中国では毎年11月11日を「独身の日」と呼び、世界最大規模を誇る大セールが開催されます。多くの日本企業も独身の日のセールに参戦し、なかにはたった1分で7,000万円を売り上げた企業もあります。
本記事では、もともとは独身の若者たちが集まってパーティーを開くことからはじまった「独身の日」の変遷について、そして過去に記録的な売上を記録した日本ブランド、2024年の注目カテゴリまでご紹介します。
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独身の日とは?
中国では、毎年11月11日を「独身の日」と呼んでいます。「1」が並んでいることから独身を連想するとして名付けられたもので、1990年代に南京大学の学生たちが考案したことが発祥とされているそう。11が2つあることから、「双十一(ダブルイレブン)」とも呼ばれます。
当初は独身の若者たちが集まって婚活パーティーを開いたり結婚相手を探したりする日でした。しかし2009年に中国の大手EC企業アリババグループが「自分へのご褒美」をコンセプトに掲げ、独身者をターゲットに自社サイトで大規模なセールを開催。その後徐々に広がりを見せ、独身者だけでなく国民全員に浸透していきました。
2019年までは独身の日当日(11月11日)のみの開催でしたが、好調の波を受けて翌年からはセール期間が延長され、現在では10月下旬から11月中旬にかけて長期的に開催されています。
2023年の独身の日、市場規模は23兆円超え
2020年にセール期間が延長されてからは、市場規模がさらに拡大しています。アリババグループの発表によれば、2021年の売上は11日間で「5,403億元(約9兆6,400億円)」を突破。EC業界を代表する大イベントへと成長しました。
また、中国調査会社の星图数据によると、2023年のGMV(流通取引総額)は前年同期比2%増の「1兆1,386億元(約23兆6,000億円)」でした。
不動産バブルの崩壊を契機とした不景気などが要因で個人消費が伸び悩み、伸び率は鈍化したようですが、それでもその規模の大きさには変わりありません。
独身の日に人気の日本ブランド3選
楽天市場の年間売上を短期間で大きく上回る「独身の日」に、熱視線を注いでいる日本企業も多いはずです。
アリババグループの国・地域別のGMV(流通総額)ランキングによると、日本が2016年から5年連続で1位を獲得しており、その人気ぶりがうかがえます。
ここでは、「独身の日」に人気を得た日本ブランドを紹介します。
1. 美容機器メーカー「ヤーマン」:美容機器部門で第2位を獲得
2023年に設立45周年を迎えたヤーマン株式会社は「独身の日」のセールにおいて、アリババグループのECサイト「Tmall」内の美容機器部門販売実績で、中国ブランドに次いで2位を獲得しました。
メインはエイジングサインや肌悩みにアプローチし、年齢による肌のハリ不足などをケアするフェイスケア製品です。
また、ヤーマンの関連会社で上海に本社を置く「MACHERIE BEAUTY TECHNOLOGY CO.,LTD」が展開する美容機器ブランド「FLOSSOM(花至)」も、美容機器部門で第3位にランクイン。新ブランドのなかで、独身の日のセール期間における累計店舗販売実績ランキングの第1位を獲得しています。
2. 美容機器メーカー「A. GLOBAL」:1日で62億円の売上を達成
岐阜県羽島市に本社を構える株式会社A. GLOBAL (旧:ARTISTIC&CO. GLOBAL)は、2022年の「独身の日」商戦で過去最高となる62億円の売上を達成しています。
また、“中国版TikTok”といわれる抖音(ドウイン)を活用したライブコマースにも注力。2022年の独身の日において売上や話題化が目覚ましく、今後も伸長が期待されるブランドに送られる「趋势品牌榜(トレンドブランド部門)」で1位を獲得しています。
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3. 衛生用品メーカー「ユニ・チャーム」:開始1分で7,000万円の売上を記録
衛生用品大手のユニ・チャームも「独身の日」のセールに参戦しています。主力商品は「大人用紙おむつ」。ユニ・チャームの取引額は、セール開始たった1分で400万元(約7,000万円)を突破しました。
中国では昨今、急速に少子高齢化が進んでいて、中国国家統計局の最新の調査によると2023年末における60歳以上の人口は2億9,697万人と、全人口の21.1%を占めています。長年高齢者向けの製品の開発を進めてきた日本にとって、これは大きなビジネスチャンスといえます。
アリババグループはサイト内に「シニア向けモード」として、サイト内の文字や写真が大きく表示されるシステムを導入。高齢化がますます進むなかで、市場規模の拡大とともにさらなる需要の拡大が見込まれています。
2024年の独身の日、注目のカテゴリは?
ここのところ中国では健康に対する意識が高まりを見せていて、若者の間でも「養生」が流行の兆しを見せています。
「養生」というと、健康な食事や運動によって体質を改善させたり健康をキープしたりする方法が一般的にイメージされますが、若者の間では大きな手間をかけないライトなものが好まれています。具体的にはサプリメントの服用や、足浴パック・温湿布などの使用のほか、気功やお灸、カッサなど、漢方に基づく治療法の知識を集めることに余念がありません。
中国中央テレビ局の経済チャンネル「CCTV-2」が発表した2023年の統計データによれば、中国における若年層の消費ランキングで、ヘルシー関連の消費が消費志向の第3位を記録しました。いわゆる健康グッズだけでなく、添加物0を謳った調味料や、高タンパク質のプロテインバー・お菓子などの健康食品も、手軽に生活に取り入れられることから売上の比率が高くなっています。
これはそのまま「独身の日」のセールにも共通することから、ヘルシー関連のアイテムを扱う企業にとっては好機といえます。
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また、インターネットでスマートフォンとつなぎ、遠隔操作が可能なAI家電にも注目が集まっています。もともと売上の15%を占める家電の中でも、AIを搭載した商品の人気が上昇。HaierやMidea、Xiaomiといった各ブランドが上位を独占しています。
AI家電は私たちの暮らしをより便利にしてくれるだけでなく、省エネも実現してくれることから、これからもさらなる進化を遂げることが予想されます。一方、まだ成熟していない分野でもあるため、多くの企業にとって勝機になりうるはずです。
日本の強みを生かしたカテゴリで中国向けのプロモーションを
独身者の集まりからはじまり、いまとなっては世界最大規模を誇るまで成長した「独身の日」のセール。中国企業に負けず、記録的な人気を獲得している日本企業も少なくありません。
美容機器や衛生用品、健康食品、AI家電といった注目のカテゴリはもちろん、それ以外も含めてライブコマースなどを活用しての宣伝は有効な手段となります。越境ECに取り組むことで、自社ブランド・製品の認知拡大にも良い効果が見込めるかもしれません。
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<参照>
アリババジャパン:アリババグループ、天猫ダブルイレブンで過去最高の流通総額7兆円超を達成
星图数据:2023年双十一全网销售数据解读报告
ヤーマン株式会社:Tmallにおける中国「独身の日」 美容機器部門で販売実績第2位を獲得
株式会社A. GLOBAL:高級美顔器を製造販売するARTISTIC&CO. GLOBAL中国最大のECショッピングイベント「独身の日/W11」で過去最大「62億円」の売上を達成
日テレNEWS:中国「独身の日」“高齢者向け”日本企業も
中国国家統計局:2023年国民经济回升向好 高质量发展扎实推进
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