観光庁では、スノーリゾートへのインバウンド需要をタイムリーかつ的確に取り込むため、「国際競争力の高いスノーリゾート形成促進事業」を実施しています。
6月4日、支援対象地域として選定された18地域が観光庁公式サイトより発表されました。
来年に北京オリンピックの開催が予定されている中国ではウインタースポーツ人気が加熱しており、渡航制限解除後の訪日ブームが期待されます。加えて訪日オーストラリア人からも、日本の雪質は高く評価されています。
スノーリゾートに関心がある訪日外国人の需要を取り込む上で、世界レベルで戦える魅力的なスノーリゾートの形成が求められています。
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観光庁、「国際競争力の高いスノーリゾート形成促進事業」18地域選定
スノーリゾートは地方での長期滞在や消費拡大に向けて有力なコンテンツであるとして、観光庁はインバウンド需要を的確に取り込めるスノーリゾートを形成するために、以下の項目に関わる事業を支援しています。
- アフタースキーのコンテンツ造成
- グリーンシーズンのコンテンツ造成
- 受入環境の整備(多言語対応、Wi-Fi整備、キャッシュレス対応、公衆トイレの洋式化など)
- 外国人対応可能なインストラクターの確保
- 二次交通の確保(スキー場間の周遊等のためのバス運行の実証実験)
- 情報発信(プロモーション資材の作成等)
- スキー場インフラの整備:索道施設(ゴンドラ・リフト)の撤去、搬器の更新(機能向上分)、高機能な降雪機の導入、ICゲートシステムの導入
※訪日外国人の誘客に一丸となって取り組む地域に絞って支援
18の選定地域
観光庁は令和3年3月5日から4月14日にかけて公募を行い有識者等による審査を踏まえ、以下の18地域を「国際競争力の高いスノーリゾート形成促進事業」の支援対象地域として選定しました。
地域名 | 形成計画名 | 形成計画策定者名 |
札幌(北海道札幌市) |
スノーリゾートシティSAPPORO 形成計画「SNOW SAPPORO ~Powder in the city~」 |
スノーリゾートシティSAPPORO推進協議会 |
キロロ(北海道赤井川村) |
コロナ禍の時代に対応する地域一体となったコンテンツ開発と磨き上げ |
一般社団法人赤井川村国際リゾート推進協会 |
大雪(北海道旭川市、鷹栖町、東神楽町、当麻町、比布町、愛別町、上川町、東川町) |
The Heart of Hokkaido『 Taisetsu 』形成プロジェクト |
一般社団法人大雪カムイミンタラDMO |
ルスツ(北海道留寿都村、喜茂別町) |
羊蹄山10 マイル観光圏構想 形成計画 |
留寿都村DMO検討協議会 |
たざわ湖(秋田県仙北市) |
秋田の四季に遊び、郷土に触れる。『滞在型スノーカントリ―“雪国”リゾート』 |
一般社団法人田沢湖・角館観光協会 |
安比・八幡平(岩手県八幡平市) |
Tohoku Mountain Frontier APPI Hachimantai |
株式会社八幡平DMO |
夏油高原(岩手県北上市) |
夏油高原スノーリゾート形成計画 |
夏油高原スノーリゾート協議会 |
蔵王(山形県山形市、上山市) |
“世界の蔵王”に連れてって Can you take me Skiing in Zao The Resort? |
おもてなし山形株式会社 |
塩原(栃木県那須塩原市) |
ONSEN-SNOW RESORT Shiobara |
一般社団法人那須塩原市観光局 |
妙高(新潟県妙高市) |
MYOKO スノーリゾート~世界に誇れる観光地域づくり~ |
一般社団法人妙高ツーリズムマネジメント |
湯沢(新潟県湯沢町) |
湯沢町スノーリゾート形成計画~スノーエントリー層に世界一やさしい、多様な山の楽しみ方があふれる身近なスノーリゾートYUZAWA に向けて~ |
一般社団法人湯沢町観光まちづくり機構 |
白馬(長野県大町市、白馬村、小谷村) |
国際競争力の高いスノーリゾート形成計画(HAKUBAVALLEY) |
一般社団法人HAKUBAVALLEY TOURISM |
