日本政府観光局(JNTO)は9月20日、2023年8月の訪日外客数推計値を発表しました。
8月の訪日外客数は215万6,900人で、コロナ前の2019年同月比は85.6%と、初めて8割を超えました。
前月7月の232万人と比較すると減少したものの、例年8月は7月よりも下がる傾向にあるため、回復は続いているものとみていいでしょう。
本記事では、8月の訪日外客数について、各市場のデータと動向をふまえて解説します。
関連記事:訪日外客数7月
インバウンドの最新情報をお届け!訪日ラボのメールマガジンに登録する(無料)
8月の訪日外客数は215.7万人
8月の訪日外客数は215万6,900人で、3か月連続で200万人を上回りました。2019年同月比では85.6%と、コロナ禍以降で初めて8割を超えています。

先月までの訪日外客数をもとにした訪日ラボ予測値では全体で219万人としており、ほぼ予測通りの結果となりました。
前月7月よりも16万3,700人減少していますが、これは冒頭でも述べた通り例年の季節変動を考慮すると、自然な結果です。
一方で中国人客については、先月の予測では42万2,000人を見込んでいましたが、実際には36万4,100人と予想したほどの増加にはなりませんでした。処理水問題が8月後半に起こり、8/10の団体ツアー解禁の好影響がそこまで反映されなかった可能性があります。
とはいえ、先月に比べて5万人増加しており、他の市場よりも先月からの伸び率が高いのも事実です。本格的に団体ツアーや処理水問題が影響してくるのは9月の数値になると思われますので、引き続き動向を注視していきましょう。

