航空機の燃料に変化アリ。世界の航空会社が意識する「サスティナビリティー」旅行客の選択肢にも影響が

航空業界は、世界的な新型コロナウイルスの感染拡大により、大きな打撃を受けました。

今後の景気後退への対策として、世界的に「グリーンリカバリー」が注目されており、その一環として航空機に使用する燃料のグリーン化が進んでいます。

こうした動きは、観光客の消費性向にも影響を与える可能性があり、特にSDGsへの配慮が高い層に対しては、移動手段に対しても環境に配慮しているかどうかも、その選択に影響することが考えられます。

本記事ではグリーンリカバリーとは何か、各国の航空会社の取り組みと合わせて紹介するとともに、変わりゆく観光客のニーズについて解説します。

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感染症拡大で深刻な打撃を受ける航空業界、今後はグリーンリカバリーに注目?

世界的な新型コロナウイルス感染症の拡大により、航空業界は大きな打撃を受けています。

そのようななか、新型コロナウイルスによる景気後退への対策として注目されているのが「グリーンリカバリー」です。

新型コロナウイルスの影響で経済が停滞し、世界的にCO2の排出量が激減しています。

グリーンリカバリーは、今後経済を復興させるにあたり、環境を重視した投資などで経済を浮上させ、CO2排出量削減も実現していこうとする動きのことです。

フランスやカナダでは、グリーンリカバリーを目指す動きがいち早く打ち出され、世界にも広がっています。

コロナ禍における世界の経済刺激策を調査している、イギリスの独立研究機関VIVID ECONOMICSによれば、世界主要国の経済刺激策は総額11.4兆ドルにのぼっています。

そのうちの約3割を占める3.5兆ドルが、環境も重視した「グリーン」な経済刺激策として評価されています。

▲世界の経済刺激策におけるグリーン度(環境重視)調査:Vivid Economics Greennessof StimulusIndex
▲世界の経済刺激策におけるグリーン度(環境重視)調査:Vivid Economics Greennessof StimulusIndex

各航空会社が代替燃料の使用を開始

航空機のフライトに使用されるジェット燃料は、環境への負荷が大きいとされています。

そのようななか、複数の航空会社が代替燃料を使用した航空機の利用や開発に着手しています。

各社は今後も、その取り組みを広げていくとしています。

古着で飛行機が飛ぶ?日本航空のチャレンジ

日本航空は、2021年2月4日に古着由来の国産バイオ燃料を、旅客機の運航に初めて使用しました。

燃料の製造に使用された古着の数は、25万着にのぼります。

2018年に開始されたプロジェクトで、一般の人々から集めた古着などを原料として、バイオジェット燃料を製造しました。

日本航空は国産バイオジェット燃料の実用化に向けた取り組みを進め、早ければ5~6年後にはバイオ燃料の導入規模拡大を視野に入れているとしています。

KLMオランダ航空、水と電気の合成燃料を使用

2021年2月8日、KLMオランダ航空は、CO2と水と電気で作った合成燃料を、従来のジェット燃料に混ぜて旅客機を運航しました。

同社によれば、持続可能な合成燃料を使用した旅客便は世界初だということです。

KLMは2011年に、世界で初めて使用済みの食用油を配合した燃料を旅客機に導入した実績もあります。

ユナイテッド航空は電動旅客機に投資

シリコンバレーのスタートアップ企業であるArcher Aviation(アーチャー・アビエーション)は、短距離電気垂直離着陸(eVTOL)飛行機を開発しています。

電気モーターで動く飛行機で、都市市場で「エアタクシー」としての使用が見込まれており、現時点では時速150マイル以下で、最大60マイルの距離の飛行が可能となっています。

2021年2月、同社はユナイテッド航空から10億ドル分の同機の予約注文を獲得しました。また、ユナイテッド航空は空域管理の専門知識を提供して、同社の開発を支援する予定です。

ユナイテッド航空はこの投資について、炭素排出量を削減する取り組みのひとつであるとしています。

サスティナビリティ、エシカル志向は観光にも影響

航空各社がグリーンリカバリーに向けた動きを進めるなか、サスティナビリティへの志向は観光客の選択肢にも影響を及ぼしています。

2019年にブッキング・ドットコムが行った調査では、世界の旅行者たちを対象に、観光でサスティナビリティについて考えるようになったかを聞きました。

その結果、72%の人が「地球を守るには、今すぐ行動しサスティナブルな選択を行うべき」と回答したほか、52%の人がサスティナブルを意識して「可能な限り徒歩や自転車の利用、ハイキングを行うようになった」と回答しています。

この調査では、日本よりも他国の方がサスティナブルに対する意識が高いことが分かりました。

特に欧州はSDGs達成度ランキングで上位に入っており、欧州からの訪日客は訪日外国人1人当たりの旅行支出も高い傾向があります。

SDGsへの意識が高まるなか、消費者がそれぞれ自分にとっての社会的課題の解決を考慮したり、そうした課題に取り組む事業者を応援しながら消費活動行う「エシカル消費(倫理的消費)」が注目を集めています。

エシカル消費の活発化も今後期待され、そのニーズに合った「エシカルな観光スタイル」は、今後さらに注目される可能性があります。

たとえば空路での移動の際にも、利用する航空機の使用燃料を意識する可能性があり、航空機の燃料のグリーン化は、将来のインバウンド誘致においてポジティブな動きといえるでしょう。

世界の旅行者のサスティナビリティへの意識を汲んだインバウンド戦略を

近年、観光に対しても持続可能性を求める流れが世界的に大きくなってきています。

各国の航空会社はアフターコロナの社会で持続可能な燃料の利用などの取り組みをはじめ、グリーンリカバリーに注力する動きを見せています。

また、旅行者の間でも、エシカル消費といったよりサスティナビリティを重視した消費行動への意識が高まってきています。

今後のインバウンド施策を考えるうえでも、世界の旅行者のサスティナビリティへの意識を汲んで対応していくことが求められるのではないでしょうか。

<参照>

観光庁【訪日外国人消費動向調査】2019年の訪日外国人旅行消費額(確報)~ 速報値(2020年1月17日公表)からの変更点 ~

消費者庁:エシカル消費とは

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

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