【ポストコロナのインバウンド戦略】日本トップの訪日観光客向けウォーキングツアー会社の2021年のインバウンド戦略:Japan Localized代表 宮本 大

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ポストコロナインバウンド戦略』では、コロナ禍において、業界の「中の人」に聞くサバイバル術として最前線に立つ方々に特別寄稿いただきます。今回の寄稿者は、訪日外国人向けウォーキングツアーを展開するJapan Localized代表の宮本 大氏です。


はじめまして。

日本初の欧米型フリーウォーキングツアーを運営しているJapan Localized代表の宮本です。弊社は現在、東京・京都・大阪・広島の4つの都市でフリーウォーキングツアーを運営しており、トリップアドバイザー社の「外国人に人気の日本の体験・ツアー2020」で日本トップ3に選ばれております。

また、2019年度では欧米豪からの訪日客数のマーケットシェアの約1%、約3万人のお客様に弊社のツアーに参加頂きました。しかし、2020年3月以降からの入国制限より、インバウンドを取り巻く事業環境が大きく変わり、厳しい経営環境が続いております。

その様な中、年の瀬を迎えるのにあたって、インバウンドはいつ戻るのか?及び弊社の2021年のインバウンド戦略や取組などをご紹介できればと思います。

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1. インバウンドはいつ戻るのか?

まずインバウンドは2021年7月に戻ると想定しています。日本政府はオリンピックを海外からの観客入りで開催するという方向で動いており、それに基づけば2021年7月に海外からの一般観光客を受け入れると考えられます。

次に、インバウンドはどう戻るのかを考えなければなりません。そして、どこの国から観光客を受け入れるのか?また他国が自国民を観光目的で日本に送り出すかどうか?を考える必要があります。

弊社の想定では、トラベルバブルを使って、訪日客数の上位国である中国、韓国、台湾はじめ、東南アジアからの一般観光客受入のために早い段階で入国規制を解除するのではと考えています。

またバカンスに入るユーロ圏、英国、北米からの入国規制解除も想定されます。ただ、中にはオーストラリアなど、自国民の観光目的の出国を認めない国もあるので注視が必要です。

加えて上記の国々からどのぐらいの観光客数が来るのか?を考える必要があります。それを予測するにはたくさんのファクターを考慮する必要がありますが、今回は簡単に観光庁と国交省が公表している訪日客数及び国際定期航空便の主な動向のデータを使って予測をしてみたいと思います。

まず、以下の図をご覧ください。

訪日客数及び国際線定期便数
▲訪日客数及び国際線定期便数

左軸は2019年からの訪日客数、右軸は国際定期便数(旅客)です。2019年は月平均約2万便の運航スケジュールがあり、訪日客数も月平均約260万人程度で推移しておりましたが、2020年の入国制限以降、国際定期便数は月平均約1,800便程度、訪日客数は月平均約1.4万人程度までとなっております。

訪日客数/国際線定期便数(旅客)
▲訪日客数/国際線定期便数(旅客)

また、訪日客数を国際定期便数で割ると、以下の図のようになります。

この図を見ると、2019年は一便当たり平均約118人の訪日客数がありましたが、2020年の3月以降は一便平均約8人という数値になっております。この数値を見ると、いかに国際定期便に旅客が搭乗していない事がわかります。直近では足元の入国制限緩和もあり、一便当たりの訪日客数は約36人程度まで回復しており、今後も回復していくと見込まれます。

この一便当たりの訪日客数と国際定期便フライト数を使って、訪日客数を予測してみます。単純に2019年の実績ベースに一便当たりの訪日客数に0.6掛け、国際定期便フライトに0.4掛けしてメインシナリオを作成しました。また、予想レンジの上限はそれぞれ、0.8、0.7掛けしております。結果は以下のような図になります。

訪日客数予測
▲訪日客数予測

このモデルのメインシナリオによれば、2021年7月のオリンピック月には、訪日客数は約71万人。アジアと欧米の比率はざっくり8:2なので、アジア諸国からの訪日客数は約56万人、欧米からの訪日客数は約14万人と予測が出来ます。ただ、2019年7月の290万人の訪日客数と比較しても、25%程度です。

この数値を元に我々は来年7月以降のツアーの開催数を計画しており、刻々と変わる情勢を勘案しながら、2021年の年度事業計画を策定、運用をしております。

2. 2021年弊社のインバウンド戦略

弊社が現在行っていることについて簡単に紹介致します。

(1)自社サイトのSEO対策・強化

(2)SNSを使ってのプロモーション

(3)バーチャルツアーでの訪日関心層へのアプローチ

(4)メーリングリストを使った再訪日プロモーション

(5)株式市場及びマクロデータから見る訪日市場の分析

(1)及び(2)は一般的なので割愛させて頂きます。

(3)現在弊社では2本のバーチャルツアーを用意しております。将来訪日予定の方や、過去に訪日されたお客様が多数参加され、大変好評を頂いております。バーチャルツアーは引き続き遂行していく予定です。

