「本当に観光客が来る」デジタル施策とは何か?専門家による支援事例を紹介【花巻観光協会様 インタビュー】

観光庁が提言するDMOの役割の一つに、「データに基づく明確なコンセプトに基づいた戦略の策定、KPIの設定・PDCAサイクルの確立」があります。

コロナ禍の今、デジタルマーケティングを「自走」できる体制づくりに注力したのが一般社団法人花巻観光協会様(以下、花巻観光協会様)です。

株式会社mov(訪日ラボ運営企業)は2021年8月から2022年3月まで、観光庁「世界に誇る観光地を形成するためのDMO体制整備事業」における外部専門人材として、花巻観光協会様のデジタルマーケティング支援をしました。

今回ご担当者の皆様に、これまでのお取り組みについて振り返っていただきました。

▲上段左から花巻観光協会様高橋様、小田島様、似内様、左下伊藤様、右下久保田様
▲上段左から花巻観光協会様高橋様、小田島様、似内様、左下伊藤様、右下久保田様

花巻観光協会様とは

岩手県の中西部に位置する花巻市は宮沢賢治の出身地として知られるほか、「花巻12湯」が楽しめる花巻温泉郷や「わんこそば」発祥の地でもあるなど、豊かな観光資源に恵まれたエリアです。

そうした花巻市の観光振興に取り組む地域DMOが花巻観光協会様です。

花巻観光協会様公式サイト
▲花巻観光協会様公式サイト

今回、観光庁「世界に誇る観光地を形成するためのDMO体制整備事業」における外部専門人材として、株式会社movの今野と川西が花巻観光協会様のコンサルティングを担当しました。

花巻観光協会様はアフターコロナを見据え、GoogleビジネスプロフィールやECサイトの運用などデジタルマーケティングを活用したアフターコロナ対策を進めるべく、今回の外部人材登用によるスキル向上を目指しています。

デジタルマーケティングを基礎から学び直したい

_どのような経緯でデジタルマーケティングに取り組もうとお考えになりましたか?

基本的にはスタッフの力で、サイトへの閲覧数やアクセス数の増加までは達成できたのですが、そうした数値がコロナ禍が収まった後に「実際に来てくれるお客様」なのかといった不安がありました。

数値を分析するスキルがないことや、個人で学習していたデジタルマーケティングにおけるスキルが本当に正しいのか自信が持てなかったこともあり、改めて基礎から頑張りたいという思いで臨みました。

「独学」での施策に不安を感じ、専門的な支援を受けたいと考えるようになったと似内様
▲「独学」での施策に不安を感じ、専門的な支援を受けたいと考えるようになったと似内様

Googleマップ・ECサイト・Webサイトそれぞれの改善事例

今回、花巻観光協会様ではGoogleマップの運用、ECサイト・Webサイトの運用に取り組みました。運用の結果、年度当初よりも売上が伸びているといいます。

Googleマップ...合計反応数は1.5倍増。ユーザーへ正しく、適切な情報を提供

Googleマップについては、施設の正しい写真への差し替えや正しい営業時間の記載といった基本的な情報整備からはじまりました。

そのうえで花巻市内観光のモデルコースを設定したり、ECサイトへ誘導する導線を設置してサイトの認知拡大を図ったりなど、ユーザーに対して能動的な情報発信を行いました。

Googleマップから観光モデルコースが見られるように設定
▲Googleマップから観光モデルコースが見られるように設定

_Googleマップの運用改善を振り返ってみて、いかがでしょうか。

当初はGoogleビジネスプロフィール※1というものを知らないところからのスタートでした。

そこから今野さんにアドバイスをいただきながらGoogleマップ上の情報を整備したことで、実際に合計反応数※2が大きく増加しています。

良い口コミは投稿する人だけでなく、それを見た第三者の方にも訴求するコンテンツだということを実感しています。

※1. Google検索やGoogleマップなど、Googleのサービスにビジネスやお店などの情報を表示し、管理するための無料のツール

※2. 検索結果に表示された店舗情報からの来店につながるアクション

花巻観光協会様で管理している6施設のインサイト数値は、取り組みスタート以前から大きく改善している

▲花巻観光協会様で管理している6施設のインサイト数値は、取り組みスタート以前から大きく改善している

ECサイト...レイアウトや挿入写真の改善に着手。閲覧数は5割増に

_今回の事業でECサイトの運用に取り組まれていかがでしたでしょうか?

