「ワクチンパスポート」日本でも検討開始 乗り越えなくてはならない課題は

完全無料 口コミアカデミー 「インバウンドの教科書」出ました! 国別・都道府県別データ・トレンドをカバー 見てみる

日本政府はワクチンパスポートを整備する方向で検討しています。

世界的にもワクチン接種が進むにつれワクチンパスポートが導入され始めていますが、導入には慎重な議論が求められています。


【訪日ラボは、8月5日にインバウンドカンファレンス「THE INBOUND DAY 2025」を開催します】

会場での開催に加え、一部講演ではオンライン配信(参加費無料)も実施!さらに、チケットを購入した方限定でアーカイブ配信も予定しています。

ご来場が難しい方や当日ご都合が合わない方も、この機会にぜひご参加ください。

日本でもワクチンパスポートの検討始まる

政府は、海外渡航の円滑化に向け、ワクチン接種証明書を発行する検討を始めることが2021年5月20日の記者会見で明らかになりました。

検討チームは加藤勝信官房長官の下で発足し、内閣官房に審議官級ら10人の組織を設置する予定です。厚生労働省や外務省など関係省庁と検討を急ぐことが表明されました。

日本政府は当初ワクチンパスポートの導入に慎重な姿勢でしたが、世界的なワクチンパスポートの導入を契機に、検討を開始しました。

日本でのワクチンパスポートの導入によりインバウンドの客足が戻ることが期待され、またビジネス関係の往来がよりスムーズになることが期待されています。

関連記事
日本の導入も秒読みか ビジネス出入国に「ワクチンパスポート」最終調整

世界ではワクチンパスポート導入が進む

日本でワクチンパスポートが検討される前から、世界ではワクチンパスポートの導入が進められています。

5月19日に欧州委員会が、EU加盟国27か国でワクチンの接種を完了した人に限り、7月1日から検疫なしで渡航できるようになると発表しました。

この発表には、ヨーロッパにおいて観光産業がもたらす経済的な影響が多大であることが関係していると考えられます。

ドイツの調査会社、Statistaの「EU28か国におけるGDPで観光産業が占める割合」によると、感染拡大前の2019年において、観光産業が占めるGDPの割合は非常に大きく、クロアチアでは25%、ギリシャでは20%などとなっています。また、Statistaが2021年4月にまとめた「ヨーロッパの観光」では、ヨーロッパ全体で約3,490万人が観光業に従事しています。

こうした事情も背景にあるのか、欧州委員会はワクチンパスポートの導入を機に夏のバカンスシーズンに向けて域内外の観光客の受け入れを促したい狙いがあると考えられます。

欧州のほか、観光産業がさかんなタイでも同様の流れが見られます。

タイ政府は4月19日にすでにワクチンパスポートの導入について発表しています。

UNWTOの「国際観光客到着数及び国際観光収入」によると、2018年の観光産業がタイGDPの約14.5%を占めています。

このように、観光産業の付加価値が一国のGDPに占める割合が高ければ高いほど、ワクチンパスポートの導入を急ぐ傾向が見られます。

欧州委員会委員Ylva Johansson氏のワクチンパスポートに関するTweetのスクリーンショット
▲欧州委員会委員Ylva Johansson氏のワクチンパスポートに関するTweet
Twitter:Ylva Johansson氏の投稿(https://twitter.com/YlvaJohansson/status/1395445666172882950)

ワクチンパスポートの問題点

一方で、ワクチンパスポートの導入にあたっては様々な課題があります。

まず、身体的また信条の理由でワクチンを接種しない人々に対して不公平感がうまれることが考えられます。副反応などのリスクからワクチン接種に抵抗感をいだく人は少なからず存在し、そうした方々にとってどのようなフォロー体制を敷くのかは懸案事項の一つでしょう。

第二に、どのワクチンを接種証明の対象とするのかという問題です。イギリス製、アメリカ製のほかに、中国製やロシア製のワクチン、さらにそれぞれの国で作られた国産ワクチンがあり、それぞれの効果やリスクには違いが見られます。このうちどれを対象に加えるべきかという議論を乗り越えなくてはなりません。

経済活性化には往来再開が望まれますが、ワクチンパスポートを使った往来再開には慎重な議論が必要となるでしょう。

関連記事
差別や悪用のリスクも「ワクチンパスポート」実現が一筋縄ではいかない理由

インバウンド対策にお困りですか?

「訪日ラボ」のインバウンドに精通したコンサルタントが、インバウンドの集客や受け入れ整備のご相談に対応します!
訪日ラボに相談してみる

<参照>
欧州委員会:EU Digital COVID Certificate: European Parliament and Council reach agreement on Commission proposal
タイ政府:「ワクチンパスポート」の導入について(タイ語)
チリ保健省:全国的なコロナウイルスの新しい症例(スペイン語)
チリ保健省:国のコロナワクチン接種計画(スペイン語)
Twitter:Ylva Johansson氏のツイート

【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」

インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。

本イベントでは「顧客への情報アピール」「顧客体験(ゲストエクスペリエンス)」「運営のデジタル化」など、施設運営に必要なをテーマを、市場の最前線を走るエキスパートたちが集結。お客様が施設を見つける「旅マエ」から、実際に滞在する「旅ナカ」まで、あらゆるフェーズにおける最新戦略と成功事例を徹底解説します。

<本セミナーのポイント>

  • 変わりゆく市場の状況と、今後注目のトレンドを把握できる
  • 旅マエの顧客行動を理解し、集客・予約率アップのヒントが得られる
  • 旅ナカの接客品質を高め、顧客満足度向上に繋がる実践的な対応を学べる
  • 各分野の専門家から、ビジネスを加速させる具体的な戦略や成功事例が聞ける

詳しくはこちらをご覧ください。

宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」【7/3開催】

【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」

2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。

「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。

初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。

参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。

<こんな方におすすめ>

  • インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
  • 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
  • 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
  • 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
  • インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
特設ページを見てみる

【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか


訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。

この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。

※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。

口コミアカデミーにご登録いただくと、レポートの全容を無料にてご覧いただけます。

詳しくはこちらをご覧ください。

「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか:インバウンド情報まとめ 【2025年6月後編】

今こそインバウンドを基礎から学び直す!ここでしか読めない「インバウンドの教科書」

スマホ最適化で、通勤途中や仕込みの合間など、いつでもどこでも完全無料で学べるオンラインスクール「口コミアカデミー」では、訪日ラボがまとめた「インバウンドの教科書」を公開しています。

「インバウンドの教科書」では、国別・都道府県別のデータや、インバウンドの基礎を学びなおせる充実のカリキュラムを用意しています!その他、インバウンド対策で欠かせない中国最大の口コミサイト「大衆点評」の徹底解説や、近年注目をあつめる「Google Map」を活用した集客方法など専門家の監修つきの信頼性の高い役立つコンテンツが盛りだくさん!

→ 【無料】「インバウンドの教科書」を見てみる

完全無料 口コミアカデミー 「インバウンドの教科書」出ました! 国別・都道府県別データ・トレンドをカバー 見てみる

関連インバウンド記事

 

役にたったら
いいね!してください

この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

訪日外国人観光客インバウンド需要情報を配信するインバウンド総合ニュースサイト「訪日ラボ」。インバウンド担当者・訪日マーケティング担当者向けに政府や観光庁が発表する統計のわかりやすいまとめやインバウンド事業に取り組む企業の事例、外国人旅行客がよく行く観光地などを配信しています!

プロモーションのご相談や店舗の集客力アップに