世界的な新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、世界の航空会社は大きな影響を受けましたが、各国の入国制限などの規制緩和に伴い、航空便の再開や増便が相次いでいます。
国際航空運送協会(IATA)が7月7日に発表した、5月の世界の航空旅客需要動向は、旅客需要を表すRPKが昨年同月比83.1%と大きく回復しました。
主に国際線の回復が目立ち、国際線と国内線を合わせた世界全体の旅客需要は、コロナ禍以前の68.7%の水準まで回復しています。
ANAによると2022年夏の国内線・国際線旅客需要は計画を上回る見通しで、国内線は夏休みが始まる7月18日「海の日」を含む3連休は、コロナ前と同水準の予約数まで戻っています。
7〜9月は2019年度比80%の想定を超えて90%近くとなり、国際線も2019年度比30%程度の回復という予想を上回り推移しています。
IATAは6月20日、カタールのドーハで開催された年次総会で、新型コロナウイルス対策の教訓として、国境を閉鎖することなく効果的な管理ができるよう各国政府に呼びかけました。
またIATAのウィリー・ウォルシュ事務局長は6月21日、日本の入国制限について「科学に基づいたものではなく、ほとんど効果がない割に膨大なコストがかかる」と否定的な見解を示しました。
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【東アジア】日本の国際線、アジア・北米路線中心に再開相次ぐ
日本国内では、国際線でアジアや北米路線を中心として再開が相次いでいます。
またスカイマークは7~8月の国内線を、2年5か月ぶりに通常運航します。
日本
JAL
日本航空(JAL)は羽田~ソウル(金浦)線を6月30日に週2往復運航で再開します。
さらに8月以降、アジア~北米間の旺盛な乗り継ぎ需要を強化するため、成田~ロサンゼルス線や成田~バンコク線などを増便します。
ANA
全日本空輸(ANA)は6月17日、アジアと北米の6路線を7月から増便すると発表しました。
また6月22日に羽田~ソウル(金浦)線を7月1日に週2往復で再開すると発表したほか、6月30日には成田~北京線を7月11日に再開すると発表し、現地発のみ週1便運航する予定です。
ANAの総2階建ての超大型機、エアバスA380型機「FLYING HONU(フライング・ホヌ)」は、ホノルル発成田行き再開初便として現地時間7月1日にダニエル・K・イノウエ国際空港(旧称ホノルル国際空港)を出発しました。
A380の本格的な定期便投入は2年3か月ぶりとなります。
その他
ピーチ・アビエーションは6月28日、国際線の再開を発表し、再開初便として8月28日から関西~ソウル(仁川)線を週6往復で運航します。
国際線は1年4か月ぶり、ソウル線は2年半ぶりの運航となります。
ZIPAIRは6月15日、成田~サンノゼ線を12月に開設すると発表しました。米本土路線としては、2021年12月開設のロサンゼルス線に続いて2路線目となります。
また6月22日には、成田~ソウル(仁川)線を7月4日から増便すると発表し、現在の週6往復から、1日1往復のデイリー運航となります。
スカイマークは6月14日、国内線の7~8月分の運航計画を発表し、減便なしの全便を運航するとしました。
通常通りの運航は、ゴールデンウィークなどの多客期を除き、2020年2月以来2年5か月ぶりです。
韓国
大韓航空は6月22日、日韓両国政府の認可により、ソウル(金浦)~羽田線を29日から2年4か月ぶりに週2往復で再開すると発表しました。
アシアナ航空とANA、JALも同様に再開を発表しています。
またエアプサンは7月以降に日本路線を拡大し、新路線としてソウル(仁川)~福岡線を開設するほか、運休していた釜山~関西線を再開し、既存の3路線も順次増便します。
香港
香港政府は6月19日から23日まで、日本航空(JAL)の東京発の旅客便の運航を禁止しました。
香港に6月16日に到着したJL735便の乗客の中から、基準以上の新型コロナウイルス感染者が確認されたことによるものです。
また香港航空は、外国人観光客の受け入れを進めていることから、香港とバンコク、マニラを結ぶ2路線の運航を再開し、香港〜バンコク線は7月17日から週2便、香港〜マニラ線は7月18日から週1便を運航します。
台湾
タイガーエア・台湾は9月2日から、名古屋/中部〜台北/桃園線の運航を週5便で再開します。
また6月27日には、台北(桃園)~札幌(新千歳)線を9月1日に開設すると発表し、週5往復で運航する予定です。
さらに、運休中の台北~中部線も9月2日に再開します。
エバー航空は、台北/桃園〜ミラノ・ミュンヘン線の開設を発表し、ヨーロッパへの新路線は25年ぶりの開設となります。
台北/桃園〜ミラノ線は10月25日から週2便、台北/桃園〜ミュンヘン線は11月3日から週4便で運航します。
【東南アジア】タイ国際航空、バンコク~羽田線を1日1往復で再開
東南アジアでは、タイ国際航空が7月からバンコク~羽田線を1日1往復で再開します。
タイ
タイ国際航空は7月1日から、バンコク~羽田線を再開して1日1往復で運航します。
