MICEとは?観光産業に与える効果と、コロナ禍を経ての変化とは

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観光関連の話題で近年よく聞くようになったワードの一つに、「MICE」があります。

MICEとは、簡単に言うと「ビジネスイベントの総称、およびそれらを目的とした旅行形態」のことです。こうした国際的なイベントを主催すると、観光セクターへの大きな波及効果が得られるため、近年注目されているのです。

本記事では、MICEの定義やその効果について解説したのち、コロナ禍を経てのMICEの変化や、今後必要になる取り組みについてもみていきます。

MICEの定義は?なぜ注目されているのか

MICEは「マイス」と読み、インバウンド産業を語る上で近年外せないワードとなっています。

まずは基礎知識として、MICEという語の成り立ちと、MICEが観光産業に与える波及効果について解説していきます。

MICEとは4つの言葉の略

MICEの4文字はそれぞれ英単語の「Meeting(企業などの会議)」「Incentive Travel(インセンティブ旅行)」「Convention(国際会議)」「Exhibition&Event(展示会・見本市)」の頭文字をとって造られた言葉です。インセンティブ旅行とは、企業が従業員の表彰や研修として実施する旅行のことを指します。

つまり、これらのイベントの総称が「MICE」であり、特に国際的なものを指す場合には「国際MICE」と言われることもあります。

観光庁:MICEの誘致・開催の推進 1.MICEとは?
▲観光庁:MICEの誘致・開催の推進 1.MICEとは?

また「MICE」はイベントの総称でもありますが、インバウンドの文脈では「イベントを目的とした旅行形態および旅行者」の意味でも使われます。

MICEの3つの効果とは?

MICEは「人が集まる」という直接的な効果以外にも、開催国・開催地に大別して3つの波及効果をもたらすといわれています。

まず1つ目は、「ビジネス・イノベーションの機会の創造」です。MICEを開催することで、海外と自国の主要な研究者やクリエイター、ビジネスパーソンなどが新たなネットワークを築くことができます。結果として、新しいビジネスやイノベーションの誕生を促進することになります。

2つ目は、「地域への経済効果」です。MICEでは主催者、参加者ともにその開催地に比較的長く滞在することになり、宿泊、飲食、観光など様々な消費を誘発します。地域の複数の産業に大きな経済効果をもたらします。

そして3つ目は、「国・都市の競争力向上」です。MICEを誘致した実績は、開催国・開催地のビジネスや研究の環境の向上につながり、ひいては国・都市の競争力強化につながります。そのため、MICEを国家戦略の上位に位置付ける国も多くあります。

最大の魅力は「一人当たり消費額の多さ」

そしてインバウンドの視点から、MICEの最大の魅力ともいえるのが「一人当たり消費額の多さ」です。

2018年のデータでは、訪日外国人全体の一人当たり旅行支出は153,029円であったのに対し、主催者等負担分も含めたMICEの外国人参加者一人当たりの総消費額は、なんと2倍超の336,760円となっているのです。

観光庁:国際MICEの経済波及効果算出結果について 図表3主催者等負担分も含めた外国人参加者1人当たりの総消費額
▲観光庁:国際MICEの経済波及効果算出結果について 図表3主催者等負担分も含めた外国人参加者1人当たりの総消費額

要因としては、先ほども挙げたような滞在期間の長さや、イベント参加者の所得層が比較的高くなることなどが考えられます。

MICEの開催により、まとまった非常に大きなインバウンド消費が期待できるため、日本のインバウンド産業全体としてMICEの誘致に積極的に取り組むべきだといえます。

コロナ禍を経て、MICEはどう変化した?

世界と日本のMICEのこれまでを語る上で外せないのが、やはり世界的なパンデミックの影響です。国際観光の消滅と同様、MICEも苦しい時期を過ごしました。

コロナ禍を経て、MICEはどのような変化を余儀なくされたのかみていきます。

リアル開催は激減

世界的に渡航制限が出されていた2020年には、世界的にMICEの件数は激減しました。

ICCA(国際会議協会)のデータによると、2019年には全世界で年間13,254件の国際会議が開催されましたが、2020年に延期・中止なく何らかの形態で開催された国際会議は年間3,484件にまで落ち込みました。

さらに、2019年には約13,000件のほとんどが対面で開催された一方で、2020年に対面で開催されたのはわずかに763件にとどまりました。

ICCA(国際会議協会):ICCA Annual Statistics study 2020 形態別国際会議総数
▲ICCA(国際会議協会):ICCA Annual Statistics study 2020 形態別国際会議総数

