訪日中国人がスキー場にあつまる理由とは|国内で高まるウィンタースポーツ熱/コト消費に応えるスキー場づくり

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中国ではここ数年でウインタースポーツの人気が急激に高まっています。

かつて中国人観光客といえば、「爆買い」という言葉に代表されるような日本の家電や宝飾品、化粧品を大量に購入する姿がよく見受けられましたが、近年ではウインタースポーツが楽しめる日本のスキー場に多くの中国人観光客が見られるようになりました。

本記事ではなぜ中国人はスキーをはじめとしたウインタースポーツに魅力を感じているのか、また、中国人観光客から人気があるスキー場ではどのような対策を行っているかについて紹介します。

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なぜ中国人が日本のスキー場に来るのか

元々、「爆買い」を目的として訪日旅行をする人が多かった中国人が、なぜスキー場へ集まるようになったのでしょうか。

以下では、その要因と考えられる、中国におけるウィンタースポーツの現状や中国人観光客による流行の変化等といった観点から紹介します。

ウィンタースポーツの盛り上がり

中国でウィンタースポーツが盛り上がっている理由として、2022年に北京で冬季オリンピックが開催される予定であることが、大きな要因となっています。

冬季オリンピックの開催に伴い、中国政府はウィンタースポーツを盛り上げることを目指しており、スキー人口を2025年までに3億人に増加させることを目標としています。

トリップアドバイザーが2017年に実施した調査によると、アンケート回答者の62%がスキーを経験しており、さらにそのうち82%の人がスキーが好きであると回答しています。

中国人が訪れたい海外のスキー場の中には、カナダやスイスの他に、日本も挙げられており、日本のスキー場が中国人にとって魅力的に映っていることがわかります。

雪質の良さ

中国人が日本のスキー場に注目する理由としては、雪質の良さが挙げられます。中国のスキー場では人工雪を使用している場所が多く、雪質が良いとはいえません。

一方で、日本のスキー場では、多くのスキー場が本物の雪を使用しており、さらに柔らかく質が良いため、こうした雪を求めて日本のスキー場に来る中国人が多いとされています。

日本のスキー場に対する口コミからも、「雪質の良さ」に触れているものが多くなっています。

中でも長野県の白馬・北信エリアや新潟の妙高・湯沢エリア、および北海道のスキー場が人気であり、パウダースノーと呼ばれる程の雪質の良さからも、高い人気を得ています。

コト消費へのトレンドの変化

中国人の訪日目的は「爆買い」と呼ばれたモノ消費から、体験を重視するコト消費へと変化しつつあります。

そして、北京で開催予定の冬季オリンピックに伴って、国がウィンタースポーツを推進している影響で、スキーは観光における体験の1つとして人気となっています。

スキー場におけるコト消費「爆滑り」とも呼ばれており、近年多くの中国人が日本のスキー場へ訪れています。

六甲山スノーパークでは、中国や台湾からの観光客が増えたことで、10年前には600人程しかいなかった訪日外国人観光客数が、約2万人にまで増加しています。

各地のスキー場では、国内の利用客が減少傾向にあることも踏まえ、多くの中国人観光客を誘致しようと、多くの施策を行っています。

中国人が日本のスキー場に求めるもの

中国人観光客のニーズをしっかりと把握することで、より集客効果が増大するでしょう。中国人観光客は、日本のスキー場に対して、どのような対応を求めているのでしょうか。

以下では、中国人観光客が観光をより楽しむために必要としている事柄について、紹介します。

中国語での案内表示やサービス対応

各地のスキー場では中国人観光客を誘致するために、中国人向けの取り組みを多く行っています。

例えば、六甲山スノーパークでは、注意事項を記載した看板に、従来からあった日本語および英語での表記に加えて、中国語でも表記されています。

また、更衣室前に設置してあるモニターではスキー靴の履き方等のレクチャー動画を、中国語の字幕付きで流すことで、日本語や英語がわからない中国人観光客でもよりスキーを楽しめるよう工夫がされています。

さらに、中国語でのスキーおよびスノーボードの教室も開催されており、初めてウィンタースポーツを行う人でも楽しめます。

他にも、スキー場の公式サイトを中国語にも対応させることで、スキー場を訪れる前の情報収集の段階から、中国人が訪れやすい環境を整えています。

スキー+αの体験

スキー場では、中国人観光客の獲得に向けて、様々な施策を行っています。しかし、今後スキー市場をより拡大させていくためには、スキー以外でも付加価値となるアクティビティが必要であると考えられます。

