一時支援金とは、政府が給付金によりコロナ禍における事業者の支援を行う取り組みです。
本記事では一時支援金の概要や対象事業者、さらに新しい支援策の「事業復活支援金」について解説します。
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一時支援金の概要
緊急事態宣言やまん延防止措置に伴う一時支援金の概要について解説します。
一時支援金とは
一時支援金とは、2021年1月7日に発令された緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業または不要不急の外出・移動の自粛により、特に大きな影響を受けた事業者に一時金を支給するものです。
緊急事態宣言の影響が特に大きい2021年1月~3月までの期間における影響を緩和して、中小法人・個人事業者等の事業継続及び立て直しを支援する取り組みで、現在は申請受付は終了しています。
給付要件
給付を受けるためには、以下の要件をすべて満たす必要があります。
- 緊急事態宣言に伴う飲食店時短営業又は外出自粛等の影響を受けていること
- 2019年比又は2020年比で、2021年の1月、2月又は3月の売上が50%以上減少していること
- 登録確認機関から事前確認を受けていること
給付額・対象期間
給付額は、特例が適用されない場合、以下の算定式で算出されます。
給付額 =2019年又は2020年の対象期間の合計売上-2021年の対象月の売上×3ヶ月
給付額の上限は、中小法人等が上限60万円、個人事業者等は上限30万円となっています。
また対象月は、1~3月の対象期間内に、2019年又は2020年の同月と比べて、緊急事態宣言の影響により事業収入が50%以上減少した月となります。
一時支援の対象となる事業者
一時支援の対象となる事業者について説明します。
基本的には給付要件を満たす事業者なら、業種や地域を問わず給付対象になります。
給付対象について
給付対象について解説します。
1.中小法人
中小法人の場合、以下の(1)~(3)のいずれの条件も満たす必要があります。
(1) 2021年3月1日時点において、次の条件のいずれかを満たす法人である必要があります。
- 資本金の額又は出資の総額が10億円未満であること
- 資本金の額又は出資の総額が定められていない場合は、常時使用する従業員の数が2,000人以下であること
(2) 2019年以前から事業を行っている者であって、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響が顕在化する前の1月~3月をその期間内に含む全ての事業年度及び対象期間において、事業収入(売上)を得ており、今後も事業を継続する意思があること。
(3) 対象期間内に、基準年の同月と比べて、緊急事態宣言影響により事業収入が50%以上減少した月が存在すること。
2.個人事業者(事業所得)
フリーランスを含む個人事業者の場合、以下の(1)と(2)のいずれの条件も満たす必要があります。
(1) 2019年以前から事業を行っている者であって、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響が顕在化する前の1月~3月をその期間内に含む全ての事業年度及び対象期間において、事業収入(売上)を得ており、今後も事業を継続する意思があること。
(2) 対象期間内に、基準年の同月と比べて、緊急事態宣言影響により事業収入が50%以上減少した月が存在すること。
3.個人事業者(主たる収入が雑・給与所得)
雇用契約によらない、業務委託契約等に基づく事業活動からの収入を、主たる収入として、税務上の雑所得又は給与所得で、確定申告をしているフリーランスを含む個人事業者の場合、以下の(1)~(4)のいずれの条件も満たす必要があります。
(1) 2019年以前から事業を行っている者であって、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響が顕在化する前の年及び対象期間において、雇用契約によらない業務委託契約等に基づく事業活動からの収入で、税務上、雑所得又は給与所得の収入として扱われるものを主たる収入として得ており、今後も事業を継続する意思があること。
(2) 対象期間内に、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響が顕在化する前の年の月平均の業務委託契約等収入と比べて、緊急事態宣言影響により業務委託契約等収入が50%以上減少した月が存在すること。
(3) 基準年の1月~3月まで及び対象期間以降において、被雇用者又は被扶養者ではないこと。
(4) 基準年の確定申告において、確定申告書第一表の「収入金額等」の「事業」欄に記載がないこと 。
給付対象の具体例
給付対象となり得る事業者の具体例として、以下が挙げられます。
- 対象措置実施都道府県のお客様に商品・サービスを提供する全国の事業者
