中国の春節(旧正月)連休が終わりました。2024年の春節は2月10日〜17日の8日間で、中国当局による事前発表では、春節期間の前後を含めた40日間(1月26日〜3月5日まで)に延べ90億人が国内で移動すると言われていました。
春節連休を経て、実際に人の移動はどのようなものだったのでしょうか。発表されたデータをもとに、春節期間中の中国人観光客の移動や、人気だった海外旅行先について解説します。
インバウンドの最新情報をお届け!訪日ラボのメールマガジンに登録する(無料)
【中国春節2024】中国から海外へ出かけた旅行者は約360万人
「人民日報」が発表したデータによると、2024年春節の8日間における国内観光客数は延べ4.74億人、海外への旅行者は約360万人となりました。
また「チャイナ・モバイル」は、8日間で定住地から離れて移動した人の数が2023年の同時期と比べて15%増加したと発表しました。国内外を含めて58%が3連休以上の観光を計画しており、多くの人が旅行の時間を確保して満喫する様子がうかがえました。
若い世代が旅行の中心に:「ディープな旅」「チルステイ」が流行
中国最大級の観光サイトMafengwoが発表した「2024春節ビッグデータレポート」によると、春節旅行者のうち60%が女性だと分析されています。また1980〜2000年代生まれが全体の90%以上を占めており、以前の団体旅行で見られた中高齢層ではなく若い個人旅行客が中心となっています。
その他にも春節旅行の全体的な傾向として、次のようなテーマが人気だとわかりました。
- ディープな文化の旅
- 親子旅行
- 温泉旅行
- スキー旅行
今年の春節では詰め込み型の旅行ではなく、「チルステイ」と呼ばれる、ゆったりと過ごす旅行が好まれる傾向にあるようです。
実際に中国で人気のSNS「小紅書(RED)」を見てみると、メジャーな観光地だけでなく、ディープな旅を楽しんでいる様子がうかがえます。
とはいえ「チルステイ」だけでなく、3〜4日間で東京近辺の観光スポットを効率的に巡るためのプランも多く紹介されており、多様なニーズがあることがわかります。
アジア諸国や日本の人気が急上昇!日本は人気2位
「Mafengwo」のレポートによると、中国の海外旅行の人気国TOP10は以下の通りです。
日本は2位にランクインしています。
- タイ
- 日本
- シンガポール
- マレーシア
- ベトナム
- 韓国
- インドネシア
- オーストラリア
- アラブ首長国連邦
- イタリア
国別の人気上昇率を見てみると、春節期間中はアジア諸国の人気が高く、シンガポール・韓国・日本が急上昇しています。一方でアジア以外では、ジョージアも人気急上昇中の国として挙げられています。
また海外都市TOP10では5位に東京、7位に大阪がランクインしました。
中国の訪日客が注目する、意外なトレンド
中国人の訪日旅行トレンドとして、「冬だけど、冬以外のコンテンツも楽しみたい!」という変わった動きも。
例えば静岡県の熱海や河津で「早咲きの桜」を見たり、富士山を背景に「冬の花火大会」を楽しんだりするなどのレジャーがトレンドとなっているようです。
訪日中国人観光客数、ピークには戻らず
日本政府観光局(JNTO)から発表された2024年1月の訪日外客数によると、中国は41万5,900人で、2023年12月の31万2,400人から10万人以上の伸びをみせています。
一方でコロナ前である2019年の75万4,421人と比べると、44.9%にとどまっています。
訪日中国人観光客の戻りが鈍い背景には、国家間関係の影響や航空便の回復遅れによる影響などが考えられます。
特に航空便において国土交通省のデータを見ると、国際線全体では2019年比84.9%まで回復している中で、中国の旅客便は2019年比46.7%となっており、回復が遅れている様子がうかがえます。
2月の訪日外客数の発表が待たれますが、徐々に回復しつつあるとはいえ、春節期間中の訪日中国人観光客は「コロナ禍前のピークには戻っていなかった」といえるでしょう。
関連記事:
春節期間の訪日客は中国一強から「多様化」へ
今年の春節についての事前予想として、日本経済新聞(以下、日経)は2024年2月8日付で、『「春節商戦」訪日客が多様化 中国人半減、東南アが補う』と題した記事を公開しました。
実際に、日本政府観光局(JNTO)による2024年1月の訪日外客数を見ると、最多は韓国で85万7,000人(訪日外国人全体の31.9%)でした。韓国に次いだのは台湾の49万2,300人(同18.3%)となり、韓国と台湾で約半数を占める結果となりました。
一方で中国は回復しつつあるとはいえ全体の15.5%にとどまり、中国以外のアジア各国の存在が目立っています。
その他にも2023年1月比では、フィリピン(前年同月比57.8%増、5万6,800人)、シンガポール(同50.4%増、3万4,100人)、カナダ(同42.2%増、3万1,700人)などの国々の伸び率も大きくなっています。
必ずしも「春節といえば中国」だけではなく、訪日客は多様化していると考えられます。
関連記事:春節2024、訪日中国人観光客はどこまで回復する?中国以外の動きにも注目
2025年の春節は訪日中国人観光客を期待できる?
