる」といった投稿をし、大きな反響を呼びました。

今回は、台湾の「行ったつもり」旅行ブームについて、FacebookやInstagramにおける反響を紹介し、ブームが起きた背景や今後のインバウンド対策の展望について解説します。

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「行ったつもり」旅行がブーム?

台湾の苗栗県にあるホテル「馥藝金鬱金香酒店」は3月18日、Facebookで「県内の観光地だけで世界旅行が楽しめる」という投稿をし、4,564いいね!を獲得したほか、シェア数も3,503を記録し、大きな反響を集めました。

具体的には、ニュージーランドや日本、韓国などの有名観光スポットを連想するような、台湾苗栗県のスポットを画像とともに投稿しています。

現在は、新型コロナウイルスの世界的な感染流行を受け、台湾からニュージーランドや日本、韓国など、世界各国の有名観光スポットを訪れることはできませんが、苗栗県でもこれらのスポットを訪れている気分になれる場所があると紹介しました。

ニュージーランドにある、映画『ロード・オブ・ザ・リング』のロケ地「ホビトン」にそっくりのスポットとして、苗栗県の「哈比丘莊園」という場所を紹介しています。

苗栗「哈比丘莊園」に関するFacebook投稿
▲[ニュージーランド「ホビトン(映画・ロード・オブ・ザ・リングの映画ロケ地)」]:訪日ラボ編集部

日本でアニメ『スラムダンク』の聖地と呼ばれる「鎌倉高校駅前踏切」に似ているスポットとして、苗栗県の新埔「台61線 新埔交流道」を投稿した際には、863ものいいねを獲得しています。

台湾は訪日旅行のリピーターや日本ファンが多いため、特に大きな注目を集めたと考えられるでしょう。

苗栗・新埔「台61線 新埔交流道」に関するFacebook投稿
▲[鎌倉高校前踏切(アニメ・スラムダンクの聖地)]:訪日ラボ編集部

また韓国のチェジュ島にあるフォトジェニックな「みかん農園」を再現したスポットとしては、苗栗県の「橙香森林」を紹介しています。

それぞれのコンテンツを紹介

屋外の観光施設と女性
▲Instagram投稿:編集部スクリーンショット

Instagram:投稿(https://www.instagram.com/p/CD3zsfgHSrh/)

鎌倉高校駅前踏切は、新型コロナウイルスの流行前は、台湾人をはじめ、世界中のスラムダンクファンが足を運んでいた人気スポットです。

いま台湾では、鎌倉高校駅前踏切の先に広がる海の景色を再現したスポットとして、「台61線 新埔交流道」が注目を集めています。

空と海と道
▲Instagram投稿:編集部スクリーンショット

Instagram:投稿(https://www.instagram.com/p/CFcY-YHFU0n/)

韓国のチェジュ島にある「みかん農園」を再現した苗栗県の「橙香森林」を訪れた人は、「チェジュ島にいるような写真をとることができなかったが、私が可愛く映れば大丈夫❤️」というキャプションとともに、フォトジェニックな画像を投稿しました。

投稿には1,000を超えるいいね!がついており、いまや台湾で話題のフォトジェニックスポットとなっていることがうかがえます。

みかんの前で楽しそうな女性
▲Instagram投稿:編集部スクリーンショット

Instagram:投稿(https://www.instagram.com/p/B9YcEHXjkHK/)


海外旅行に行けない中、海外への「憧れ」が顕在化

台湾で「行ったつもり」旅行ブームが起きている背景として、新型コロナウイルス流行下における人々の国内旅行欲を旅行事業者がうまくくみ取り、国内旅行客獲得に向けたプロモーションなどに活用していることが考えられます。

台湾でも、新型コロナウイルスの影響で海外旅行に行けない状態が続いていることから、日本をはじめ、人気の海外旅行先に行きたい気持ちが人々の間で高まっている状況です。

現在台湾域内では新型コロナウイルスの封じ込めに成功したといわれており、海外旅行ができない代わりに国内旅行のニーズが拡大しています。

台湾、国内旅行市場が3倍に:「防疫大国」から「観光大国」に向かう4つのトレンドとは

新型コロナウイルスの流行拡大で2020年訪日外客数が激減しており、6月16日に発表された観光白書には、訪日外国人客を2020年に4,000万人にするという政府の数値目標の記載がなくなりました。インバウンド産業を取り巻く環境が激変しているのは日本のみならず、日本にとって近い存在である台湾も同じ状況に直面しています。台湾政府が、新型コロナウイルスによるインバウンド市場の縮小を考慮し、2025年の訪台旅行客の目標値を1,600万人から1,300万人に下方修正し、観光業の生産額も1.2兆元(約4兆...


