トルコと日本の関係をわかりやすく解説!「エルトゥールル号事件」以降の歴史と近年の動向

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アジアとヨーロッパの両大陸にまたがるトルコは、古くから人々や文化の交差点として繁栄してきました。

国土の大部分はアジアに位置していますが、NATO(北大西洋条約機構)に加盟しており、EUへの加盟も目指すなどヨーロッパとの結びつきも強い国です。

またイスラム教徒が中心であることから、外務省ではトルコを中東に分類しています。

世界有数の親日国としても知られており、日本とトルコは災害時には助け合うなど友好関係にあります。

この記事ではトルコと日本の関係、トルコから見た日本について紹介します。

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1. トルコの基本情報

まずトルコの基本情報から見ていきましょう。日本とトルコとの距離、トルコ市場のインバウンドデータについても深く掘り下げていきます。

1-1. 基本情報

面積

780,576平方キロメートル(日本の約2倍)

人口

8,527万9,553人(2022年、トルコ国家統計庁)

首都

アンカラ

公用語

トルコ語

宗教

イスラム教(スンニ派、アレヴィー派)が大部分を占め、その他ギリシャ正教徒、アルメニア正教徒、ユダヤ教徒等

一人あたりの名目GDP(US$)

10,622US$

トルコからの出国者数(2019年)

965万1,000人(日帰り客含まず)

トルコへの外国人訪問者数(2023年)

5,670万人

訪日外客数(2022年)

7,129人

トルコは面積が日本の約2倍ですが、人口は日本の7割ほどです。

公用語はトルコ語ですが、小学校から英語教育が行われており、観光地では英語が通じることも多くなっています。

最大都市イスタンブールからは、日本との直行便も発着しています。

1-2. 日本との距離

日本からトルコへ行く場合の所要時間は、どのくらいでしょうか。

羽田空港からイスタンブールへの直行便の場合、所要時間は約14時間です。

帰りのイスタンブール発では、約11時間と少し短くなります。これは西から東に流れる「偏西風」が追い風となり、東に向かう飛行機の方が早く着くためです。

日本とトルコを結ぶ直行便は、ターキッシュエアラインズが羽田、成田、関西~イスタンブールの3路線を運航しているほか、ANAが羽田~イスタンブール線を2024年下期に開設する予定です。

なお日本とトルコの時差は6時間です。時差ボケ対策として、現地時間に合わせて出発数日前から起床時間を調整したり、フライト中に睡眠を取るようにするとよいでしょう。

1-3. トルコ市場のインバウンドデータ

トルコからの訪日客は、コロナ前の2019年まで5年連続で増加しており、ピークとなった2019年には2万2,724人を記録しました。

コロナ禍で一時的に落ち込んだものの、その後2022年には7,129人と快調なペースで回復しています。

コロナ前の傾向では、トルコからの訪日客は3月から4月の春シーズンに多く、お花見を楽しみにしているトルコ人が一定数いると考えられます。

いっぽう10月から1月までの秋冬シーズンは、減少傾向が見られます。

トルコは日本と同じように四季があり、年間の気候が東京に近いといわれているため、気候が穏やかな季節の訪日旅行が人気を集めているようです。

2. 【新日国】トルコと日本の関係をわかりやすく解説

トルコは世界有数の親日国としても知られています。

なぜトルコは親日国といわれるのか、その歴史をひも解きながら、近年の動向についても解説します。

2-1. トルコが親日国といわれるきっかけ:エルトゥールル号事件の記憶

2012年に外務省が行った調査によれば、トルコ人の83.2%がトルコと日本の関係について、「友好関係にある」「どちらかというと友好関係にある」と回答しました。

さらにトルコにとって重要なパートナーとして、「イスラム諸国」(29.9%)に次いで「日本」(13.7%)が2位となり、3位の「米国」(8.4%)を上回りました。

多くのトルコ人が日本に対して友好的な印象を抱いており、他国と比較しても重要な存在として位置付けていることが分かります。

日本とトルコの友好関係を歴史的にひも解くと、1890年の「エルトゥールル号海難事件」にさかのぼります。

オスマン帝国軍艦エルトゥールル号は、1887年の小松宮同妃両殿下のイスタンブルご訪問への答礼として、日本へ派遣されました。しかし帰路で台風に遭遇し、和歌山県の灯台下で座礁してしまいました。581名が亡くなってしまったものの、地元の人々による救援活動により、生存者69名は翌年、日本軍艦の「金剛」「比叡」によってトルコへ送り届けられたのです。

