インバウンド旅行客受入拡大に向けた意識調査で見えた課題とは?【第2回アンケート調査も実施中】

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一般社団法人 日本旅行業協会JATA)は、2023年8月に実施した第1回に続き「2023年度第2回 インバウンド旅行客受入拡大に向けた意識調査」を実施中です。

前回の実施から約6ヵ月が経過した第2回の調査において、どのような変化があるのか注目されます。

そこで今回の記事では、第2回の実施概要とともに、第1回の調査結果を踏まえて浮かび上がった課題について解説していきます。

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【実施中】インバウンド旅行客受入拡大に向けた意識調査

第2回の調査は、2024年2月1日(木)〜2月26日(月)の期間で実施中です。

国内事業者のインバウンド観光客受け入れにあたって、アンケートを実施した上で客観データとして抽出し、今後のインバウンドにおける喫緊並びに中長期的な課題の抽出が目的となっています。

調査の対象者は次の通りです。

  • 観光関連事業者
  • 自治体
  • DMO
  • DMC
  • 観光協会
  • 非営利活動法人
  • 営利活動法人

2023年度 第2回 インバウンド旅客受入拡大に向けた意識調査

第1回の調査で浮かび上がったインバウンド受け入れの課題:人手・人材不足が最大の難所に

2023年8月に行われた第1回の調査では、合計1,094件の回答が集まりました。第1回の調査後に発表された分析結果レポートでは、インバウンド観光客の受け入れにおける現状や課題についてまとめられていました。

【コロナ前・現在・今後】インバウンドにおける重点市場

コロナ禍前における、インバウンド観光客の受け入れの重点市場は台湾・中国・韓国・香港と答えた回答者が多く見られました。

コロナ禍以前は台湾を中心とする東アジアの重要度が高い一方で、将来的な受け入れ強化の予定としては、東南アジアや欧米も東アジア各国と同程度の回答が見られました。全体的に一極集中ではなく、受け入れ市場の拡大・分散化の動きが見られます。

コロナ禍を経て、力を入れている旅行・観光関連コンテンツ

コロナ禍を経て、国内やインバウンドを問わず力を入れている旅行・観光関連コンテンツとして事業者が多く挙げていたのは「サステナブルツーリズム(持続的な観光)」でした。

世界的にSDGsへの意識が高まる中で、インバウンド観光客を受け入れる側の関心も集まっていることがうかがえます。

また「ガストロノミー(美食・食文化)」や「酒ツーリズム」への人気も高く、海外における日本食のブームや日本酒への関心は広がり続けているといえます。

インバウンド観光客受け入れの課題

コロナ禍を経て、インバウンド観光客の受け入れが再び拡大する一方、課題も見えてきています。インバウンド観光客の受け入れが再開されて以降、課題として最も多く挙げられたのは「人手・人材の不足」でした。

他にも「交通インフラの整備(二次交通・国際線地方路線・アクセス)」や「多言語対応(インフラ・人材)」を課題として挙げているケースが目立っています。

挙げられた課題はコロナ禍を経て回復するインバウンド市場において、今後の拡大を支えるためには解決が急務であるといえます。

インバウンド観光客受け入れの課題を解決するには

インバウンド観光客の受け入れの最大の課題である「人手不足」など、インバウンド業界が抱える課題を解決しようとする動きも高まっています。

そこで今回は、「人手不足」を軸に課題解決に対する取り組みを3つピックアップして紹介します。

事例1. 日本酒蔵ツーリズム推進協議会:受け入れ体制の整備を支援

「酒ツーリズム」はインバウンド観光客からの注目が集まっている一方で、人手不足といったインバウンド受け入れ体制への課題を抱えています。

そこで日本酒蔵ツーリズム推進協議会は、日本酒ツーリズムを活性化するために、会員向けに「外国人受け入れ体制標準化ツール(酒蔵ガイド)」を作成しています。

関連記事:人手不足の酒蔵がインバウンド客を満足させられるワケ

事例2. 日本旅行業協会:宿泊施設と旅行会社の業務を一元化

日本旅行業協会JATA)は、旅行業界全体の効率化と生産性の向上を目指して「観光産業共通プラットフォーム」を運用しています。本プラットフォームの運用により、コロナ禍で露呈した人手不足などの問題に対処し、将来の成長に資源を集中できるような環境を構築する狙いです。

関連記事:JATA、宿泊施設と旅行会社の業務を一元化、人手不足問題の解消へ

事例3. ANA/JAL:業務や施設を共有化

将来の人手不足への対応策として全日本空輸(ANA)と日本航空(JAL)が手を組み、競争を維持しつつも、空港グランドハンドリング分野において業務の標準化やシステム・端末の共有化を推進すると発表しています。

これまでのグランドハンドリングにおける作業資格は航空会社ごとに資格が定められていたため、作業者は必要な場合は各社で資格を取得する必要がありました。

今後はANAかJALのどちらかの資格を取得すれば、両社で作業に従事できるようになり、大幅な業務効率化が期待できます。

この仕組みの運用は、2024年4月から順次開始される予定です。

関連記事:ANAとJAL、人手不足に対応するため業務や施設を共有化

第1回の調査では「大阪万博」についての事業者の反応も

第1回は、大阪万博への事業者の反応についても調査されています。大阪万博をきっかけにしたインバウンド観光客の誘致について考えている回答者は、全体では32%にとどまりました。

一方で関西を拠点とする事業者の場合は関心度が高く、関西に拠点があるかどうかで意識の差が顕著であることがわかりました。

第2回の調査は、2024年2月1日(木)〜2月26日(月)の期間で実施中で、第3回の調査も2024年7月に実施が予定されています。今後の調査で、現在浮かび上がっている課題や「大阪万博」へ向けた意識について変化が見られるかどうか注目です。

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<参照>

JATA:第1回インバウンド旅行客受入拡大に向けた意識調査報告書

JATAニュースリリース:「観光産業共通プラットフォーム」本格運用開始

公益社団法人 日本観光振興協会:酒蔵ガイドツールのご案内

日本航空株式会社プレスリリース:持続可能な空港グランドハンドリングに向け、ANAとJALが共同で具体的な取り組みの検討を開始しました

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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