ソーシャルコマースとは:強み、種類、代表的なプラットフォーム3選

完全無料 口コミアカデミー 「インバウンドの教科書」出ました! 国別・都道府県別データ・トレンドをカバー 見てみる

スマートフォンの普及やSNSの発達は、社会構造やビジネスに大きな影響をもたらしています。

近年では、従来プロモーションの場になっていたSNSにECの機能が装備された「ソーシャルコマース」という新たなビジネスモデルが誕生し、世界的な広がりをみせています。

また、ソーシャルコマースは中国に代表される海外でも人気を集めていることから、コロナ禍におけるインバウンド対策として、越境EC参入の足ががりとなる可能性もあります。

この記事では、ソーシャルコマースの市場規模や種類、代表的なソーシャルコマースプラットフォームについて紹介します。

関連記事
中国で市場拡大中「ライブコマース」って?「コンテンツ」がモノを売る時代に
ついに始まったソーシャルバイヤー規制 中国「電商法」で爆買いは終わってしまうのか?

インバウンド対策にお困りですか?
「訪日ラボ」のインバウンドに精通したコンサルタントが、インバウンドの集客や受け入れ整備のご相談に対応します!
訪日ラボに相談してみる

インバウンドの最新情報をお届け!訪日ラボのメールマガジンに登録する(無料)

ソーシャルコマースとは:SNSで直接商品を購入

ソーシャルコマースの仕組みは、よく「SNS×EC」で表現されます。

ここでは、ソーシャルコマースはどのような点が従来のEC事業とは異なり、どのような強みを持っているかについて紹介します。

ソーシャルコマースとは?

ソーシャルコマースとは、ソーシャルメディア(SNS)とEコマース(EC)をかけあわせた販売チャネルの1つです。

従来SNSは、ECサイトのマーケティングプラットフォームとして広く活用されており、広告の出稿や情報発信を行う場でした。

一方ソーシャルコマースは、SNSのマーケティング機能に加え、商品を購入できるカート機能を追加したものです。

つまり、これまで情報発信の手段とされていたSNSが、実際にオンラインショッピングができるプラットフォームに変化したものがソーシャルコマースといえます。

ソーシャルコマースの強み

ソーシャルコマースは従来のECサイトと異なり、商品の検索から口コミの確認、購入までを1つのプラットフォームで完結できます。

このように決済まで手順が簡潔になることで、消費者の利便性が向上し、実際の購入につながりやすくなります。

また、ソーシャルコマースではSNSを活用するため、従来の一方的なプロモーションよりも、企業と消費者の間でのコミュニケーションが生まれやすくなります。

そこで、ブランドの世界観を伝えたり、消費者に寄り添うサービスを行うことで企業のブランディングやイメージ向上にもつながると考えられます。

世界におけるソーシャルコマースの市場規模

ソーシャルコマースは日本では新たなビジネスモデルとして注目を集めていますが、世界的にみてもその市場規模は拡大している傾向にあり、コロナ禍を機にその成長がさらに加速しています。

Research and Marketsが2020年9月に発表した「Social Commerce - Global Market Trajectory & Analytics」によると、アメリカのソーシャルコマース市場は2020年に269億米ドル(約2兆803億円)に達すると推定されています。

また、中国は2020年から2027年の期間で年平均成長率は30.5%、カナダは27%、日本は28.1%の成長が見込まれています。

このような急激な成長を受け、2020年に894億ドル(約9兆3,469億円)と推定される世界のソーシャルコマース市場は、2027年までに6,045億ドル(約62兆8,000億円)に達し、5年間での年平均成長率は31.4%と予測されています。

代表的なソーシャルコマースの種類

ソーシャルコマースは、その仕組みによっていくつかのタイプに分類されます。

ここでは代表的な7つのソーシャルコマースのタイプについて解説します。

1. C2Cタイプ

C2Cとは「Consumer to Consumer」の略です。

C2Cタイプのソーシャルコマースでは、消費者同士が個人でコミュニケーションをとり、商品の取引を行います。

eBayやAmazonマーケットプレイス、メルカリなどがこのC2Cタイプにあたります。

2. SNSタイプ

SNSタイプとは、FacebookやTwitterInstagramなど既存のSNSを通じてユーザーがダイレクトに商品の購入をできるタイプのソーシャルコマースです。

