2021年5月、オーストラリアで「スノーツーリズム」を楽しむ人たちに向けた旅行博、「Snow Travel Expo」が催されました。
2020年は新型コロナウイルス感染症の影響によりオンライン開催となったため、2年ぶりのリアル開催となります。
本記事ではオーストラリア現地にいる弊社スタッフが実際に赴き、そこで見た現地の様子や声をまとめています。
また、日本のスノーツーリズムに対するオーストラリア人からの人気や期待のほか、オーストラリアの現状についてもあわせて紹介します。
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「Snow Travel Expo」、豪シドニーとメルボルンでリアル開催
「Snow Travel Expo」は、オーストラリアで開催される「スノーツーリズム」を楽しむ人たちに向けた旅行博です。新型コロナウイルス感染症の影響により、2020年はオンライン開催となったことから、リアルイベントとなったのは2年ぶりです。
今年は5月16日にメルボルンで、5月23日にシドニーで開催されました。
イベント会場全体の様子
イベントの全体の規模としては、2019年と比較するとブース展開の規模は半分程度に縮小されていました。そのため来場数も減っていましたが、多くのスキー、スノーボード愛好家が見受けられました。
来場者については、家族連れの30代後半、50代〜60代の男性が多い傾向です。旅への関心はやはり強く、今年はメルボルンの雪山やニュージーランドにスキー旅行に行く人が例年よりも遥かに多いということです。
人気の日本ブース、新たな「秘境スポット」を求める人も
例年通り、日本の自治体や企業も本イベントに出展していました。
日本のブースは他のブースと比べてもとても人気な様子です。中でも、星野リゾートの出展ブースではイグルー(圧雪ブロックを使って作る一時的なシェルターのようなもの)を模したものがあり、これが子供連れの来場者から人気を集めていました。
オーストラリア内では、白馬やニセコなどは日本のスノーリゾート地として既に人気を誇っています。イベントで日本ブースに集まっていた人達は、そのような「定番スポット」ではなく、新たな秘境を探している人が多いようでした。
また、来場者はスノーリゾートの場所やアクセスについて聞いている人が多くいました。これらの質問は例年ありますが、今年は交通面がコロナ前と同様かどうかなどが特に気がかりなようです。
一方で、日本の新型コロナウイルスの感染状況そのものに対しての質問はあまりありませんでした。
開催者が語る、日本のスノーツーリズムの人気度
また、今回のイベント主催者の方々のうち、おひとりにお話を伺いました。コロナ状況も踏まえたうえでの、日本のスノーツーリズムの人気についても語ってくださいました。
「Snow Travel Expo」への思い
対応していただいた方によると、オーストラリア国内では、感染状況の落ち着きから生活はコロナ前に戻っているため、旅行欲が出ている人が多いといいます。
「ほとんどのスノーリゾートはまだコロナ禍にあるため、現地の人が実際に訪れて話すことが出来ないのは残念です。」としながらも、「昨年はオンラインだったため、リアル開催となった今年は来場者の方と実際に話ができて嬉しいです。」とおっしゃっていました。
日本のスノーツーリズムは変わらず人気
また開催者の方の話では、イベント来場者の方々はスノーリゾートを目的とした渡航について、「渡航制限が緩和したらまず目指す場所は日本」という方がほとんどだと語ります。
オーストラリアと日本の間では、距離、時差などの面で負担が少ないといった理由ももちろんありますが、スノースポーツを楽しむ人たちからは、「日本では満足の行く滑りができる」との声が多いようです。
日本が誇る「上質な雪」へのファンが多いことがわかります。
コロナ流行でも日本への期待は薄れず
日本の感染状況への懸念について、「他国への渡航にはまだ時間を要する」と考える人が多い一方で、日本でのスノーツーリズムを躊躇している人は少ないということです。
理由としてスノースポーツは山の中でのレジャーとなるため、空間的に「密」が生まれにくいということ、そして「日本のコロナ対策はしっかりしている」イメージがあることが挙げられます。
日本・オーストラリア両国において渡航制限や水際対策が緩和された時には、スノーツーリズムを目的とした訪日オーストラリア人が急増する可能性は大いに考えられるでしょう。
オーストラリアの現状、次の訪日旅行で求めるものとは
