日本政府は2022年6月10日から、インバウンド向けに添乗員付きのパッケージツアーを開始しました。
インバウンドの本格的な再開が心待ちにされるなか、政府や自治体がインバウンド補助金の公募を開始しています。
しかし、なかには「インバウンド補助金とはどんなものなのか」と疑問や不安を抱えている方もいるでしょう。
この記事では、インバウンド補助金の概要や対象事業、審査基準、注意点などをわかりやすく解説します。
インバウンドの本格的再開に向けて準備を進めていくなら、活用すべき知識です。
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インバウンド関連補助金とは
インバウンド補助金とは、政府や自治体がインバウンド関連事業に対して交付する補助金のことです。
受給にあたって条件をクリアする必要があり、条件外であれば補助金は交付されません。
受給できる事業内容には、インバウンドが「日本に行きたい」と思うようなプロモーション事業や、訪日外国人がストレスなく快適に日本に滞在するための環境整備事業などが該当します。
また、補助金は事前準備が必要であり、公募期間が限られていて、予算オーバーとなった時点で公募終了となることもあるので注意しましょう。
インバウンド補助金の対象事業
インバウンド補助金が交付される対象事業は、具体的には以下のような事業がインバウンド補助金の対象となりえます。
- ホームページ等の多言語対応
- キャッシュレス決済システムの導入
- インバウンド受け入れ対応可能な人材育成
- インバウンド受け入れ対応マニュアルの作成
- 和式トイレの洋式化
以上の事業以外にも、さまざまなインバウンド対策事業が対象事業となっています。
しかし、補助金によっては宿泊施設限定のものもあり、補助金によって対象事業は大きく変わります。
対象事業に該当しているかについては、公募する補助金の特設サイトなどを参考にしてください。
関連記事:インバウンド対策のためのSNS運用方法|SNSの有効性や集客成功事例を解説
インバウンド補助金の審査基準
インバウンド補助金の審査基準は、他の補助金同様に公募要項に書かれているとおりです。
一般的には、士業や中小企業診断士などが複数人体制で提出書類を確認し、公募要項に書かれている条件に沿っているか審査します。
それぞれの基準に対して点数をつけていき、一定点数以上となれば採択となります。
機械ではなく人が判断しているため、審査員によって審査の難易度が変わることがあります。
どの審査員が判断しても問題ないほど、公募要項に書かれているとおりに書類を作成し、提出するといいでしょう。
関連記事:観光事業者がやるべきインバウンド対策とは? 成功のコツや具体例を紹介
インバウンド補助金の例
過去に公募されたインバウンド補助金の例として、以下の3つがあります。
- 宿泊施設インバウンド対応支援事業
- インバウンド安全・安心対策推進事業
- インバウンド対応力強化支援補助金
どれも公募が終了していますが、期間が延長されている場合もありますので確認は必須です。
また、過去の例に目を通すことで、今後のインバウンド補助金への対策にもなるでしょう。
インバウンド安全・安心対策推進事業
インバウンド安全・安心対策推進事業は、インバウンドが日本滞在中に災害などに見舞われた場合の環境を整備するための補助金です。※現在は受付を終了しています。
具体的には、以下のような事業経費が補助対象となりました。
- 観光施設等における感染症対策機器等の整備
- 災害時の観光施設等における避難所機能の強化
- 災害時・急病時の観光施設等における多言語対応機能の強化
日本は世界的に見ても、地震などの災害が多い国です。
災害時の環境整備や対応強化をしておくと、インバウンドは安心して日本へ訪れられるでしょう。
インバウンド対応力強化支援補助金
公益財団法人東京観光財団のインバウンド対応力強化支援補助金は、東京都内の施設をインバウンドのニーズに合わせることを目的とした補助金です。
東京観光財団が取り扱っている補助金であることから、対象事業者が東京都内のものに限定されています。
補助対象として公表されていたのは、以下のような事業です。
- 多言語対応
- 公衆無線LANの設置
- 館内及び客室内トイレの洋式化
- 防犯カメラの設置【宿泊施設のみ】
- 客室の和洋式化【宿泊施設のみ】
事業によって上限はありますが、補助対象経費の50%が補助金として交付されました。
本補助金のように、観光庁以外が取り扱っている補助金もありますので、補助金の種類は細かくチェックしておきましょう。
インバウンド補助金の注意点
インバウンド補助金を申請する際の注意点は、以下の3つです。
- 事業開始前に申請が必要
- 中間検査がある可能性あり
- 交付は事業終了後である
注意点を理解しないまま公募すると、公募期間内に資料がまとまらなかったり、補助金が交付されなかったりします。
場合によっては、キャッシュフローに問題を抱え、事業自体に影響を与える可能性もあるほどです。
事業にインバウンド補助金を活用するために、3つの注意点は頭に入れておきましょう。
事業開始前に申請が必要
インバウンド補助金の多くは、他の補助金と同様に事業開始前に申請が必要となります。
補助金にはおおよそ1ヶ月程度の公募期間があり、その期間内に指定された書類を作成し、提出しなければなりません。
補助金の種類によって必要書類は変わりますが、一般的には以下の5つが必要とされています。
- 応募申請書
- 事業計画書
- 経費明細書
- 事業要請書
- 申請書
これらの書類を公募期間内に提出しなければ、補助金の交付は受けられません。
具体的な申請方法も補助金によって違いますので、正確に把握しておきましょう。
中間検査がある可能性あり
インバウンド補助金の種類によっては、中間検査がある可能性もあります。
中間検査とは、補助金の採択を受けた事業に対しての検査で、一般的には以下の2つが行われます。
- 書面検査
- 実地検査
その検査によって「事業内容が条件を逸脱している」と判断された場合は、採択が取り消されることもあるので注意が必要です。
また、書面検査では経理書類などが必要になりますので準備しておきましょう。
補助金によっては、中間検査の時点で補助金の一部が支払われるケースもあります。
交付は事業終了後である
ほとんどの場合、補助金の交付は事業終了後です。
事業終了後にも検査があり、そこで「正確に事業が行われた」と判断されたら交付決定となります。
補助金の交付は事業終了後ですので、事業を終了するまでは手元のキャッシュで事業を運営する必要があります。
完了検査の結果によっては、事業終了から交付までに時間がかかる場合もありますので、キャッシュに余裕をもって事業運営すべきです。
補助金を活用してインバウンドに備える
インバウンド補助金を活用すれば、返済義務がないため、事業実施のコストを大きく削減できます。
しかし、公募期間が限られていたり、受給条件があったりするので、知識がないと活用は難しいでしょう。
2019年末に新型コロナウイルス感染症が流行してから、日本の観光事業はいまだ波に乗れていないままです。
インバウンド本格再開が見えてきた現在は、最もインバウンド対策事業に力を入れる時期といっても過言ではありません。
インバウンド補助金を効果的に活用できるかが、インバウンド本格再開後の事業に大きく関わってくることでしょう。
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