(4)弊社には約1.8万件以上のメーリングリストの購読者がいます。しかも、その読者全てが訪日経験者です。現在、このメーリングリストを使った再訪日プロモーション活動を強化しております。読者全員日本のファンの方なので、例えば先月のメーリングリストにご紹介させて頂いた、東京都墨田区京島の長屋文化を紹介するバーチャルツアー(他社様)などが大変ご好評でした。

この読者のデータベースを持っているのは弊社の強みであり、読者数も継続して増えております。弊社は今後の再訪日プロモーションや継続的に日本の情報を発信していくツールとして、他社等と協力しながら再訪日マーケットを開拓できればと思っております。

(5)弊社では毎週日曜日にインバウンド関連株式銘柄の動向と分析及び、毎月月初にインバウンドレポートを発行しております。

前者は景気の先行指数である株式市場からインバウンド市場を分析していくアプローチ。後者は様々なマクロのデータを用いてインバウンド市場を分析しております。

これらのデータや分析を蓄積し、弊社のインバウンド事業戦略や他社様への事業支援のお役に立てれるように日々研究をしております。

例えば、以下の図のようにインバウンドを代表する株式銘柄の株価のモニタリングしております。

▲インバウンド銘柄 Before/After COVID-19 ※2019.12.30=100
▲インバウンド銘柄 Before/After COVID-19 ※2019.12.30=100

上の図のモニタリング銘柄を見て、どの業種がコロナ前の株価水準に戻ったのか、また各社がどのようなインバウンド戦略を行っているのかをモニタリングしております。

株価は景気の先行指数です。市場(TOPIX)に対して、各インバウンド銘柄がどのようなパフォーマンスなのかを日々モニタリングをし、インバウンド市場の最先端の情報や状況をウォッチングしております。

こちらのレポート詳細は毎週日曜日に弊社のブログで公表しております。

また、以下の図は観光庁が公表している2019年度の訪日外国人消費動向調査のデータを元に作成した、国籍別1日当たりの飲食費及び宿泊費をプロットした図です。円の大きさは訪日客数です。

訪日外国人市場規模別1日当たりの旅行消費(宿泊費vs飲食費)2019年
▲訪日外国人市場規模別1日当たりの旅行消費(宿泊費vs飲食費)2019年

上の図見ての通り、1日当たりの宿泊費が高いほど1日当たりの飲食代が高くなります。また、国籍別での市場規模がわかるので、どの国籍をターゲットにして、どのようなサービスを提供するのか等、マーケティング・事業戦略の立案にこのような分析データを利用しております。

こちらも弊社のインバウンド事業戦略に用いながら、他社様にもお役に立てるように、毎月月初に弊社のブログでインバウンドレポートとして公表しております。

3. 最後に

2021年も引き続きインバウンド業者は厳しい経営環境が続くと想定されます。

また、オリンピックが完全な形で開催されても、2019年のように海外からの観光客がたくさん来られる状況には回復しないと思っております。

また、世界各国で国境を跨いだ観光客の争奪戦になることが想定されるので、日本国政府および、インバウンド業者は世界レベルで事業戦略やマーケティング戦略を考える必要があります。

そのような厳しい競争環境下が勝ち残るためには、日本のインバウンド業者や自治体などが共に力を合わせていく必要があると思っております。そのためには弊社のリソースをフルに提供して、日本のインバウンド事業を盛り上げられるように努めて参りたいと思っております。

筆者紹介:Japan Localized代表 宮本 大

立命館大学卒。SMBCフレンド証券(現SMBC日興証券)を経てかんぽ生命保険入社。外国債券・為替ポートフォリオマネイジメント、日本株アナリスト兼株式ポートフォリオマネイジメントを担当。

米国College of William & Mary School of Business卒(MBA)。

Japan Localized設立後、訪日観光客向けへ体験ツアーの企画運営、インバウンド市場のリサーチ業務に従事。

緊急企画『ポストコロナのインバウンド戦略』寄稿募集

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ご応募の際には、まずは問い合わせフォーム( https://honichi.com/contact/ )より、

1.お名前
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をご連絡くださいませ。ご連絡の際には完成した原稿は必要ございませんので、まずはお気軽にご相談ください。

なお、ご応募頂いたすべての方の掲載を保証するものではございませんのでご了承ください。ご応募受付の際には、お問い合わせの返信を持ってお知らせいたします。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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