3年前に「森の店っこや」という花巻のお土産や食産品を扱うECサイトを立ち上げ、自分達で運営していましたが、なかなか売上や閲覧数が伸びない状況が続いていました。

今回の事業を通してアドバイスをいただいた結果、数値の成果としては閲覧数は約5割増加しています。

_ECサイトの運用というのはどのように進めていきましたか?

改善を行った代表的な例として、商品カテゴリの文言をわかりやすい表現に調整し、「人気商品」「お土産に最適」といった項目を新たに作成することで、サイトを訪れた人をガイドできるようなレイアウトにしました。

また商品の写真の中にはパッケージではなく中身の商品が見えるものに差し替え、魅力がより伝わるようにしています。

ECサイト「森のみせっこや」の改善例
▲ECサイト「森のみせっこや」の改善例


Webサイト...デザイン面・SEO面の双方から改善を進め、回遊性が向上

_花巻観光協会様の公式Webサイトにおける改善例についてお聞かせください。

これまでは私たちがサイトの改善案を考え、制作会社へ修正を依頼する形で進めていました。しかしどういうデザインが良いのか、確信が持てないこともありました。

そういった改善点について不安が残っていたものを川西さんに見ていただいたことで、ある種の「答え合わせ」ができ、新たに改善が必要なところもわかりました。

自分達でサイトをずっと運営していると、「初めてサイトを訪れる人」の視点になかなか気づけないことがあります。

例えばトップページの画像はクリックすると別のページに移動できるのですが、改善前の画像は初めてサイトを見た人には直感的にわかりづらく、それが回遊性の低下につながっている可能性があるというアドバイスをいただいた時、「初めてサイトを訪れる人」の視点の大切さに気づきました。

トップページのカルーセル画像には、クリック可能であることを示すデザインを追加。こうした蓄積が回遊性の向上につながる。
▲トップページのカルーセル画像には、クリック可能であることを示すデザインを追加。こうした蓄積が回遊性の向上につながる。

またSEOの観点からも分析し、改善が必要な箇所を洗い出してもらえました。またその上でどこから着手すべきなのか、優先順位をつけることもできました。

こうした取り組みを通して、コロナ直後の一昨年と比較して閲覧数は着実に増加しているほか、課題であったサイト内の滞在時間も改善しており、一番良かった年である2019年を超える勢いとなっています。

movのサポート体制について

今回「専門家」として花巻観光協会様のデジタルマーケティングの支援を担当した今野と川西。

約半年間のサポート体制についてどう感じられていたのか、直接聞いてみました。

基礎的な知識解説から、運用を「自走」できる体制づくりまでサポート

_今回のサポートについて、今野と川西のサポート体制はいかがでしたでしょうか?

総括して、本当に基礎の部分から教えてもらえていただけたなと思います。

数値の見方やデジタルマーケティング用語の意味から教えていただきましたし、分析については頼らせていただいた部分が大きく、「ここまでやっていただいていいのかな」というくらいお力添えをいただきました。

「まずは気軽に試してみる」ことの大切さ

サイトやGoogleマップの運用に力を入れてから、効果が実感できるようになったと話します。

花巻観光協会様はこれまでデジタルマーケティング施策に着手してきたことで気づいた、「まずは気軽に試してみる」ことの大切さについて語ってくれました。

デジタル施策は「やり直し」がききやすいからこそ

_ほかの自治体の方に向けて、これをまずはやってみるべき、というアドバイスはありますか?