この事件はトルコでも知られており、トルコが親日国である理由のひとつとなっています。

2-2. 災害が起これば相互に支援する関係

前述のエルトゥールル号事件に端を発し、日本とトルコはその後も災害の際に助け合う関係が続いてきました。

エルトゥールル号事件の約100年後となる1985年3月には、イランイラク戦争に際しイラン首都テヘランで孤立した在イラン邦人を救出するため、トルコ政府からトルコ航空の特別機が派遣されました。

さらに2011年の東日本大震災とトルコ東部地震や、2023年のトルコ南東部地震でも、両国間で相互に災害支援が行われています。

このように日本とトルコは、現在においても災害時に互いに支援し合う関係にあります。

2-3. 外交関係樹立から2024年で100周年

日本とトルコは、2024年で外交関係樹立100周年を迎えます。

両国の外交関係は、トルコ共和国建国の翌年となる1924年に、日本がローザンヌ条約を批准し、同条約が発効したことから始まりました。

その後世界は第二次世界大戦に突入しますが、トルコの参戦は戦争末期だったため、両国は戦火を交えることはありませんでした。

敗戦国となった日本は、1956年に国際連合に加盟しますが、その際トルコは国連安全保障理事会の討議で日本の加盟重要性を訴え、日本の国際社会復帰に尽力しました。

両国の関係は近年、政治や経済、防災など幅広い分野でさらに発展しています。

2-4. 経済的なつながりも強い日トルコ関係

日本とトルコはさまざまな分野で経済協力を行っており、近年ますますさかんになっています。

アジアとヨーロッパをつなぐ第二ボスポラス大橋(1988年完成)と、ボスポラス海峡横断鉄道トンネル(2013年開通)は、日本とトルコのJV(ジョイントベンチャー)によって実現しました。

さらに2016年に完成した、世界で4番目に長い吊り橋「イズミット湾横断橋(オスマン・ガーズィー橋)」にも、日本の技術が活用されています。

また1987年以来継続して開催されている日本トルコ合同経済委員会は、重要なビジネス交流の役割を果たしています。

3. トルコ人が抱く日本の印象は?

トルコは親日国であり、日本を重要なパートナーとして位置付けています。

では具体的には、トルコ人は日本人に対して、どんなイメージを持っているのでしょうか。

3-1. 「勤勉・誠実」

2012年の外務省の調査では、トルコにおける日本人に関するイメージについて、「勤勉・誠実(70.8%)」が最も多い結果となりました。

同調査では、日本が経済協力した「第二ボスポラス大橋」(知っていると答えた人の割合が44.9%)や「マルラマイプロジェクト(ボスポラス海峡海底鉄道トンネル計画)」(同52.5%)の認知度も高くなっています。

さらに強化すべき両国間の協力関係として「科学技術」(56.4%)や「貿易・投資」(45.8%)、「エネルギー」(25.6%)挙げる人が、「外交・安保」(20.7%)や「文化・人物交流」(16.4%)を上回って多く、日本の技術に対する信頼度の高さがうかがえます。

高い技術力を要する日本の国民イメージとして、「勤勉・誠実」をイメージする人が多いと考えることもできそうです。

3-2. 「伝統文化を大切にする」

前述の外務省の調査では、トルコにおける日本人に関するイメージについて、「勤勉・誠実(70.8%)」に次いで「伝統文化を大切にする(31.6%)」との回答が多く上がりました。

トルコ人が訪日旅行で関心を持つ分野も、「古都・歴史(神社仏閣等)」(39.4%)が最も多く、 「ショッピング 」(29.8%)に次いで、「伝統文化鑑賞(歌舞伎等)」(29.0%) 、「日本食」(20.4%)がランクインしています。

日本人に対し伝統文化を重んじるイメージを持っているトルコ人は、訪日旅行でも伝統文化をめぐる観光に興味があるようです。

4. まとめ

2024年で外交関係樹立100周年を迎えた日本とトルコは、地理的には離れているものの、歴史的に培われた信頼関係があります。

災害時には助け合うほか、近年では経済協力もさかんになっており、両国の友好関係はさらに深まっていくものと期待されます。

まだ訪日トルコ人は欧米各国と比較して少ない状況にありますが、距離的には欧米圏とほぼ同じであることから、航空便の新規就航等が鍵となりそうです。また、日本の伝統文化に魅力を感じるトルコ人も多く、日本文化の効果的なアピールが、訪日トルコ人の誘客につながるかもしれません。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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