パンデミックが始まった2020年には、MICEのリアル開催が激減したことがわかります。

バーチャル開催に光明

しかし、これらの数値は裏を返せば、「バーチャル」でのMICE開催が増加したことを示しています。

2020年から徐々に完全バーチャルおよび一部対面のハイブリッド形式で開催されるMICEの割合が増加し、2021年には世界の国際会議の年間7,908件のうち、60%に当たる4,758件がバーチャルおよびハイブリッドで開催されました。

ICCA(国際会議協会):2021 ICCA Ranking Public Abstract Number of events 2020 vs 2021
▲ICCA(国際会議協会):2021 ICCA Ranking Public Abstract Number of events 2020 vs 2021

他の多くの産業と同様、MICEでもリモート、非対面の需要が高まっていたことがわかります。

日本は回復が遅れた

この期間、日本に目を向けてみると、MICEの回復は遅れていたといえます。

2021年には全世界で534件の国際会議が対面で開催されましたが、そのうち日本で開催されたのはわずか3件にとどまりました。世界が対面会議の再開に向け動き出していた間、日本では入国制限の緩和の遅れにより、対面でのMICEの再開も遅れてしまったのです。

バーチャルでの国際会議件数は日本でも一定程度は確保できていましたが、バーチャル開催ではインバウンド消費を誘発することは極めて難しいため、インバウンドの視点からは、対面でのMICEの少なさは大きな痛手となりました。

関連記事:「国際会議の開催地ランキング」日本7位、「対面会議ゼロ」が順位下落要因に

今後のMICE誘致に向け必要な取り組みは?

日本も2022年後半からは入国制限を緩和し、「再開国」に向かっているといえます。

国際的な往来が回復した時、日本のMICEがコロナ前の水準を超えて、さらに成長していくためには、どのような取り組みが必要になってくるのかみていきます。

観光庁「安全なMICEの再開と発展に向けた関係者協議会」

観光庁は2022年3月、ポストコロナにおける従来型のMICEの安全な再開に向けて「安全なMICEの再開と発展に向けた関係者協議会」を開催し、そこでの決定の概要を2022年4月に公表しました。

その中で今後の方向性として、「安全なMICE 再開に向けた、日本としての姿勢の発信・アクション」「MICE のデジタル化・オンライン化の進展への対応」「MICE の誘致競争力強化に向けて、今後期待される取組」の3つが掲げられました。

観光庁:安全なMICEの再開と発展に向けた関係者協議会とりまとめ(概要)
▲観光庁:安全なMICEの再開と発展に向けた関係者協議会とりまとめ(概要)

海外向けに透明性のある情報発信を強化するとともに、デジタルを活用したMICE運営のノウハウの共有を進めていくことが示されました。同時に、一般観光とも連携させながら、MICE誘致のマーケティングを国として強化していく方針も示されました。

国や地方自治体の支援も有効活用できる

MICEの誘致を考えている会議主催者の方は、国や自治体の支援を活用することもできます。

観光庁や日本政府観光局は国としての相談窓口を設けているだけでなく、公募で助成金などの支援も行っています。また地方自治体でも、MICE誘致に助成金を支援したり、推進課を設置しているところがあります。

官民が連営してMICEの誘致を強力に促進していくためにも、民間の会議主催者の方は、公的機関の支援に関する情報をこまめにチェックすることが重要であるといえます。

MICE復興で、日本の観光産業の底上げを

パンデミックの影響で苦しい時期を過ごしてきた日本のMICEですが、従来通り対面での開催が回復してくれば、インバウンド消費を強力に下支えしてくれることは間違いありません。

官民が連携して適切にプロモーション・誘致を行っていけば、MICEが日本の観光産業全体の底上げをすることも可能です。まずはコロナ前の水準まで早期に回復することが第一目標となりますが、その後のさらなる成長により日本のMICE、およびインバウンド産業全体が「復興」していくことに期待しましょう。

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<参照>

観光庁:国際MICEの経済波及効果算出結果について

ICCA(国際会議協会):ICCA StatisticsReportCountry & City Rankings – Public Abstract

ICCA(国際会議協会):ICCA Annual Statistics study 2020

ICCA(国際会議協会):2021 ICCA Ranking Public Abstract

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訪日ラボ編集部

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