以下、8月のエリア別データを解説します。
8月データ:東アジア
8月の東アジアの訪日客は、韓国が56万9,100人、台湾が39万6,300人、中国が36万4,100人、香港が20万6,300人でした。
韓国は日本側の水際規制緩和のほか日本各地への地方路線復便の回復、学校の夏季休暇等もあり、コロナ前の2019年同月比で184.3%と大きく増加しています。
ただし韓国は2019年7月以降、日韓情勢により訪日旅行を控える動きがあり、訪日韓国人旅行者数が減少傾向にあった点に注意が必要です。
中国では、8月10日付で日本行きの海外旅行制限が撤廃されました。日中双方の水際規制緩和や学校の長期休暇などがありましたが、コロナ前の2019年同月比で36.4%にとどまっています。
台湾では、台湾における渡航警戒レベルで、渡航の是非検討等に日本が含まれていますが、日台双方の水際緩和や学校の夏季休暇の影響等もあり、 コロナ前の2019年同月比で94.3%まで回復しています。
香港は、日本と香港双方の水際規制緩和や学校の夏季休暇の影響等もあり、コロナ前の2019年同月比で108.4%と大幅に増加しています。
いずれも、日本への直行便数は前年同月と比較して回復傾向にあります。
8月データ:東南アジア
8月の東南アジア各国の訪日客は、タイが3万3,200人、シンガポールが2万300人、マレーシアが1万9,200人、インドネシアが2万800人、フィリピンが3万8,600人、ベトナムが5万900人、インドが1万2,800人でした。
日本の水際規制緩和等の影響で、コロナ前の2019年同月比でタイは67.0%、シンガポールは103.1%、インドは96.2%まで回復しています。
日本の水際規制緩和や学校の夏季休暇の影響等もあり、コロナ前の2019年同月比でマレーシアは96.8%、フィリピンは122.7%と大きく回復しています。
インドネシアは、日本とインドネシア双方の水際規制緩和や独立記念日の祝日等の影響もあり、コロナ前の2019年同月比で128.7%と大幅に回復しました。
ベトナムはコロナ前の2019年同月比で116.5%となっていますが、同国は2019年以前も留学や技能実習等を含むその他客が多い市場であった点は注意が必要です。
日本への直行便数は、ベトナムはホーチミン~成田間の増便等もあり2019年同月を上回っているほか、その他の国も前年同月と比較して回復傾向にあります。
8月データ:豪州・北米
8月の豪州・北米からの訪日客は、オーストラリアが2万7,500人、アメリカが13万8,400人、カナダが3万6,900人、メキシコが8,200人でした。
日本の水際規制緩和等の影響もあり、2019年同月比では、オーストラリアが102.0%、アメリカが117.5%、メキシコが170.8%まで回復しています。
特にカナダは、学校の夏季休暇等の影響もあり、2019年同月比で133.9%と大幅に回復しました。
日本への直行便数は、カナダではバンクーバー~関西間の増便等もあり2019年同月を上回っているほか、その他の国でも前年同月と比較して回復傾向にあります。
8月データ:欧州
8月の欧州各国からの訪日客数は、イギリスが2万3,800人、フランスが2万5,900人、ドイツが2万人、イタリアが2万4,100人、スペインが1万7,300人、ロシアが3,400人となりました。
イギリス、フランス、ドイツ、イタリアでは、日本への直行便数は前年同月と比較して回復傾向にあります。
日本側の水際規制緩和の影響等もあり、2019年同月比では、イギリスが90.8%、ドイツが115.8%まで回復しています。
さらに学校の夏季休暇の影響もあり、2019年同月比でフランスは84.0%、イタリアは105.7%、スペインは86.5%まで回復しています。
スペイン、ロシアでは依然として日本への直行便は運休が続いており、ロシアではウクライナ侵攻に伴う各国からの制裁等による影響が続いています。
なお北欧地域からの訪日客数は6,400人で、2023年3月のヘルシンキ~関西間の復便等もあり、日本への直行便は前年同月に比べ回復傾向にあります。
8月データ:中東
8月の中東地域の訪日客は、8,700人となりました。
日本の水際規制緩和に加えて、一部の中東地域の国で新たな査証申請・手続きが緩和されたことなどから、2019年同月比139.1%とコロナ前の水準を大きく上回っています。
またイスタンブール~成田間の増便などもあって、日本への直行便数は2019年同月を上回っています。
インバウンド対策にお困りですか?
「訪日ラボ」のインバウンドに精通したコンサルタントが、インバウンドの集客や受け入れ整備のご相談に対応します!
<参照>
日本政府観光局(JNTO):訪日外客数(2023年8月推計値)
インバウンド戦略策定のポイントと、組織に必要な意思決定の仕組み化
訪日外客統計によると、2024年年間推計値は過去最高となる3,687万人を記録。またインバウンド消費動向調査においても、旅行消費額は年間速報値で8兆1,395億円となり、これまで過去最高であった2023年の5兆3,065億円から53.4%増となりました。
今回のセミナーでは、株式会社識学の長島様とともに、これからもしくは現状のインバウンド事業を企業に正しく取り入れるために必要なトレンド情報から仕組みのポイントまで解説します!
<本セミナーのポイント>
- 今からできる組織づくりのヒントが得られる!
- インバウンドを事業に取り込むポイントが分かる!
- 100万部突破の書籍を数多く出版する「意識構造学」の識学とともに、最新情報を解説!
詳しくはこちらをご覧ください。
→インバウンド戦略策定のポイントと、組織に必要な「意思決定の仕組み化」とは?
【インバウンド情報まとめ 2025年2月前編】12月の外国人宿泊数1,529万人、2024年累計は過去最高 ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月発行しています。
この記事では、主に2月前編のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
※口コミアカデミーにご登録いただくと、レポートの全容を無料にてご覧いただけます。
詳しくはこちらをご覧ください。
→12月の外国人宿泊数1,529万人、2024年累計は過去最高 ほか:インバウンド情報まとめ【2025年2月前半】
今こそインバウンドを基礎から学び直す!ここでしか読めない「インバウンドの教科書」

スマホ最適化で、通勤途中や仕込みの合間など、いつでもどこでも完全無料で学べるオンラインスクール「口コミアカデミー」では、訪日ラボがまとめた「インバウンドの教科書」を公開しています。
「インバウンドの教科書」では、国別・都道府県別のデータや、インバウンドの基礎を学びなおせる充実のカリキュラムを用意しています!その他、インバウンド対策で欠かせない中国最大の口コミサイト「大衆点評」の徹底解説や、近年注目をあつめる「Google Map」を活用した集客方法など専門家の監修つきの信頼性の高い役立つコンテンツが盛りだくさん!