まずはいろいろな機能を自分で試してみることかなと思います。

Googleビジネスプロフィールについては当初、写真やテキストを投稿することについておよび腰になってしまっていた部分がありました。

しかし実際にはやり直しが簡単にきくことが多く、今ではなにもしないことの方がデメリットが大きいと感じています。

また、一連の施策の効果が数字で現れることもデジタル施策の利点だと思います。

Googleマップ上の施設に寄せられる口コミ、星の評価などユーザーの行動が数字の結果となって確認できるため、試行錯誤を繰り返していくことが大切です。

WebサイトやECサイトを運営する点においても日々さまざまな機能が追加されているなかで、新しいことを試してみる。効果がなかったら次に行ってみようと、それくらいの気持ちでトライしてみることが大切なのかなと思いました。

デジタルマーケティングの土台が完成。ここからが本番

今後について花巻観光協会様は、Web上のコンテンツの整備をすることで得られた結果を会員に対して展開していきたいと語っています。

最後に意気込みを聞きました。

_今回の事業は3月で終了を予定しています。今後も取り組んでいけそうでしょうか?

Googleビジネスプロフィールについてはだいぶ操作も慣れてきて、データの見方が理解できました。

今回ゼロからのスタートだったので、Googleマップ上の情報を整備することでどれくらいの効果があったのかといった実績やノウハウについて、手順化して観光協会の会員さんたちに展開できるようにしたいです。

_最後に、今後の展望について教えてください。

デジタルマーケティングに着手してから約半年、今野さん、川西さんとイチから土台を築き上げてきました。

Web上の閲覧数は増加していますが、最終的には花巻にお客様が泊まってもらうこと、また販売している体験プログラムの購入の増加、飲食店への誘客といったところにも本格的に注力していきたいと考えています。

そして観光協会として地元の事業者の方々を巻き込み、地域一体となって稼げる観光地を目指していきたいと思っております。

花巻観光協会様の皆さま
▲花巻観光協会の皆さま

株式会社mov コンサルティング担当者プロフィール

株式会社mov カスタマーサクセス部 今野 礎

株式会社mov カスタマーサクセス部 今野 礎
▲株式会社mov カスタマーサクセス部 今野 礎
  • 観光庁DMO外部専門人材、Googleマップ活用での誘客、周遊促進サポート。
  • 株式会社mov入社以前は自身で起業、ITベンチャーの立ち上げ支援。
  • 過去15年間に渡り、IT業界でマーケターとして、マーケティング、SEO対策、メルマガ、各種コンテンツ制作、ローカルSEO対策など様々な職務を経験。
  • 永住権取得~アメリカ在住経験あり

株式会社mov コンサルティング事業部 部⻑ 川西 哲平

株式会社mov コンサルティング事業部 部⻑ 川西 哲平
▲株式会社mov コンサルティング事業部 部⻑ 川西 哲平

新卒から通信・モバイルコンテンツ関連の業務に関わり、2014年より株式会社ワイヤ・アンド・ワイヤレスにて訪日外国人向けのWI-FIアプリケーションの立ち上げから宣伝、販促を担当。当時未成熟市場であった訪日外国人へのプロモーションを各国で積極的に実践し、累計200万ダウンロード突破させ、日本で最大規模の利用者へと成長させる。

現在、株式会社movではこれまでのノウハウを生かし、コンサルティング事業部長として、観光庁、民間企業のインバウンドのコンサルティング及びプロモーション・デジタルマーケティングのサポートを行っている。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

訪日外国人観光客のインバウンド需要情報を配信するインバウンド総合ニュースサイト「訪日ラボ」。インバウンド担当者・訪日マーケティング担当者向けに政府や観光庁が発表する統計のわかりやすいまとめやインバウンド事業に取り組む企業の事例、外国人旅行客がよく行く観光地などを配信しています!