長引くコロナ禍によって、未だ先行き不透明なインバウンド業界。新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」の感染拡大がつづくなか、世界では少しずつ国際観光のゲートを開ける国も現れています。
日本国内のインバウンド業界に携わる方々は今なにを考え、どのような行動を取っているのでしょうか。
今回訪日ラボでは、訪日ラボのメルマガ会員向けに独自アンケート調査を行いました。その結果をご紹介します。
※調査結果の後編は以下の記事で紹介しています。
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<調査概要>
- 調査対象:訪日ラボWebサイト読者・訪日ラボメールマガジンユーザー
- 調査方法:インターネット調査
- 調査時期:2022年1月26日〜2022年2月2日
- 回答者数:131名
- 設問数:24問(回答内容によって異なります)
※なお、本調査結果の「都市部」と「地方」を分けた回答について、「都市部」は総務省の「大都市部」の定義に基づき、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、愛知県、大阪府の6都府県としています。また、企業の所在地を「その他・海外」とした回答は含みません。
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インバウンド誘致、「コロナ後」も67.9%が積極姿勢
「コロナ禍前(2019年まで)と比較した時、インバウンド(訪日外国人観光客)を誘致する方針にどう変化がありましたか?」という質問に対して、結果は以下のようになりました。

回答詳細
- 積極的である 48.1%
- やや積極的である 19.8%
- 消極的だ 30.5%
- 完全に撤退意向である 1.5%
という結果になりました。訪日外国人観光客の入国制限が2年近くつづく中でも、7割近くの事業者はインバウンド誘致への積極的な姿勢を崩していないことがわかります。
インバウンドによる「リベンジ消費」期待、国内市場の先細りへの懸念目立つ
上記の質問でコロナ後のインバウンド誘致に「積極的である」「やや積極的である」と回答した方に対して、「コロナ後のインバウンド誘致に積極的である理由について教えてください。」という質問をしました。その結果は以下のようになりました。

回答詳細
- 入国制限が解除されたあとの、インバウンド(訪日外国人観光客)需要のインパクトに期待しているから 37.1%
- 日本人観光客の観光消費のみでは、将来的に先細っていくと考えられるから 29.3%
- コロナ前、インバウンド(訪日外国人観光客)による消費が大きかったから 16.2%
- コロナ前からインバウンド(訪日外国人観光客)をメインターゲットにしたビジネスをしているから 16.2%
- その他 1.2%
という回答割合となりました。
海外旅行ができない状況が続く中で、渡航制限が解除された時の爆発的な需要である「リベンジ消費」に期待していることが考えられます。
また、日本国内のみの市場では将来的に先細りを懸念する声も多いことがわかります。
岸田政権に対して観光・インバウンド「期待できる」36.7%
2021年11月から成立したいわゆる「岸田政権」に対して、観光・インバウンド関連事業者はどのようにみているのでしょうか。
「オミクロン株」の急速な感染拡大への対応など、就任まもなくから大きな舵取りを迫られた現政権に対しての印象について調査するため、「インバウンド業界・観光業界にとって、岸田政権は期待できますか?」という質問を行いました。その結果は以下のようになりました。

回答詳細
- 大きな期待ができる 3.1%
- まあまあ期待ができる 33.6%
- あまり期待ができない 52.7%
- 全く期待ができない 10.7%
という結果になりました。
「大きな期待ができる」「まあまあ期待ができる」を合計すると36.7%という結果です。単純な比較はできませんが、2020年9月の菅政権成立直後に行った訪日ラボのメルマガ会員向けに行った調査では、72.5%が「大きな期待ができる」「まあまあ期待ができる」と回答していました。
現在の岸田政権には、観光・インバウンド事業者から厳しい目線が向けられているといえるでしょう。
政府へ「感染症法の位置付け見直し」求める声強く
「インバウンド業界・観光業界として、岸田政権になにを求めたいですか?」という質問について、以下の結果となりました。

