「並ぶのが面倒……」「並んでまで食べなくてもいい」──人気の飲食店が気になりながらも、こういった理由で「行かない」という選択を取っている人も多いはずです。
インバウンド客も同様で、訪日滞在中に楽しめる時間には限りがあったり並ぶことにストレスを感じたり、行列を理由にほかの飲食店に足を運ぶことも少なくないようです。
しかし、手数料を支払うことでこういった行列店にも優先的に入店できるシステムがあります。株式会社TableCheck(以下、テーブルチェック)が2024年2月からサービス提供を開始した、有料優先案内サービス「テーブルチェック ファストパス」です。
本記事では、テーブルチェック ファストパスを導入することで飲食店にどのようなメリットがあるのか、インバウンド対策としてどのように機能するのかを解説します。
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テーブルチェックとは
テーブルチェックは、行きたい日時と人数を入力するだけで、即時空席確認・予約ができるレストラン予約検索サイトです。18の言語に対応し、36の国と地域のお店で利用されています。
テーブルチェックが「ファストパス」の提供を開始
テーブルチェック ファストパスは、ゲストが手数料を負担する有料の優先案内サービス。何時間も並ぶ必要があった行列店の食事も、手数料を支払うことで待つことなく確実に入店できるようになります。
史上初ミシュランの星を獲得したラーメン店として世界的に有名な「Japanese Soba Noodles 蔦」をはじめとする国内人気ラーメン店6店舗から導入が開始されて以降、徐々に広まっており、全国の人気店300店舗への導入を目指しているといいます。
「ファストパス」インバウンド対策として注目すべき2つの理由
テーブルチェック ファストパスについて、インバウンド客の視点からメリットを解説します。
1. 行列に並ぶストレスがゼロに
有名ラーメン店など、訪日客に人気の飲食店では、数時間待ちの行列が発生することも少なくありません。屋外で立って待つ場合も多く、気候が異なる国から来ている旅行者にとっては、近年の猛暑や寒波も大きなストレスになることが考えられます。
また、訪日客が日本での滞在を楽しめる時間には限りがあります。貴重な時間をただ行列に並んで消費することは、時間を有効に使いたい訪日客には敬遠されるでしょう。
農林水産省が2018年度に実施した調査では、「待ちたくないため行列に並ぶことはほとんどしなかった」といった回答が国籍に関係なく見受けられました。
ファストパスを利用すれば行列に並ぶ必要がなくなり、ストレスを感じることなく、限られた時間でも人気店での食事を楽しめるようになります。
2. 言語の壁による予約のハードルが下がる
訪日旅行者は、旅行する前にリサーチを行う人が多いにもかかわらず、言語の壁で予約できない場合があります。
農林水産省の調査では、訪日客が事前に飲食店をリサーチしている様子を多数確認できたものの、実際に事前予約を行った人は少数だったといいます。その理由としては、外国語で予約できる日本の飲食店が限られているためだと分析されていました。
しかし近年では、海外OTAでも日本の飲食店の取り扱いが増えていることなどから、積極的に事前予約が行われるようになっており、飲食店側も対応を迫られるようになっています。
テーブルチェックでは18言語に対応しているため、訪日客にとって予約のハードルが下がるうえ、ファストパスで人気店でも行列を回避できます。
飲食店が「ファストパス」を導入する2つのメリット
外国人にとってのメリットは確認できた一方で、飲食店にとってはファストパスを導入するとどのようなメリットがあるのでしょうか。
1. 新規顧客層へのアプローチ&顧客満足度の向上
「行列に並ばなくても人気店を利用できる」というのは、利用者側だけでなく飲食店側にとってもメリットとなります。
ファストパスの導入によって、これまでアプローチできなかった顧客層への来店促進を効果的に行えるようになり、実際に多くの新規顧客が増えたという事例があるようです。
また、新規顧客だけでなく常連客の満足度が向上したという事例もあり、結果的に客単価の向上にもつながっているという声もあります。
2. 手数料が新たな収益源になる
新たな収益源になる点もファストパスを導入するメリットの一つです。テーブルチェック ファストパスはゲストが手数料を支払う優先案内サービスです。デポジット制や事前支払制とは異なり、手数料は予約が確定した時点でゲストに請求され、キャンセルの場合でも返金はありません。
手数料は、テーブルチェック ファストパスの導入店とテーブルチェックでシェアされる仕組みです。
人数変更が必要になったり、予約を間違えたりした場合のキャンセルでも返金はなく、一旦予約をキャンセルしてから再度別の予約をする際には、再び手数料が必要となります。
予約受付時にクレジットカード情報を取得するため、無断キャンセルや直前のキャンセルが発生しても確実にキャンセル料を請求できます。
有料優先案内は、飲食店のビジネスモデルを変え、コスト高騰で経営がひっ迫する飲食店の収益構造を改善できる可能性があります。
「テーブルチェック ファストパス」で訪日客と飲食店がWin-Winに
テーブルチェック ファストパスによって訪日客は簡単に人気店を予約して、行列に並ぶ時間を節約し、限られた日本滞在の時間を有効に活用できます。また飲食店は待ち時間の長さに伴う機会損失を減らし、キャンセル被害を回避しながら「優先案内の手数料」という新たな収益源を確保できます。
日本の飲食業界は原材料費や人件費などのコスト上昇が続くなかで、客離れを懸念した結果、コストに見合った値上げを実施できていない店舗も多い状況だといいます。そのなかでテーブルチェックは、ファストパスについて「日本の飲食業界が長年抱えてきた課題の解決につながる」としています。
テーブルチェック ファストパスは、利用者にメリットを提供しながら飲食店の利益最大化に貢献する仕組みとなっており、インバウンド客と飲食店のWin-Winの関係が叶うサービスといえそうです。
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<参照>
株式会社TableCheck:「TableCheck FastPass」提供開始
TableCheck:導入事例
農林水産省:平成30年度食によるインバウンド対応推進委託事業
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