日本の水際対策、外国人の入国規制の緩和へ 現状を解説

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新型コロナウイルスの感染拡大以降、日本への外国人の入国者数は大きく減少しています。

そのなかでも、日本政府が続ける「外国人の原則入国禁止」は「厳しすぎる」と緩和を求める声も多く上がっています。

本記事では、最新の海外の情勢も踏まえて日本の入国規制に関する現状を詳しく解説します。

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外国人の新規入国制限の見直し

出入国在留管理庁によると、2021年の外国人入国者数は約35万人で、コロナ禍の影響があった前年に比べても約395万人減少しています。

この大幅な減少は、査証(ビザ)の発行も含めた「水際対策」が大きく影響しています。

そもそも原則として、外国人が入国する際には、滞在先の国・地域の日本国大使館・総領事館・領事事務所において、入国目的を明示したうえでビザの交付を受けなければなりません。

そして入国時に、「水際対策」として伝染病や有害生物などの上陸を阻止するため、空港や港などで検疫や検査が実施されます。

コロナ禍における現在においては、2021年11月から変異株であるオミクロン株の流行を受け、入国するために必要な査証(ビザ)申請時点での入国目的を「特段の事情」を持つ公益性・緊急性が高い人に限定しました。これは外国人の新規入国を原則禁止したことと同義であり、入国が極めて困難となっています。

また水際対策として、通常時では入国後の隔離はないものの、コロナ禍により入国後7日間の自宅待機、公共交通機関の不使用などが課されています。

これらの理由から、旅行や観光、ビジネス目的などでの短期滞在は極めて困難となっています。

外国人の新規入国を原則禁止する措置は、コロナ禍においても特に厳しい措置であり、元々2021年末までの期限でした。

しかし、オミクロン株の流行によって感染拡大が収まらない現状から繰り返し延長され、現在のところ2月末まで延長されています。

3月から水際対策緩和へ

しかし、2月18日、「第六波」の出口戦略に向けて、これらの措置が緩和されると発表されました。

3月1日から、1日当たりの入国者数を5,000人と現状より1,500人引き上げるほか、外国人の入国についてもビジネス関係者、留学者などを対象とし認める方針です。

さらに岸田総理は、入国後の隔離期間についても、一定の条件を満たせば免除すると述べました。

ただし、依然として外国人観光客の入国は認められていない状態であり、観光需要の回復は未だめどが立っていません。

関連記事:入国上限5,000人に引き上げへ 3月から 日本政府

外国人の入国規制緩和を求めたデモも

3月から留学生も含めて入国が許可される見込みですが、一時期は留学生も入国できないことに、世界から大きな不満の声が上がっていました。

出入国在留管理庁によると、日本への留学を希望しているものの入国できずにいる外国人の数は、2021年10月1日の時点でおよそ14万7,800人にのぼっています。

ヨーロッパやアジアなど8か国では1月28日、日本への留学などを希望する外国人が現地の日本大使館などの前に集まり、入国制限を緩和するよう訴えました。

また留学生の入国を支援する市民団体も1月27日にオンライン会見を開き、日本の水際対策をできるだけ早く緩和するよう求めました。

会見では、外国人の入国制限を緩和するよう日本政府に求める署名を同月にインターネット上で募ったところ、賛同者が世界で3万4,000人を超えたことなども報告されました。

関連記事:日本への留学希望者、入国制限の早期緩和求める

他国の観光客における「入国緩和」について 

ここでは、他国の水際対策について、 観光目的での入国を認めている国を紹介します。

オミクロン株の影響により、一度は水際対策が強化された国もあったものの、感染状況が落ち着いてきたことから観光客も含めて水際対策を緩和する国が徐々に増加しています。

またイギリスにおいては、コロナに感染しても隔離を撤廃する動きを見せており、コロナ後の世界に向けて歩みを進めています。

関連記事:「開国」進む世界 各国で入国制限解除、観光再開相次ぐ

【イギリス】コロナ規制を全廃へ

ジョンソン首相は、2月21日、イングランドで新型コロナウイルス対策のすべての法的規制を撤廃すると発表しました。

新型コロナウイルスに感染した人の隔離措置の法的義務についても今月24日に廃止し、無料の大規模検査も4月1日から取りやめるとしています。

旅行者においてはすでにワクチン接種済みの人への隔離および検査の免除、未接種者に対しても検査のみで隔離は不要となっています。

なおスコットランドにおいては、自治政府によりこの制限解除の対象外です。また同様に自治政府があるウェールズ、北アイルランドにおいてもこの制限が解除されるのかはどうかは不透明な状態が続いています。

【オーストラリア】2年ぶりに外国人観光客の受け入れ再開

オーストラリアでは、コロナ禍において世界的にも厳格な入国制限を実施していました。

しかし、ワクチン接種を条件に2月21日から外国人観光客の受け入れを再開しました。

オーストラリアの商工会議所によると、コロナ禍以前は観光業が国の輸出収入に年間450億オーストラリアドル(約3兆7,331億円、訪日ラボ編集部換算)の効果をもたらしていましたが、この2年間はほぼ0だったとしました。そして、観光業に携わる人々の雇用面も含めて外国人観光客の受け入れ再開は不可欠だとしました。

【フィリピン】2月に外国人観光客の入国解禁「ワクチン接種条件」

フィリピン政府は1月28日、新型コロナウイルスワクチン接種者を対象に、外国人観光客の入国制限を解除することを明らかにしました。

コロナ禍で打撃を受けた観光業界の復活を目指し、ビザ取得を免除している150の国・地域を対象として2月10日から観光目的での入国も許可されています。

【タイ】2月に外国人観光客の隔離免除制度を再開

タイ政府は1月20日、外国人観光客の入国時の隔離を免除する「テスト・アンド・ゴー」制度を、2月1日から再開すると発表しました。

滞在期間の規定も設けず、5日以内などの短期滞在でも可能だとしています。

タイ政府報道官は、死者数も入院者数も急増していないため再開を決定したと発表しました。

外国人観光客の入国再開に向けて準備を

日本政府は「外国人の新規入国停止」について2月末まで継続する方針で、緩和の方向性は見られるものの、原則として観光客の入国を禁止するなど、水際対策の緩和には時間を要する模様です。

一方、他国では続々と観光客の受け入れ再開も始まっており、イギリスでは入国時だけでなく一般的なコロナによる規制も撤廃されようとしています。

世界の情勢を踏まえると、観光客入国再開の時期について不透明ではあるものの、徐々に解禁されることが予想されます。入国再開に向けて、外国人観光客を迎え入れるための準備が必要になると考えられます。

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<参照>
オーストラリア商工会議所:Open Sesame! Tourists, business travellers return today
外務省:新型コロナウイルスに係る日本からの渡航者・日本人に対する各国・地域の入国制限措置及び入国に際しての条件・行動制限措置
出入国在留管理庁:令和3年における外国人入国者数及び日本人出国者数等について(速報値)

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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