例としては、Facebook の商品購入機能や、Instagramのショッピング機能などがあげられます。

3. 共同購入(グループ)タイプ

共同購入(グループ)タイプとは、企業が人数などの条件を設定し、それに対して複数のユーザーが同じ商品を一緒に購入申し込みをすると、割引価格が適用されるというシステムのソーシャルコマースです。

GrouponやPinduoduo(拼多多)などのサービスがこのタイプにあてはまります。

4. レコメンドタイプ

レコメンドタイプとは、Amazonなどでみられる他のユーザーの購入傾向や商品のレビュー、おすすめ機能などを基に商品の取引を行うソーシャルコマースです。

SNSにおけるシェアなどもレコメンドの1つに含まれ、このような第3者からの評価をもとに商品の価値をアピールします。

AmazonやYelpなどがこれにあたります。

5. ユーザーキュレーションタイプ

ユーザーキュレーションタイプとは、ユーザーがECサイト内で商品やサービスのリストを作成、シェアし、それを基に商品の取引を行うものです。

他のユーザーのおすすめに基づく「レコメンドタイプ」のなかでも、「誰が」おすすめするのかということを重視したタイプです。

6. ユーザー参加タイプ

ユーザー参加タイプとは、消費者が商品への出資やデザイン制作へのリクエストを通して商品の制作にかかわるタイプのソーシャルコマースです。

クラウドファンディングの考え方に近く、CAMPFIREなどのサービスがこのタイプにあたります。

7. O2Oタイプ

O2O とは「Online to Offline」の略です。

O2Oタイプとは、オンラインで商品に対する質問や意見交換ができる場を設け、実店舗などオフラインでの購入を促すタイプのソーシャルコマースです。

代表的なソーシャルコマースのプラットフォーム3選

2020年は新型コロナウイルスの影響が世界中に広がり、ロックダウンや外出自粛に伴う巣ごもり消費需要が拡大をみせました。

そのためソーシャルコマースに参入することで新たなビジネスチャンスが狙える時代が到来しています。

ここでは、3つの代表的なソーシャルコマースプラットフォームを紹介します。

1. Pinduoduo(拼多多)

「Pinduoduo(拼多多)」は、2015年に上海で立ち上げられたプラットフォームで、京東淘宝などと並ぶ中国の代表的なECサービスの一つです。

Pinduoduoは共同購入タイプのソーシャルコマースサービスにあたり、WeChatやQQといった中国のSNSを活用して商品の取引を行っています。

Pinduoduoにおける流通取引総額(GMV)は、2020年9月末までの1年間で前年同期比73%増の1兆4,600億ドル(約153兆3,700億円)に拡大しています。

また、2020年7〜9月期におけるPinduoduoの月間アクティブユーザー数は6億4,300万人と前年比成長率50%を達成しています。

PInduoduoの特徴として、主なターゲット層を発展途上の地方都市の中間~低所得者としていることがあげられます。

共同購入タイプのソーシャルコマースでは、購入希望者が増えればそれだけ割引率も上がることも多いため、できるだけ安く物を買いたい人たちに人気を集めています。

また、出品されている商品も比較的安価な日用品が多いことも特徴です。

中国ECの新勢力「拼多多」とは?「共同購入」による競合との差別化とその戦略:品質トラブル多発の側面も

中国のEC市場に現れた「拼多多」は、2015年の創業以来存在感を増しています。2016年にはテンセントや他企業から出資を受け、2018年にはナスダック株式市場に上場しました。 たった3年で上場を達成した「拼多多」の成長スピードは、中国と業界の注目を集めました。2020年7月には、CEOの黄峥氏が突然の退任を発表したことも大きく話題になり、その理由について様々に報じられています。 この記事では、ECプラットフォームとして名が知れ渡った「拼多多」の特徴や活用方法について紹介します。 [c...