さらにバンコク~成田線も1日1往復増便し、増便分にはファーストクラスを設定するボーイング777-300ER型機を投入します。
ベトナム
ベトジェットエアは、名古屋/中部・福岡〜ハノイ線を開設し、福岡〜ハノイ線は7月2日から週3便、名古屋/中部〜ハノイ線は7月3日から週4便を運航します。
ベトナム航空は東京/成田〜ホーチミン線を7月10日~31日に週3便、東京/羽田〜ハノイ線を8月15日から週3便に減便し、東京/成田〜ダナン線の運航再開日も9月1日に延期します。
なお福岡〜ハノイ線は8月3日から週3便、東京/成田〜ハノイ線は8月15日から週4便に、それぞれ増便します。
シンガポール
シンガポール航空系LCCのスクートは6月14日、シンガポール~成田線の直行便を8月1日に開設すると発表しました。
同路線はすでに台北(桃園)経由で運航されており、直行便の開設後も経由便を継続します。
さらにシンガポール~関西線の直行便を9月1日に再開します。
またシンガポール航空は7月後半から日本路線を順次増便し、シンガポール発着の羽田・成田の2路線は、いずれも1日1往復(週7往復)ずつに増便となります。
ブルネイ
ブルネイのフラッグキャリアであるロイヤルブルネイ航空は8月3日から、成田〜バンダルスリブガワン線を再開します。
8月3日~31日は水・日曜の週2便、9月1日以降は月・水・木・日曜の週4便を運航します。
【北・南米】ユナイテッド航空、日本~グアム線再開
ユナイテッド航空は、8月から日本とグアムを結ぶ路線を再開します。
アメリカ
ユナイテッド航空は6月22日、日本とグアムを結ぶ路線を8月から再開し、中部線は1日から福岡線は4日からそれぞれ週2往復ずつ運航すると発表しました。
また6月27日には、同社としては初就航となる成田~サイパン線を9月1日に開設すると発表し、週3往復を運航する予定です。
さらに7月1日に再開する関西~グアム線について、6月17日からエコノミークラスの特別運賃を設定し往復5,500円で提供を開始しました。
グアムを含む米国の入国にあたり陰性証明書の提出が不要になったことを受け、特別運賃で需要拡大を目指すものです。
デルタ航空は、旅行需要の回復に伴い、10月2日からミネアポリス〜ソウル/仁川線の運航を週3便で再開し、10月29日からは1日1便に増便します。
7月12日からシアトル〜ソウル/仁川線をデイリーで運航を再開し、8月2日からアトランタ・デトロイト〜ソウル/仁川線もデイリー運航に増便します。
【オセアニア】カンタス航空、パース〜ローマ線の季節定期便を開設
オセアニアでは、カンタス航空がパース〜ローマ線の季節定期便を開設しました。
オーストラリア
カンタス航空は6月25日、オーストラリアとヨーロッパ大陸を結ぶ唯一の直行便となる、パース〜ローマ線の季節定期便を開設しました。
2018年に運航開始したパース〜ロンドン/ヒースロー線の需要が高かったことから就航が決まり、週3便でボーイング787-9型機で運航します。
さらに西オーストラリア州の支援を受けて、パース発着の国際線を大幅に拡充し、今年後半にもヨハネスブルグとジャカルタへの路線を開設します。
【ヨーロッパ】ヒースロー空港でシステムトラブル、スカンジナビア航空は米破産法申請
イギリス・ロンドンのヒースロー空港では6月17日、乗客の荷物を管理するシステムが故障し、乗客の荷物が空港の外にまで溢れ出しました。
コロナ禍におけるロックダウンで多くの従業員を解雇したため人手不足に陥り、システムのトラブルが重なって対応が追い付かなくなったとしています。
この影響により、ヒースロー空港は航空会社に対し、6月20日に予定されていた運航便のうち10%の欠航を要請し、約90便、1万5,000人に影響が出ると予想されます。
北欧3国(スウェーデン、 デンマーク、ノルウェー)
スカンジナビア航空は7月5日、米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請したと発表しました。
コロナ禍で経営が悪化し、リストラにより業績回復を目指していたものの、パイロットによるストライキが運航に影響を与えました。
ストライキにより定期便のうち約半数が欠航となり、1日あたり約3万人の乗客に影響が及びました。
イギリス
ブリティッシュ・エアウェイズは7月5日、1,500便の運航を追加でキャンセルすると発表しました。
同社はすでに4月から10月までの定期便で10%削減を決定していましたが、 さらなる削減を余儀なくされました。
ベルギー
ベルギーでは6月23日、航空会社のパイロットや客室乗務員らがストライキを行い、3日間のストライキで数百のフライトがキャンセルされるとしています。
労働組合側は、水際対策が緩和されて旅行客が増える一方、人手不足で十分に休みを取れないと訴えています。
【中東】エミレーツ航空、ドバイ~テルアビブ線開設
中東では、アラブ首長国連邦のエミレーツ航空が、初のイスラエル乗り入れとなるドバイ~テルアビブ線を開設しました。
アラブ首長国連邦
エミレーツ航空は6月23日、ドバイ〜テルアビブ線を開設しました。
イスラエルへの乗り入れは初めてで、1日1便をボーイング777-300ER型機の新仕様機で運航します。
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