日本政府観光局(JNTO)は、1月17日に訪日外客統計(2023年12月および年間推計値)を発表。さらに同日、観光庁も2023年訪日外国人消費動向調査の結果を公表しました。
それぞれのデータによると、2023年の訪日中国人客数は約243万人で、訪日中国人旅行消費額は約7,600億円となっています。2023年は水際対策や処理水問題をめぐる日中間の摩擦があり、インバウンドの動きにも少なからず影響をおよぼしました。
訪日ラボでは、各データをもとに、国別に訪日客数、消費額、消費傾向などをまとめています。本記事では、中国市場のインバウンド動向について、最新データを交えて解説します。
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2023年の訪日中国人客数は242万5,000人。緩やかな回復傾向
日本政府観光局(JNTO)が発表した訪日外客統計によると、2023年に訪日した中国人の数は242万5,000人で、韓国、台湾に次いで3番目に多い結果となりました。訪日中国人客数のこれまでの推移として、コロナ前の2019年まで6年連続で増加し、2019年には過去最多となる年間959万人に達しました。
コロナ禍を経た2023年は2019年比で25.3%と、いまだコロナ前の水準までは回復していないものの、水際対策の緩和以降少しずつ客足は戻り、前年と比較して223万6,000人増加しました。
年間推移で見ると、2023年は8月に訪日中国人の数が最も増えていて、団体旅行解禁による好影響もあったようです。
一方、9月と10月に低迷した背景としては、例年は中国の連休である中秋節と国慶節が離れていて別々の訪日機会になるところ、2023年は連休期間が連続し、トータルでの休日の期間が例年に比べて減ったことが挙げられます。
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訪日中国人客数は緩やかな回復傾向にあるものの、航空便数の回復の遅れや航空運賃の高さなどが影響し、各国と比べて今ひとつ伸び悩んでいるのが現状です。
福島第一原発の処理水問題もネガティブな要因に挙げられますが、影響は限定的であるといえます。国土交通省・斉藤大臣は9月8日に行った会見でJNTOが実施した旅行会社への聞き取り調査の内容を取り上げ、「実際にツアーのキャンセルの申し出があった」との回答もあった一方、「顧客からの問い合わせの数は多くはない」、あるいは「問い合わせはない」と回答するケースもあったとコメントしています。
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2023年の訪日中国人消費額は7,599億円。1人当たりの消費額は高水準
観光庁が発表した訪日外国人消費動向調査によると、2023年における訪日中国人の旅行消費額は7,599億円で、台湾に次いで2番目に高い結果となりました。2019年は消費額全体の36.8%を占めていた中国ですが、2023年は14.4%にとどまっています。
コロナ前にはインバウンド市場をけん引していた中国市場ですが、現在は台湾、韓国と並ぶ規模に変化しています。
年間推移を見てみると、2023年1〜3月期は2019年同期比で22.8%にとどまっていましたが、2023年10〜12月期には同59.6%まで回復しています。
費目別に見ると、買物代が2,860億円、宿泊費が2,137億円、飲食費が1,435億円、交通費が619億円、娯楽等サービス費が547億円でした。
2019年と比べてとくに変化したのは買物代の割合で、当時は全体の半分以上を占めていましたが2023年は38%となっています。
一方、宿泊費、飲食費、交通費、娯楽等サービス費それぞれの構成比が増えていることから、買い物による消費傾向は依然として高いものの、「モノ消費」から「コト消費」へと移行する傾向が強まっているようです。
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2023年における1人当たりの旅行支出は約32万円で、訪日外国人全体の1人当たりの旅行支出の平均21万2,000円を大きく上回りました。2019年比で50%近く増えるなど、現状は富裕層が消費をけん引しているといえます。
中国インバウンドの動向は日中関係の動きや円安などの景気動向から受ける影響も大きく、中国市場を取り巻く状況について今後も注視していく必要があるでしょう。
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<参照>
JNTO:訪日外客数(2023年12月および年間推計値)
観光庁:訪日外国人消費動向調査
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