回答詳細
- GoTo含む、消費者への消費意欲喚起策(「旅行に行ってもよい」という世論醸成を含む) 63.4%
- 観光事業者への一時支援金 55.0%
- 新型コロナの指定感染症厳格措置緩和 55.0%
- 感染対策に伴う受け入れ環境整備に対する補助金 36.6%
- ワクチン接種完了者を対象にした商品造成への補助金 32.8%
- まん延防止等重点措置などの解除(特に移動や営業時間制限の解除) 30.5%
- その他 12.2%
観光・インバウンド関連事業者にとって、「GoTo トラベル」をはじめとした消費喚起施策や、事業者への一時支援金はやはり最重要視されていることがわかります。
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特筆すべき点として、「新型コロナの指定感染症厳格措置緩和」が「観光事業者への一時支援金」と同じ55.0%の回答率が得られたことです。
オミクロン株の感染急拡大によって収束の見通しがさらに遠のいたこと、そして直近の重症患者数、死亡者数が比較的低い水準で推移していることから、コロナ禍の完全な収束を目指すのではなく、捉え方を変えることで経済活動を再開させたいと考えている事業者が増えていることがわかります。
「まん延防止等重点措置」の是非、都市部の事業者ほどネガティブな反応
「2022年1月、「第六波」とも呼ばれる国内の感染急拡大を受け、政府は1月21日~2月13日までの間「まん延防止等重点措置」の適用を決定しました。あなたのビジネスや地域の状況を考慮した場合、この措置についてどうお考えですか?」という質問をしました。結果は以下のようになりました。

回答詳細
都市部では、
- 良い判断だと思う 12.9%
- やや良い判断だと思う 28.6%
- あまり良い判断だと思えない 40.0%
- 全く良い判断だと思えない 18.6%
という結果に対して、地方では
- 良い判断だと思う 23.0%
- やや良い判断だと思う 23.0%
- あまり良い判断だと思えない 26.2%
- 全く良い判断だと思えない 27.9%
という結果となりました。
地方部の「良い判断だと思う」「やや良い判断だと思う」の回答率の合計が45.9%に対して、都市部では41.4%と若干下回っています。
また、「良い判断だと思う」の地方の回答率が23%に対して都市部では12.9%と、都市部の方が「まん延防止等重点措置」について否定的である傾向が強いことが見て取れます。
無観客開催となった東京五輪。観光事業者にどのような効果をもたらしたか?
「 東京五輪を経て、あなたのビジネスについてポジティブな影響はありましたか?」という質問ついて、選択肢の中から当てはまるものを複数回答してもらいました。以下のような回答が得られました。

回答詳細
- あった 3.8%
- ややあった 11.5%
- あまりなかった 37.4%
- 全くなかった 47.3%
2021年7月に開催された東京五輪。異例の無観客の開催となった本大会はやはり、当初期待されていた経済効果は生まれませんでした。
しかし15.3%がポジティブな影響が「あった」「ややあった」と回答しています。
またそのように回答した事業者の9割以上が、東京からの回答となりました。やはり競技の会場が集中し、メディアへの露出が多かった東京周辺にポジティブな効果があったと考えられます。
在日を含む外国人観光客の増加、日本国内からの問い合わせ数の増加に寄与
上記の質問で東京五輪について「ポジティブな影響があった」と回答した方に対して、「東京五輪を経て、どのような影響がありましたか?」という質問を行いました。
その結果は以下となりました。

回答詳細
- 【海外】外国人観光客が増加した。(在日外国人・インバウンド含む) 25.0%
- 【海外】自社のビジネスへ、海外からの問い合わせが増加した。(法人・個人問わず) 25.0%
- 【海外】自社の運営するメディア(公式サイト、SNSなど)に対する海外からの反響が増加した。 15.0%
- 【国内】日本人観光客が増加した。 35.0%
- 【国内】自社のビジネスへ、国内からの問い合わせが増加した。 35.0%
- 【国内】自社の運営するメディア(公式サイト、SNSなど)に対する国内からの反響が増加した。15.0%
「観光客が増加した」「問い合わせが増加した」のどちらの項目においても、国内からの方が海外からよりもポジティブな影響があったと回答する人が多い結果となりました。
東京五輪は海外からの観客受け入れを断念したこともあり、海外からではなく日本国内からのポジティブな影響の方が大きかったことがわかります。
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【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」
インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。
本イベントでは「顧客への情報アピール」「顧客体験(ゲストエクスペリエンス)」「運営のデジタル化」など、施設運営に必要なをテーマを、市場の最前線を走るエキスパートたちが集結。お客様が施設を見つける「旅マエ」から、実際に滞在する「旅ナカ」まで、あらゆるフェーズにおける最新戦略と成功事例を徹底解説します。
<本セミナーのポイント>
- 変わりゆく市場の状況と、今後注目のトレンドを把握できる
- 旅マエの顧客行動を理解し、集客・予約率アップのヒントが得られる
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- 各分野の専門家から、ビジネスを加速させる具体的な戦略や成功事例が聞ける
詳しくはこちらをご覧ください。
→宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」【7/3開催】
【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
- 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
- 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
→「THE INBOUND DAY 2025」特設ページを見てみる
【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
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→「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか:インバウンド情報まとめ 【2025年6月後編】
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