2. RED(小紅書)

現在、中国を代表するソーシャルコマースの一つとなっているのがRED小紅書)」です。

REDInstagram+Amazon」と呼ばれるように、コンテンツ型ソーシャルコマースとして知られています。

REDWeiboWeChatなどと共に中国5大プラットフォームの1社にまで成長しており、Statista社の発表した数字によると、2019年時点でのユーザー総数は3億人を突破しています。

REDユーザーの中心は都市部在住の若い女性で、コスメ、ファッション、旅行、グルメといった生活における幅広いコンテンツについて写真や動画を投稿できるSNSです。

また、多くのKOLがこのRED小紅書)を通して商品の紹介やレビューを行っており、ユーザーは自身の生活について投稿するだけでなく、KOLや知り合いの投稿から気になった商品を購入しています。

小紅書(RED)とは

小紅書(RED)とは、中国発のソーシャルECプラットフォームです。InstagramとAmazonを掛け合わせたようなサービスで、次世代SNSプロモーションの中心として注目を集めています。 小紅書におけるプロモーションでは、KOLとよばれるインフルエンサーを起用することで、自身の商品やサービス、観光地をユーザーにアピールすることが可能です。 今回の記事では、小紅書のユーザー層やサービスの特徴、有効なPR戦略について紹介します。 関連記事小紅書(RED)の概要・登録方法・プロモーション...

3. Facebook

Facebook社は、2020年6月にから日本でEC作成機能「Facebookショップ(Facebook Shops)」がリリースされました。

Facebookショップでは、コマースマネージャという管理ツールを通じてカスタマイズ可能なオンラインショップを無料で作成することができ、FacebookやInstagramなど同社のアプリで公開できます。

決済(Facebookではチェックアウトをいいます)方法は、 FacebookとInstagramで直接に決済するか、自身の商品のウェブサイトで行ってもらうか、またはWhatsApp、Messengerを通して決済の案内を送信することの3種類となります。(FacebookとInstagramでの直接決済は2021年2月時点アメリカのみ利用可能です。)

また、Facebook社は2020年7月にInstagramショップをInstagramの発見タブに導入しました。

これより、発見タブでユーザーの興味関心の高い商品が表示されることができます。

さらに、これからFacebookとInstagram内でライブコマース機能も展開する予定で、現在テストを行っています。(2021年2月時点)

ソーシャルコマース市場の拡大に期待

ソーシャルコマースとは、SNSとECを掛け合わせたECサービスの1つで、商品の検索、口コミの確認、商品の決済までを一つのアプリやサービスで完結できます。

これにより、消費者にとっては利便性の向上、企業にとっては、販売機会のロスを防いだり消費者とのコミュニケーションが取れるといったメリットがあります。

現在、新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、巣ごもり消費需要が高まり、国内外でECを利用する人が増加しています。

また、国境を越えた移動が制限される今、海外の商品をECを通して求める越境EC需要も高まっています。

ソーシャルコマースへの参入は、企業の認知度拡大やブランディングだけでなく、今できるインバウンド対策の1つである越境EC対策にもつながるでしょう。

コロナ禍の今年、世界で売れた日本の商品ランキング:「日本ロス」消費が加速、第三次越境ECブームの内訳とは

訪日ラボ編集部は、11月10日に行われた、BEENOS株式会社による2020年の越境ECランキングの発表会に参加しました。ランキングは、BEENOSグループの商品代理購入サービス「Buyee」における2020年1月1日~2020年9月30日の売上及び前年同期比のデータをもとに、独自に算出されたものです。本記事ではBEENOSが発表した越境ECランキングの詳細をお伝えします。インバウンド対策にお困りですか?「訪日ラボ」のインバウンドに精通したコンサルタントが、インバウンドの集客や受け入れ整備...