旅行事業者は、このような人々の旅行意欲を捉え、台湾でも海外旅行気分が味わえる体験やスポットのプロモーションなどを行っていることから、「行ったつもり」旅行ブームを引き起こしたと考えられるでしょう。

今年の夏には、台湾の宿泊・旅行事業者や航空会社が、海外旅行に行きたい旅行者の心理をついた「偽出国」「微出国」という、空港で海外旅行へ出発するときの体験ができる旅行プランを打ち出し、話題になりました。

世界的には依然として新型コロナウイルスの収束の目処が立っておらず、海外旅行を再開できる見通しも立たないため、台湾では引き続き「行ったつもり」旅行で海外旅行気分を味わおうとする様子がうかがえます。

台湾人が熱をあげる「微出国」「偽出国」とは?つのる日本旅行への想いを受け止める様々なプランが出現

新型コロナの世界的な感染拡大から、海外旅行へ自由に出かけられなくなった今、2019年の訪日観光客数第3位と親日度が高い台湾では、画期的なプランが登場しています。日本へ旅行に行けない代わりに、台湾域内で日本旅行気分をあじわえるホテルプランが話題です。今回は、今台湾で注目されている「微出国」「偽出国」というホットワードをふまえ、ウィズコロナ時代の台湾人の訪日意欲について解説します。関連記事「台湾で最も予約困難」星のやグーグァン目次台湾国内で日本旅行気分を満喫できるホテルプランとは台湾人の外国旅...


コロナ禍にユーモアを取り入れた広告が話題に

日本でも、コロナ禍の雰囲気を意識しつつユーモアを交えた広告が話題となっています。

サンリオピューロランドは新型コロナウイルスの影響により臨時休館をしていた今年3月、公式YouTubeチャンネルにてある動画を投稿しました。

館内の電球を全てLEDに変えることや、新しい食事メニューの開発、キティちゃんがダンスの練習をする様子、徹底した清掃やメンテナンスに取り組む様子を伝え、休館中も営業再開に向けて準備を進めながら今でも「ここにいるよ」というメッセージを、機知に富んだ形で動画にまとめています。

JR東日本が10月1日から開始した「かにを食べに北陸へ。」キャンペーンの広告ポスターも、話題を呼んでいます。巨大な蟹が新幹線に覆いかぶさっている写真が印象的なポスターには「本当は、こっちから会いに行きたいくらい。」というキャッチコピーが添えられました。

JR東日本 「かにを食べに北陸へ。」キャンペーン公式サイト
▲[JR東日本 「かにを食べに北陸へ。」キャンペーン公式サイト]:訪日ラボ編集部キャプチャ

北陸に共通する人気の観光素材である蟹をポスターのテーマに選び、カニの方から新幹線に乗りみんなに会いに行きたいと思っているくらい、北陸で待っているという想いを込めています。ユニークかつインパクトのあるポスターは、SNS上でも大きな反響を集めました。

4/16に新規感染者数がゼロになったことを受け、名前が「加零」と同じ発音の名前を持つ人に無料でドリンクを1杯提供
▲[台湾のドリンク専門店「迷客夏」のキャンペーン]:訪日ラボ編集部キャプチャ

台湾では4〜5月に新型コロナウイルスの感染ピークを乗り越え、連日感染者数がゼロ続いていた際に、飲食店やホテル、スーパーマーケットなどが「加零(日本語でプラスゼロという意味)」にちなんで、さまざまなプロモーション活動を行いました。

例えば台湾のドリンク専門店「迷客夏」では、4月16日に新規感染者数がゼロになったことを受け、名前が「加零」と同じ発音を持つ人に無料でドリンクを1杯提供しました。

また、身分証明書の番号が「0」で終わる人は、90%オフでドリンクを購入可能というプロモーションも実施しています。

コロナ下では、「今はできない・行けないけれども、収束後に待っていますよ」というメッセージを広く伝えることが、アフターコロナの再誘客促進に向けた1つの取り組みとして効果的です。

今回の台湾の「行ったつもり」旅行のブームに乗じて、「本物の日本はみなさんを待ってますよ」といった海外向けの情報発信も、感染動向が落ち着いたタイミングで訪日旅行をしたいと考えている外国人の心に刺さるかもしれません。

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<参考>

・訪日ラボ:台湾、国内旅行市場が3倍に:「防疫大国」から「観光大国」に向かう4つのトレンドとは

・訪日ラボ:台湾人が熱をあげる「微出国」「偽出国」とは?つのる日本旅行への想いを受け止める様々なプランが出現

・JCASTトレンド:北陸新幹線を巨大カニが襲う!? びっくりポスターに込められた「待ってる」思い


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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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