志賀高原(長野県山ノ内町) |
世界標準の「志賀高原マウンテンリゾート(SHIGA KOGEN MOUNTAIN RESORT)」へ飛躍に向けて地域一体で取り組む形成計画 |
志賀高原(長野県山ノ内町) |
野沢温泉(長野県野沢温泉村) |
野沢温泉スノーリゾート 国際競争力を高める魅力作りプロジェクト |
野沢温泉マウンテンリゾート協議会 |
斑尾高原(長野県信濃町、飯山市) |
北陸新幹線飯山駅を中心とした斑尾高原ハブエリア形成事業 |
斑尾高原スノーリゾート形成推進協議会 |
白樺高原(長野県芽野市、立科町、長和町) |
Eight Peaks Resort |
アジア至近の(スノー)リゾート醸成計画 |
郡上(岐阜県郡上市) |
EXPERIENCE POWDER SKIING IN JAPAN’S HEARTLAND“GUJO” |
一般社団法人郡上市観光連盟 |
米原(滋賀県米原市) |
新幹線米原駅を中心とした びわ湖の素 米原スノーリゾートの形成計画 |
一般社団法人びわ湖の素DMO |
中国でのウィンタースポーツ人気
スノーリゾートは近年、外国において特に人気が出てきています。特に中国では2022年に北京冬期五輪を控えており、ウインタースポーツ熱が高まってきています。
開催地である北京では、北京市体育局が市民にウインタースポーツ体験ができる氷雪公益体験券を無料で配布しました。その結果、春節の連休中に北京市延慶区(Yanqing)にある二つのスキー場でスキー客を延べ15,000人近く迎えました。
スキー客以外にもスノーリゾート関連の観光客の延べ人数は155,000人に達し、観光収入は1,000万元(約1億6,000万円)を超えたとされています。
なお北京以外でもスノーツーリズムは盛り上がっています。青島市のスポーツ局は今冬、おすすめ氷雪観光ルートとして新たにルートを公開しました。
すると春節の連休中、青島では氷雪観光の参加者数は延べ8万人を超え、例年の年間観光客数よりも40%増加しました。
また中国観光研究院(CTA)が発表した「中国氷雪観光発展報告(2021)」によると、「氷雪で遊ぶ」ことは、中国の冬の観光のファッショナブルな新たな国民的習慣となったといいます。
2020~2021年の氷雪シーズンには、中国の氷雪レジャー観光の参加者数は延べ2億3,000万人に達し、それによる収入は3,900億元(約6兆5,400億円)を超える見込みです。
関連記事:訪日中国人がスキー場にあつまる理由とは|国内で高まるウィンタースポーツ熱/コト消費に応えるスキー場づくり
オーストラリア、日本の「雪質がよい秘境」に注目
訪日オーストラリア人が例年、日本の冬の季節に日本の雪質の良さを求めて北海道のニセコ町をはじめとしたスノーリゾートによく訪れていることは知られています。
加えて近年では、日本のまだあまり知られていないスノーリゾート地を開拓したいという動きもあるようです。
先月オーストラリアで二年ぶりのリアル開催となった「Snow Travel Expo」では、今やウインタースポーツの目的地の定番となった「白馬」や「ニセコ」ではなく、新たなスノーリゾートを求める来場者が多いことがわかっています。
また同イベント開催者への取材によると、「渡航制限が緩和したらまず日本(に行きたい)」と考えている来場者が多くいるとコメントしています。
以上のオーストラリア人による日本の新たなスノーリゾートの開拓意欲や、中国でのウインタースポーツ人気の加速により、日本のスノーリゾート業界は今後ますます盛り上がることが予想されます。
関連記事:オーストラリア旅行博「Snow Travel Expo」現地レポート 「渡航制限なければまず日本」の声強く
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<参照>
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観光庁:「国際競争力の高いスノーリゾート形成促進事業」支援対象地域18件を選定
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