2024年の春節は、中国の国内外を問わず旅行の人気が高まり、人の移動が活発となりました。国内旅行への注目度が高まり続ける一方で、海外でも日本をはじめとするアジア諸国で人気が急上昇しています。
訪日中国観光客の数はまだ回復途上ですが、航空便の回復が期待できる2025年は、今年以上の春節の盛り上がりが期待できるでしょう。
一方で懸念されているのが中国国内の経済状況。これまでの順調な経済成長から一転、不動産業界を中心に不況への転落が懸念されています。今後インバウンド市場へどういった影響を及ぼすのか、関係する事業者の方は注視しておいたほうがよいでしょう。
インバウンド対策にお困りですか?
「訪日ラボ」のインバウンドに精通したコンサルタントが、インバウンドの集客や受け入れ整備のご相談に対応します!
<参照>
日本政府観光局(JNTO):訪日外客数(2024年1月推計値)
i黑马:返程了,但今年春运数据吓我一跳
新华网:春节大数据洞察报告
中国游乐:2024春节旅游大数据报告出炉!全方位解析旅游热点、消费趋势
日本経済新聞:「春節商戦」訪日客が多様化 中国人半減、東南アが補う
中国SNS「RED(小紅書)」最新情報セミナー:訪日ラボ社内勉強会の内容を特別に公開します【訪日ラボ トレンドLIVE! Vol.6】
短時間でインバウンドが学べる「訪日ラボ トレンドLIVE!」シリーズの第6弾を今月も開催します!訪日ラボとして取材や情報収集を行う中で、「これだけは把握しておきたい」という情報をまとめてお伝えするセミナーとなっています。
今年も残りわずかとなりましたが、インバウンド需要はまだまだ好調をキープしている状況です。来年の春節や桜シーズンなど、訪日客が集まる時期に向けて対策を練っていきたいという方も多いでしょう。
今回もインバウンド業界最大級メディア「訪日ラボ」副編集長が、10〜11月のインバウンドトレンド情報についてお話ししていきますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。
詳しくはこちらをご覧ください。
→中国SNS「RED(小紅書)」最新情報セミナー:訪日ラボ社内勉強会の内容を特別に公開します【訪日ラボ トレンドLIVE! Vol.6】
【インバウンド情報まとめ 2024年11月前編】UberEats ロボット配達開始、万博需要見すえ大阪で ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月発行しています。
この記事では、主に11月前半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
※口コミアカデミーにご登録いただくと、レポートの全容を無料にてご覧いただけます。
詳しくはこちらをご覧ください。
→UberEats ロボット配達開始、万博需要見すえ大阪で:インバウンド情報まとめ【2024年11月前編】
今こそインバウンドを基礎から学び直す!ここでしか読めない「インバウンドの教科書」
スマホ最適化で、通勤途中や仕込みの合間など、いつでもどこでも完全無料で学べるオンラインスクール「口コミアカデミー」では、訪日ラボがまとめた「インバウンドの教科書」を公開しています。
「インバウンドの教科書」では、国別・都道府県別のデータや、インバウンドの基礎を学びなおせる充実のカリキュラムを用意しています!その他、インバウンド対策で欠かせない中国最大の口コミサイト「大衆点評」の徹底解説や、近年注目をあつめる「Google Map」を活用した集客方法など専門家の監修つきの信頼性の高い役立つコンテンツが盛りだくさん!