小売事業者(雑貨店、アパレルショップ等)、対人サービス事業者(理容店、美容室、クリーニング店、マッサージ店、整骨院、整体院、エステティックサロン、結婚式場、運転代行業等) 等
- 教育関連の事業者
- 医療福祉関係の事業者
- 文化・娯楽関連の事業者
博物館、美術館、動物園、植物園、水族館、公園、遊園地、公衆浴場、興業場、興業団等、映画館、カラオケなど - 旅行関連の事業者
ホテル、旅館、旅行代理店、レンタカー、タクシー、お土産屋など - 上記事業者と取引がある全国の事業者
経営コンサルタント
システム開発などを提供する事業者
映像や音楽の制作を行う事業者
飲料や食料品の卸売を行う事業者
※例えば、緊急事態宣言によって休業や時短営業等を行っている飲食店に対して料理の材料等を搬入している食品加工業、飲食店に対し割箸やおしぼり等の備品を納入している販売事業者も対象となります - 漁業や農業を営んでいる事業者
直接関わる事業者だけではなく流通関連事業者や飲食品の生産者、飲食関連の器具・備品の生産等の間接的に関わる事業者
給付対象外のケース
給付対象外となるケースは以下の場合です。
事業活動に季節性のあるケース(夏の海水浴場)における繁忙期や農産物の出荷時期以外など、通常事業収入を得られない時期を対象月として、緊急事態宣言の影響で事業収入が減少したわけでないにも関わらず給付を申請する場合などがあります。
- 対象措置とは関係なく、売上計上基準の変更や顧客との取引時期の調整により対象月の売上が減少している場合
- 対象措置とは関係なく単に営業日数が少ないことにより対象月の売上が50%以上減少している場合
- 売上が50%以上減少していて対象措置実施都道府県に所在する事業者であっても、給付要件を満たさない場合
- 地方公共団体による対象月における休業・時短営業の要請に伴う「協力金」の支給対象となっている事業者
「事業復活支援金」申請期間や給付額など
一時支援金の申請は2021年で受付を終了しましたが、新型コロナウイルスの影響で売上が減少した中小事業者等を支援する「事業復活支援金」の申請受付が、2022年1月31日から開始しています。
事業復活支援金は、一時支援金を給付された事業者も対象となります。
「事業復活支援金」とは
事業復活支援金とは、新型コロナウイルスの影響で2021年11月~2022年3月のいずれかの月の売り上げが、前年か2年前の同じ月より30%以上減った中堅・中小・小規模事業者、フリーランス、個人事業者に対し、最大250万円を支給する支援金のことです。
基本的に受付を終了した一時支援金の給付対象と変わりません。
202年11月19日に公開された中小企業庁の事業復活支援金事務事業の実施計画書に、この日までに決まった給付条件が書かれています。
基本的な仕組みは、一時支援金や月次支援金を参考に作成されると見込まれます。
給付上限額は事業規模によって異なり、年間の売上高が1億円未満の事業者は最大100万円、5億円以上は250万円とし、個人事業主には50万円となります。
ただし売り上げが50%以上減少した場合、法人は最大250万円、個人事業主は最大50万円となりますが、売上減少が30%以上50%未満だった場合は、法人が最大150万円、個人事業主が最大30万円となります。
給付額は、上限額を超えない範囲で「基準期間の売上高」と「対象月の売上高」に5をかけた額との差額となります。(給付額 =(基準期間の売上高)ー(対象月の売上高)×5)
申請に必要なもの
- 必要な申請書類
申請には、確定申告書、通帳(振込先が確認できるページ)、履歴事項全部証明書(法人)、本人確認書類(個人)、宣誓・同意書、対象月の売上台帳などが必要です。
申請する事業者の状況によって、必要書類が変わってきます。 - 申請方法
電子申請が基本で、登録確認機関による事前確認の後、1月31日に開設されたWEBページから申請が可能です。
電子申請が難しい事業者向けには申請サポート会場が運営されています。 - 申請期間
2022年1月24日に申請要領、給付規程などの詳細が中小企業庁の公式サイトに公表され、1月31日15時から通常申請の受付が開始されています。
ただし、後段で説明する特例の申請は2月18日からの受付になる見込みです。
支援金、幅広い事業に対応 事業者は申請期間に注意
緊急事態宣言による影響として、注目されることが多いのは飲食店ですが、飲食店以外でも人出の減少により旅行業や小売業、サービス業なども同じようにダメージを受けています。
これらの事業者を総合的に支援するのが一時支援金です。
また、申請期間は限られています。
もし一時支援金の申請期間を逃してしまった方も、事業復活支援金など派生の支援金制度が実施されることを踏まえて、自分の事業が対象であるか証明できる準備をしておくことで素早く申請することが重要です。
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<参照>
中小企業庁:一時支援金とは
経済産業省:事業復活支援金
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