日本政府はワクチンパスポートを整備する方向で検討しています。
世界的にもワクチン接種が進むにつれワクチンパスポートが導入され始めていますが、導入には慎重な議論が求められています。
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日本でもワクチンパスポートの検討始まる
政府は、海外渡航の円滑化に向け、ワクチン接種証明書を発行する検討を始めることが2021年5月20日の記者会見で明らかになりました。
検討チームは加藤勝信官房長官の下で発足し、内閣官房に審議官級ら10人の組織を設置する予定です。厚生労働省や外務省など関係省庁と検討を急ぐことが表明されました。
日本政府は当初ワクチンパスポートの導入に慎重な姿勢でしたが、世界的なワクチンパスポートの導入を契機に、検討を開始しました。
日本でのワクチンパスポートの導入によりインバウンドの客足が戻ることが期待され、またビジネス関係の往来がよりスムーズになることが期待されています。
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世界ではワクチンパスポート導入が進む
日本でワクチンパスポートが検討される前から、世界ではワクチンパスポートの導入が進められています。
5月19日に欧州委員会が、EU加盟国27か国でワクチンの接種を完了した人に限り、7月1日から検疫なしで渡航できるようになると発表しました。
この発表には、ヨーロッパにおいて観光産業がもたらす経済的な影響が多大であることが関係していると考えられます。
ドイツの調査会社、Statistaの「EU28か国におけるGDPで観光産業が占める割合」によると、感染拡大前の2019年において、観光産業が占めるGDPの割合は非常に大きく、クロアチアでは25%、ギリシャでは20%などとなっています。また、Statistaが2021年4月にまとめた「ヨーロッパの観光」では、ヨーロッパ全体で約3,490万人が観光業に従事しています。
こうした事情も背景にあるのか、欧州委員会はワクチンパスポートの導入を機に夏のバカンスシーズンに向けて域内外の観光客の受け入れを促したい狙いがあると考えられます。
欧州のほか、観光産業がさかんなタイでも同様の流れが見られます。
タイ政府は4月19日にすでにワクチンパスポートの導入について発表しています。
UNWTOの「国際観光客到着数及び国際観光収入」によると、2018年の観光産業がタイのGDPの約14.5%を占めています。
このように、観光産業の付加価値が一国のGDPに占める割合が高ければ高いほど、ワクチンパスポートの導入を急ぐ傾向が見られます。

ワクチンパスポートの問題点
一方で、ワクチンパスポートの導入にあたっては様々な課題があります。
まず、身体的また信条の理由でワクチンを接種しない人々に対して不公平感がうまれることが考えられます。副反応などのリスクからワクチン接種に抵抗感をいだく人は少なからず存在し、そうした方々にとってどのようなフォロー体制を敷くのかは懸案事項の一つでしょう。
第二に、どのワクチンを接種証明の対象とするのかという問題です。イギリス製、アメリカ製のほかに、中国製やロシア製のワクチン、さらにそれぞれの国で作られた国産ワクチンがあり、それぞれの効果やリスクには違いが見られます。このうちどれを対象に加えるべきかという議論を乗り越えなくてはなりません。
経済活性化には往来再開が望まれますが、ワクチンパスポートを使った往来再開には慎重な議論が必要となるでしょう。
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<参照>
欧州委員会:EU Digital COVID Certificate: European Parliament and Council reach agreement on Commission proposal
タイ政府:「ワクチンパスポート」の導入について(タイ語)
チリ保健省:全国的なコロナウイルスの新しい症例(スペイン語)
チリ保健省:国のコロナワクチン接種計画(スペイン語)
Twitter:Ylva Johansson氏のツイート
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