ここからは、現地のスタッフが目の当たりにしたオーストラリアの人の動きの様子について紹介します。マスクなしでも警戒緩めず
まず、オーストラリア現地ではマスク着用の義務が解除されているため、マスクを着けてない人がほとんどです。(※5月23日時点)実際に「Snow Travel Expo」のイベント会場でもほとんどの人がマスクを着用していませんでした。一方で消毒スプレーなどの感染対策は今でも続けられています。
市中感染が1人でもでた場合にはすぐに対策や適当な措置(各店舗の営業停止、変異株への感染であればロックダウンなど)が行われます。規制こそ緩和されているものの、オーストラリアの警戒度は決して緩んでいないといえます。
実際に今回のイベント開催場所の一カ所であったメルボルンが含まれるビクトリア州は、イベント開催から10日ほど後の5月27日からロックダウンに入りました。
また、感染リスクが高いとされる場所(ホットスポット)が判明した場合には、その場所で全員PCR検査が行わます。PCR検査は基本的に無料で受けられます。
飲食店は制限なしで再開、予約困難な場合も
次に街の飲食店の様子についてです。
飲食店は、現在制限なしで営業再開しており、人気のお店では数か月も予約が取れない場合もあります。パブなども週末は賑わいを見せています。
今回の「Snow Travel Expo」のように週末イベントがあると、街中は多くの人で溢れかえる状況で、ソーシャルディスタンスはほとんどとられていません。
現在シドニーのあるニューサウスウェールズ州ではクーポンが発行されていて、新型コロナウイルス感染症によって打撃を受けた飲食業界やエンターテイメント業界を助けようと政府がうごいています。日本でいうところのGo To キャンペーンのようなものにあたります。
ワクチン証明書の普及、接種の対象と基準についても説明
つづいてオーストラリアの管理体制やワクチン普及の様子について紹介します。
レストランなど各施設に入る時には、政府発行のQRコードのチェックインが必要となります。今回のイベントでも使用しました。また、ワクチンを2回以上接種するとパスポートに接種状況が掲載されるようになります。現在対応中とのことですが、接種完了者は今後海外旅行にいけるようになるかもしれないといわれています。
なおワクチン接種については50歳以上の人とエッシェンシャルワーカーは優先的に接種可能です。50歳以上の人はアストラゼネカ製のワクチン、50歳未満の人はファイザー製のワクチンを接種するというように分けられています。
その一方で国内の感染状況がほとんどゼロの状態であり、感染リスクが低いことから、ワクチンの接種によるリスク(血栓が固まるなど)の方を懸念して「接種したくない」とする人が多いという現状もあります。
海外旅行への熱は冷めず、訪日旅行では「おまかせ」が人気になる?
最後にオーストラリアの人々の旅行意欲と今後の訪日オーストラリア人観光客のトレンドとなりそうなものを紹介します。
旅行については現在はやはり国内旅行がメインとなっていますが、今は貯蓄をして、渡航解禁に備えている人が多い印象があります。渡航が解禁された暁には、目一杯海外旅行を楽しみたいと考えている人は多くいることでしょう。
また、現地の日本食レストランではOMAKASE(おまかせ)が流行中です。
寿司や天ぷらなどを提供する日本食レストランでは「おまかせ」があり、頼むと1人10,000円〜20,000円のコースで日本の高級レストランに近いものが出てきます。オーストラリアの日本食のレベルは近年上がってきています。
ただ、現地ではやはり「本物のおまかせが食べてみたい」という声もあります。渡航解禁後には「おまかせ」と言う言葉でプロモーションをかけると、訪日オーストラリア人観光客に効果があるかもしれません。
オーストラリア人は訪日旅行を心待ちに
「Snow Travel Expo」の空気感を通して、オーストラリアの人々から日本を訪れることへの期待が確かに感じ取れました。
日本の感染状況への懸念が少ないことや、「日本の雪」の魅力が根強く浸透していることを踏まえると、スノーツーリズムに関しては国境さえ開けばすぐにでも訪日外国人観光客が押し寄せても不思議ではありません。
また1年以上訪日旅行が不可能になっている状態でも、オーストラリア国内では日本食が人気を博していることから、「日本人気」は今でも健在なようです。
渡航解禁時にいち早く訪日オーストラリア人観光客を迎えられるように、現地の空気感を理解した情報発信とコミュニケーションが重要です。
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