インバウンド消費額の拡大と地方誘客を推進していくにあたり、注目を集めているのが「高付加価値旅行」です。
日本政府観光局(JNTO)は海外の旅行会社を招請し、5月17日〜22日にかけて、富裕層向け高付加価値旅行商談会として「Japan Luxury Showcase 2026」を開催しました。
訪日ラボは、初の大阪開催となった本イベントを取材。本記事では、JNTOの取り組みと商談会の様子などについてご紹介します。
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消費額拡大の鍵を握る「高付加価値旅行」とは
第5次観光立国推進基本計画では、訪日外国人旅行消費額について「2030年までに15兆円」という目標が掲げられています。そこで、観光庁やJNTOが重点的に取り組んでいるのが「高付加価値旅行」の推進です。今回、JNTOの高付加価値旅行推進に向けた取り組みについて、市場横断プロモーション部長の藤内氏より説明がありました。

高付加価値旅行の消費額は全体の約2割
高付加価値旅行者(富裕層)とは、訪日旅行1回あたりの総消費額(国際航空券代を除く)が100万円以上の旅行者のことを指し、一般的に知的好奇心や探究心が強い傾向にあるのが特徴です。高付加価値旅行者は訪日旅行者全体の約2%(約59万人)にすぎないものの、消費額は約19%(約1兆円)を占めているため(2023年時点)、この層を積極的に取り込むことが、消費額のさらなる拡大に向けて重要だと考えられています。一方で、高付加価値旅行の多くが都市圏に集中していることなどの課題も指摘されています。
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高付加価値旅行推進に向けた取り組み
高付加価値旅行者の地方誘客を推進していくにあたって、「ウリ(魅力のあるコンテンツの発掘・造成)」、「ヤド(宿泊施設)」、「ヒト(地方への送客・ガイド・ホスピタリティ)」、「コネ(海外高付加価値層とのネットワーク・情報発信)」、「アシ(移動のシームレス化への対応)」のそれぞれに課題がある状態であり、JNTOとしては海外に設けている事務所を活用して「コネ」の部分を中心に取り組みを進めていると説明しました。2026年度については、モデル観光地をはじめとする地方誘客と消費額拡大を目的に、以下の5つの観点を継続的に強化しています。
- 国内関係者のネットワーク化
- 高付加価値旅行者向けサービス内容の収集・蓄積
- 海外旅行会社へのセールス
- 消費者向け情報発信
- ガイド研修
上記のうち、海外会社へのセールスの一環として、「Japan Luxury Showcase」が継続的に開催されています。
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「Japan Luxury Showcase 2026」大阪で初開催
高付加価値旅行者層の誘客拡大に向けた取り組みの一つとして実施されているのが、今回の「Japan Luxury Showcase」です。Japan Luxury Showcaseは2017年より定期的に東京にて開催されていますが、大阪・関西万博を契機にラグジュアリーホテルの新規開業が続いていることを受け、今回初めて大阪で開催されました。グリーンシーズンの魅力訴求を強化するため、開催月は従来の2月から5月に変更されました。
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開催概要
開催期間は5月17日〜22日の6日間。そのうちファムトリップは17日〜20日の3泊4日、商談会は21日・22日に実施されました。
今回、Japan Luxury Showcaseに参加した海外バイヤーは、欧米豪・シンガポールの旅行会社40社で、シンガポールは初参加です。またセラーとして、国内のラグジュアリーホテル・旅館、DMC、運輸事業者の60社が参加しました。

ファムトリップでは10コースを設定
5月17日〜20日までの3泊4日で実施された海外バイヤー向けのファムトリップでは、東北海道や山形、紀伊山地、瀬戸内、山陰といった10コースが設けられました。東北海道ではアイヌ文化ガイドツアー、山形ではサムライ体験、紀伊山地では高野山奥の院プライベートツアーなどが実施され、ファムトリップの参加者からは「特別な体験だった」や「ここでしか体験できない」という声も多く、その地方ならではの体験を満喫できたようです。
ここでしか体験できない、素晴らしくユニークでとても意義のある体験でした。
「東北海道・アイヌ文化ガイドツアー」(シンガポール)
居合神社での居合道サムライ体験は、日本でこれまでに体験した中でも最もユニークで本格的な文化体験のひとつでした。また、クライアントからのリクエストも非常に多い人気の伝統体験であり、自信を持っておすすめできる内容だと実感しました。
「山形・居合抜刀術サムライ体験」(カナダ)

海外バイヤーの声 「富裕層は他で得られない体験を求めている」
Japan Luxury Showcaseの21日から22日には、国内のラグジュアリーホテルや旅館が参加した商談会が行われました。訪日ラボは、商談会に参加したアメリカに拠点を持つ旅行会社Furthermore Travelのバイヤーにお話を伺いました。実際に訪日するのは今回が初めてで、訪日経験のある富裕層旅行者向けの新たな提案のために視察しているとのことです。
ファムトリップでは、社内の訪日経験豊富な上司に相談した末に、瀬戸内を巡るツアーに参加。瀬戸内の島々でアートを鑑賞したほか、広島県の宮島にも訪れたといい、「ファムトリップがなければ知ることはできない場所だった」と、ツアーに満足している様子で「とても幸せで、また日本に戻ってくるのが待ちきれない」という感想を伝えました。
また「実際に訪れたことで以前にはなかった知識を顧客に提供できるようになった」と述べ、「今は本当に素晴らしい景色で見る価値があると顧客に伝えられる」と話しました。

富裕層が訪日旅行で求めているものについては、「ラグジュアリーであると同時に、他の人は簡単に経験できないような、自分が特別な存在だと感じられる体験が必要」と語りました。
たとえば子連れの家族がサムライ体験をしたり、京都を訪れた母娘が芸者の格好で写真を撮ったりといった、その地域ならではの体験が求められているといいます。
また富裕層といっても、有名な観光地を訪れたい家族連れ、他とは違うものを体験したい人、酒造所に行きたい人などさまざま旅行者がいるため、テンプレート化された体験ではなく、それぞれの需要や好みにあった体験を提供する必要があると語りました。
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