訪日ラボは4月12日、(一社)地方創生パートナーズネットワーク様(以下、R-NET)の主催する「【第1回】観光庁後援 DMOスノーリゾートマーケティング勉強会」に共催として参画しました。
当勉強会では、コロナ禍でも5時間待ちの行列を作った「ヤッホー!スウィング」の仕掛け人、岩岳リゾート社長の和田寛氏による事例紹介のほか、R-NET代表理事の村松知木氏、訪日ラボ・川西によるオンライン商談会の説明や、アソビュー!の伊藤優氏、WAmazingの青木里美氏によるスノーシーズンにおける商品販売プラットフォームの説明が行われました。
当勉強会の様子を一部紹介します。
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スノーツーリズム勉強会とは
本勉強会では、R-NETが司会進行の元、白馬・岩岳で6年間スノーツーリズムに携わってこられた和田寛氏が事例を紹介されました。
和田氏は、白馬の現状と課題について言及し、そこから分析した取るべき戦略の方向性、そしてスノーツーリズム業界全体のあるべき姿についてデータに基づきながら丁寧に説明されました。
そのほか訪日ラボによるコロナ禍でも開催できるオンライン商談会についての説明や、アソビュー!による訪日外国人向け商品プラットフォームの紹介、WAmazingのブッキングプラットフォームの紹介も行われました。
スノーツーリズム関連事業者にとって、コンテンツづくりのヒントから商品販路の整備までを一度に理解できる有意義なものとなりました。
訪日ラボ|オンライン商談会について
訪日ラボからはコンサルティング事業部 部長、川西が登壇し、海外旅行会社との「オンライン商談会」のメリットと商談会実施の際に伝えるべき情報について解説しました。
「オンライン商談会」は訪日ラボが自治体やDMOの協力を得て開催している、日本の事業者と海外の旅行会社をつないでオンライン上の商談を実現するサービスです。
時間・移動コストの削減、精度の高い旅行会社マッチング、商談後のフォローアップに力を入れており、従来の商談会にありがちだったデメリットを解消しています。
川西はまた、海外の旅行会社が求めている情報のポイントとして、日本の観光情報を2021年度版にアップデートすること、コロナ対策情報を発信することを挙げました。
渡航が厳しく制限されている現在では、海外の旅行会社は日本の情報がなかなか入手しにくい現状があります。過去の資料の使いまわしを避け、アップデートした情報を発信する重要性について言及しました。
そのほか、マスク着用の徹底、アルコール消毒、体温計設置などのコロナ対策についてもより具体的に発信すべきということです。
海外旅行会社の訪日旅行の販売開始予定については、「渡航解禁後となる」と回答した旅行者が35%であり、特に2022年を見据えた情報収集が活発化していることについても言及しています。
白馬岩岳でのスノーツーリズム事例について
岩岳リゾート社長の和田寛氏により、主に白馬岩岳のスノーツーリズムについての事例紹介がありました。
岩岳リゾートの現状として、白馬村での観光客数はコロナ禍前の時点では底を打っていたといいます。
また課題として2014年から外国人スキー客が急増しているものの、国内市場の高齢化やスキー人口の減少、価格下降圧力にともない安売り競争に陥ってしまっている状況を指摘しました。
これらの課題に対し、和田氏は『「冬の白馬」から世界水準の「オールシーズン マウンテン リゾート」へ』を掲げ、大自然の中で様々な「非日常感」をどの季節でも提供することのできるリゾートへの変革を目指しています。
「オールシーズン マウンテン リゾート」の取り組みは多岐にわたります。和田氏は取り組みへの実施軸として以下の5つをあげました。
- 外部ブランドとのタイアップを通じた既存施設の魅力化
- 手軽に非日常感を味わえる場の創出
- 長期滞在に適した環境の整備
- グリーン期のアトラクション増強
- 地域と一体となった「街の魅力」向上
手軽に非日常を味わえる場として、都市部でも人気のTHE CITY BAKERY(シティベーカリー)とコラボレーションしたカフェを併設した展望施設HAKUBA MOUNTAIN HARBORを開業し、1か月で約3万人観光客を増やすことに成功しました。
またグリーン期のアトラクション増強を行うために、白馬岩岳リゾートでは、コロナ禍である2020年8月に「ヤッホー!スウィング」をオープンしました。
最大5時間以上の待ち列ができ、多くのメディアでも紹介されるほど人気のアトラクションとなりました。
『地域と一体となった「街の魅力」向上』を目指してつくられた「Iwatake Green Park」においては、昨今のテレワーク需要を考慮し「リゾートテレワーク」としてアウトドアチェア、テーブル、電源、WiFiの整備も行われました。
別次元の軸である『長期滞在に適した環境の整備』も同時に行われており、効率的に整備が進められています。
最後に、スノーリゾート全体に向けて、より魅力的なスキー場づくりを進めていくために必要なことについて言及しました。
スキー場単体での努力だけではなく、地域一体となったエリア全体の魅力アップ・効果的なプロモーションの重要性や、スキー場以外での付加価値創出の重要性について語っています。
アソビュー!による観光商品プラットフォームの説明
和田氏に続き、リゾート経営者がどのようにして観光商品を販売するのか、アソビュー!の伊藤優氏が登壇しました。
国内最大級の体験予約・レジャー商品販売サイトであるアソビュー!は月間PV数2,000万を誇っており、国内外で体験予約・レジャー商品販売を行っています。
アソビュー!では、インバウンド向け商品をもつ事業者のために「アソビューグローバルプラットフォーム」を提供しており、海外大手OTAとの連携や多言語サポート体制、国内海外両面での販売を一括管理するといったサービスを展開しています。
伊藤氏は夏から秋にかけてスキー場の問い合わせが増えていることについて触れ、インバウンド向けのプレミア商品を造成した際にアソビュー!に登録することで、効果的な販路拡大の支援が行えるとしています。
WAmazingによるWAmazing Snowについての説明
WAmazingからは青木里美氏が登壇し、スノーアクティビティ・ブッキングプラットフォームであるWAmazing Snowについて紹介されました。
WAmazing Snowは、日本国内の266箇所のスキー場と提携し、リフト券から宿泊の販売までを一挙に請け負っています。
特に台湾、香港からの観光客が多く、北海道や志賀高原のスキー場が人気であると青木氏は説明しています。
誘客者数は、コロナ禍以前の19~20年シーズンでは18~19シーズンの2.3倍、平均客単価は1.7倍に増加しています。
WAmazing Snowの強みとしてコスト削減と多言語対応を同時で進められることのほかに、複数のスキー場の商品をまとめて販売しており、チケット管理システムが違っていても共通券として販売できることを打ち出していました。
青木氏はセット券を販売すると客単価が向上していることについて触れ、セット券販売の有用性について語られました。
コンテンツ作りと商品販路の確保で観光客確保へ
今回のスノーツーリズム勉強会では、スノーリゾート地の観光地としての魅力を、冬だけでなくオールシーズン提供できるような磨き上げが重要だということが伝えられました。
国内市場が漸減していく中求められているのは、冬だけにとらわれずリゾート地としてのポテンシャルを最大限に活かすことによる、世界と戦える観光地です。
こうした観光資源の磨き上げのほか、新規販路の拡大と整備についても今から準備しておきたいところです。今回登壇したソリューション企業のサービスの活用も選択肢となるでしょう。
ワクチン普及が急速に進む昨今、インバウンド再開の時期は確実に近づいています。
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