越境ECは「売れなくてもいい」コロナ禍の今、海外に向けて出品すべき本当の理由:BEENOSグループ代表取締役 インタビュー

コロナ禍によって世界的にヒトの動きが制限されている中で、「モノの動き」が活発になっています。インターネット通販プラットフォームを通して行われる国際的な電子商取引「越境EC」は、今年は巣篭もり消費などの追い風もあり、市場が急激に拡大しています。その一方で、海外に商品を売ったことがない自治体や事業者は、法律や言語の壁を前に及び腰になっているケースも多いのではないでしょうか。今回訪日ラボではEC事業周辺のサービスを手掛け、20年あまりのノウハウを持つBEENOSグループの代表取締役兼グループCE...


インバウンド対策にお困りですか?
「訪日ラボ」のインバウンドに精通したコンサルタントが、インバウンドの集客や受け入れ整備のご相談に対応します!
訪日ラボに相談してみる

<参考サイト>

FACEBOOK: Facebookショップを国内で提供開始、中小ビジネスのオンライン事業をサポート

Research and Markets:Social Commerce - Global Market Trajectory & Analytics

中国SNS「RED(小紅書)」最新情報セミナー:訪日ラボ社内勉強会の内容を特別に公開します【訪日ラボ トレンドLIVE! Vol.6】

短時間でインバウンドが学べる「訪日ラボ トレンドLIVE!」シリーズの第6弾を今月も開催します!訪日ラボとして取材や情報収集を行う中で、「これだけは把握しておきたい」という情報をまとめてお伝えするセミナーとなっています。

今年も残りわずかとなりましたが、インバウンド需要はまだまだ好調をキープしている状況です。来年の春節や桜シーズンなど、訪日客が集まる時期に向けて対策を練っていきたいという方も多いでしょう。

今回もインバウンド業界最大級メディア「訪日ラボ」副編集長が、10〜11月のインバウンドトレンド情報についてお話ししていきますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。

詳しくはこちらをご覧ください。

中国SNS「RED(小紅書)」最新情報セミナー:訪日ラボ社内勉強会の内容を特別に公開します【訪日ラボ トレンドLIVE! Vol.6】

【インバウンド情報まとめ 2024年11月前編】UberEats ロボット配達開始、万博需要見すえ大阪で ほか


訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月発行しています。

この記事では、主に11月前半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。

※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。

口コミアカデミーにご登録いただくと、レポートの全容を無料にてご覧いただけます。

詳しくはこちらをご覧ください。

UberEats ロボット配達開始、万博需要見すえ大阪で:インバウンド情報まとめ【2024年11月前編】

今こそインバウンドを基礎から学び直す!ここでしか読めない「インバウンドの教科書」

スマホ最適化で、通勤途中や仕込みの合間など、いつでもどこでも完全無料で学べるオンラインスクール「口コミアカデミー」では、訪日ラボがまとめた「インバウンドの教科書」を公開しています。

「インバウンドの教科書」では、国別・都道府県別のデータや、インバウンドの基礎を学びなおせる充実のカリキュラムを用意しています!その他、インバウンド対策で欠かせない中国最大の口コミサイト「大衆点評」の徹底解説や、近年注目をあつめる「Google Map」を活用した集客方法など専門家の監修つきの信頼性の高い役立つコンテンツが盛りだくさん!

→ 【無料】「インバウンドの教科書」を見てみる

完全無料 口コミアカデミー 「インバウンドの教科書」出ました! 国別・都道府県別データ・トレンドをカバー 見てみる

関連インバウンド記事

 

役にたったら
いいね!してください

この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

訪日外国人観光客インバウンド需要情報を配信するインバウンド総合ニュースサイト「訪日ラボ」。インバウンド担当者・訪日マーケティング担当者向けに政府や観光庁が発表する統計のわかりやすいまとめやインバウンド事業に取り組む企業の事例、外国人旅行客がよく行く観光地などを配信しています!

プロモーションのご相談や店舗の集客力アップに