10月4日に開催された第214回臨時国会において、石破茂第102代内閣総理大臣による所信表明演説が行われました。
石破首相は安全保障やエネルギー政策のほか、インバウンドを活用した地方創生や観光の高付加価値化の促進などについて述べました。
石破首相、所信表明演説
石破首相は10月4日に所信表明演説を行い、安全保障対策や物価高、地方創生などについての方針を表明しました。
ここでは、観光やインバウンドに関わる内容をまとめます。
「地方こそ成長の主役」デジタルを活用した地方創生
地方創生を政策の柱としていた石破首相は、10年前に自身が初代地方創生担当大臣に就任したことに触れ、『地方創生2.0』を再起動させるとしました。
その上で、「地方こそ成長の主役」であると位置づけ、少子高齢化や人口減少に対応するため、デジタル田園都市国家構想実現会議を発展させた「新しい地方経済・生活環境創生本部」を新設するとしました。その中で、ブロックチェーンなどの新技術やインバウンドなどの大きな流れなどを効率的に活用することも考え、地方創生を進めていく考えです。
デジタル田園都市国家構想は、岸田首相が「新しい資本主義」の実現に向けた重要な政策の一つで、人口減少や東京一極集中、地域産業の空洞化など地方が直面している課題に対して、デジタルの技術を使い、課題解決・地域活性化を進めていくというものです。
この取り組みでは、デジタル田園都市国家構想交付金が設けられ、デジタルを活用した課題解決などに支援されてきました。観光の分野では、宿泊業者の顧客情報の管理や利便性の向上などに使われており、「新しい地方経済・生活環境創生本部」が新設されれば、より観光分野においてDX化がすすめられることが期待されます。
「交通空白」の解消
続けて、観光産業の高付加価値化を推進することに触れ、文化芸術立国に向けた地域の文化、芸術の支援強化に取り組む考えを示しました。また、地域交通が地方創生の基盤であるとして、「交通空白」の解消に向け、移動の足の確保を強力に進めるとしました。
岸田内閣が進めていた、観光産業の高付加価値化へ向けた11のモデル観光地(現在は3地域が追加選定されている)への重点的な支援などが踏襲されていくのか注目されます。
大阪・関西万博で日本の魅力発信
2025年に開催が予定されている「大阪・関西万博」にも触れ、「世界と交流を深め、日本の魅力を世界に向けて発信する絶好の機会」だと述べ、国際交流や日本の魅力発信に向けて、関係者らと共に取り組む姿勢を示しました。
万博については、開催に向けた準備が思うように進んでいない中、来場者の確保など課題が残されています。
5つの「守る」を表明
所信表明では、総裁選で表明していた「ルールを守る」、「日本を守る」、「国民を守る」、「地方を守る」、「若者・女性の機会を守る」の五本の柱を再度強調しました。
地方創生のほかにも、防衛力の強化に向け、同盟国との緊密な連携や中国などとの安定した関係の構築などについても述べたほか、エネルギーの安定的な供給など国民の生活を守るとしています。
一方で、岸田政権が残したGX(グリーン・トランスフォーメーション)の推進や最低賃金の引上げなど道半ばの政策もあり、これからどのように取り組んでいくのか注目です。
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<参照>
首相官邸:第二百十四回国会における石破内閣総理大臣所信表明演説
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