例えば、旅行、温泉、生活および教育などが挙げられます。

生活とは、旅行先におけるショッピングや飲食が含まれており、スキーだけでなくこれらの要素も楽しんでもらえるようアプローチをしていくことが大切となります。

北海道の星野リゾートトマムや、長崎県の黒姫高原スノーパークなど、中国人から人気が出ているスキー場の多くが、温泉施設などのスキー以外の体験ができる場所を兼ね備えています。

このことからも、プラスアルファのアクティビティが重要であることがわかります。

アクセスの良さ

訪日外国人の中には、日本滞在中、交通手段がわかりにくいことにストレスを感じる人も少なくありません。特に、スキー場があるような地方では、アクセス手段が少なく、さらに日本語でしか表記がされていないことも多くあります。

そのため、訪日外国人にとって、情報収集が困難となる場合が多く、良い観光地があったとしても、なかなか訪れるのが難しい場合があります。

これを解消するために、空港や主要の駅から、スキー場までのアクセスをスムーズに行える手段の確保が重要となります。

シャトルバスを運行するなど、訪日外国人がアクセスしやすい環境をつくることで、より集客が増加するでしょう。

中国人の集客に成功しているスキー場

中国人から人気を得ているスキー場では、どのような取り組みを行っているのでしょうか。

中国人向けサイトでも紹介されているスキー場の中から、いくつかピックアップして紹介します。

湯沢GALAスキー場

湯沢GALAスキー場では、東京から新幹線で75分で行けるため、首都圏からのアクセスが良いスキー場として人気が出ています。シーズンには越後湯沢駅から無料シャトルバスが運行していて、最寄り駅からもスムーズな移動が可能です。

また、営業期間が12月からゴールデンウイークまでと長く開場されていることから、より多くの観光客が訪れやすいといえます。

場内は中国語で表記された注意書きや、中国語に対応した初級者向けのスキー教室を開催しており、中国人観光客も気軽にスキーを楽しめる環境が整えられています。

さらに、スキー場だけではなく、プラスアルファのアクティビティとして、温泉やマッサージ等が併設されているほか、キッズルームなども備えています。

複数のスキー場と隣接し、いくつものスキー場を楽しみたいスキー好きのために、近隣のスキー場との共通リフト券なども販売しています。

神立スノーリゾート

神立スノーリゾートは、100%天然雪を使用しており、いわゆる「パウダースノー」と呼ばれる雪質が良いものであるため、中国人観光客から人気が出ています。

スキーの技術レベルに応じた14か所のコースが設置されており、初心者から上級者まで楽しめます。アクセスの面では、越後湯沢駅から無料の送迎バスが運行しています。

また、スキー場では土日祝日の夜にコースがライトアップされ、普段とは異なる景色で滑れることも、魅力の1つとなっています。

来場前の情報収集では、公式サイトで英語、中国語およびタイ語に対応し、訪日外国人も訪問しやすくなるよう工夫がされています。

軽井沢プリンスホテルスキー場

軽井沢プリンスホテルスキー場も、東京から北陸新幹線で行けることから、アクセスが良いと人気が出ています。

近隣には軽井沢・プリンスショッピングプラザがあり、お土産などのショッピングを楽しんだりと、周辺施設が充実していることも人気がある理由の1つのようです。

こちらのスキー場でも、中国語に対応したスキー教室を開催しており、初心者でも楽しめるようになっています。

スキー場を運営しているプリンスホテルは、中国人観光客が増加する春節の時期に合わせて、日本文化の体験や、春節の季節ならではの食事を提供することで、より多くの中国人観光客を集めています。

中国人が日本のスキー場に求めるのは「質と体験」

中国では、政府によるウィンタースポーツ推進によって、多くの人がスキーに魅力を感じています。

そんな中、日本のスキー場はパウダー状の質の良い雪が中国人から人気を集め、今後さらに中国人観光客が増加することが予想されています。

しかし、集客の面で中国人観光客の増加だけを頼りにするのではなく、スキー場側が積極的に顧客を呼び込むことも大切です。

中国語を中心とした多言語対応や、交通の便を整備するなど、より観光客がスキー等のウィンタースポーツを楽しめる環境をつくることで、今後さらに利用客が増加していくでしょう。

さらに、スキー場だけではなく、プラスアルファのアクティビティを充実させることも重要となります。スキー以外にも見どころを増やすことで、観光客のさまざまなニーズを満たし、集客につなげることができるでしょう。

2020年は新型コロナウイルスの影響によりインバウンドがほぼストップしている状態ですが、収束のタイミングによっては、早ければ今年の冬にも訪日客の戻りが期待できるかもしれません。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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