11月24日、「世界の都市総合力ランキング」の2021年版が発表されました。
世界中が新型コロナウイルス感染症の影響を受ける中、首位は6年連続でイギリスのロンドンが受賞しました。2位はアメリカのニューヨーク、3位には日本から東京がランクインしています。
「世界の都市総合力ランキング」2021年版発表
「世界の都市総合力ランキング(Global Power City Index, GPCI)」は、財団法人森記念財団都市戦略研究所が2008年より 調査・発表しているランキングです。
世界の主要48都市を対象に、各都市の「総合力」を経済、研究・開発、文化・交流、居住、環境、交通・アクセスの6分野から評価しています。
ロンドンが6年連続1位に、東京が追い上げを見せる
まず、ランキングの総合順位は以下のようになりました。

総合1位はイギリス・ロンドンでした。今回で6年連続の首位受賞となります。
しかし詳細なスコアには、コロナ禍によってロンドンが打撃を受けたことが示されています。「国内・国際線旅客数」のスコアが下落したため「交通・アクセス」分野で1位から3位へと順位を落としたほか、「経済」でも 「従業者数」の減少などによりスコアを落とす結果となりました。
続く2位はニューヨークです。ニューヨークは、5年連続「経済」と「研究・開発」の分野で首位を維持しており、今年もスコアを伸ばしました。
一方、ロンドン同様にコロナ禍の影響を受けて「交通・アクセス」で苦戦し、昨年の1位から今年は3位へと下落しました。また、「完全失業率の低さ」や「働き方の柔軟性」などの就業環境の指標も減少しており、 ニューヨークの課題が浮き彫りとなりました。
3位には日本の首都、東京がランクインしました。順位は昨年と変わりありませんが、偏差値を見ると昨年よりも上昇しており、上位2か国との差が縮まっていることがわかります。
原因としては、「居住」分野で12位から9位へと3つ順位を伸ばしたことが挙げられます。これは「働き方の柔軟性」が大きく改善され、昨年の41位から2位に飛躍したことが原因と考えられています。これにより、「環境」を除く5分野でトップ10入りを果たしました。
一方、「経済」分野では4位を維持したものの、3位北京との差は広がっています。昨年は2国間の差が21.3ポイントでしたが、今年は22.6ポイントでした。また、5位香港と6位チューリッヒとのスコア差は僅差となっているため同分野での更なる躍進が求められるでしょう。
なお、日本からは東京の他に大阪、福岡の2都市が対象都市として評価されています。それぞれの総合ランキングは、大阪36位、福岡42位でした。

コロナ禍が及ぼした影響とは?東京にはプラスの影響
先述の通り、新型コロナウイルス拡大によって「国際人流」をはじめとしたさまざまな分野、指標にマイナスの影響がありました。
そうした中、東京には総合スコアに対してプラスの影響がみられています。「働き方」と「国際人流」のスコアが特に伸びており、国際人流については東京五輪によって 「文化イベント開催件数」のスコアが大きく増加したことが起因しているとされています。
なお、他に総合スコアに対してプラスの影響が見られたのは、マドリード、上海、アムステルダムなどでした。一方で、マイナス影響を被った都市もあります。総合1位、2位のロンドンやニューヨークにはマイナス影響が表れており、最も大きかったのはシンガポールでした。

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<参照>
一般財団法人森記念財団都市戦略研究所:プレスリリース
一般財団法人森記念財団都市戦略研究所:「世界の都市総合力ランキング」 2021年版 概要
一般財団法人森記念財団都市戦略研究所:「世界の都市総合力ランキング」 2020年版 概要