ゼロパーティデータとは?ポストCookie時代のデータ収集のあり方とは

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ゼロパーティデータとは、顧客によって積極的に提供された顧客データのことを指します。

ゼロパーティデータを活用すれば、顧客の興味やニーズに合った効果的なマーケティング戦略を練ることができます。インバウンド需要が増える中、訪日外国人へのアプローチを強化するための重要なポイントとなるでしょう。

ゼロパーティデータという概念が提言されてきた背景には、ユーザーのプライバシー保護を目的としたCookie規制の動きがあります。たとえば代表的なプラウザでいうと、AppleのSafariはサードパーティクッキーの発行を規制しているほか、GoogleGoogle Chromeにおいて2025年まで段階的にCookieを廃止すると発表しています。

※Cookie(クッキー)とはWebサーバ側からクライアントのブラウザへわたす小さなデータ片のこと。Cookieがあることで、Webサイトをまたぐユーザー行動を追跡し、相手を選んで広告を表示できる。これが一般的なターゲティング広告の仕組み。

※2024年7月、GoogleはサードパーティCookieの完全廃止を撤回し、Chromeに新たなプライバシー制御機能を導入する方針を発表しました。

そこで、本記事ではCookieの規制に伴い、マーケターが知っておきたいゼロパーティデータについて分かりやすく解説します。


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ゼロパーティデータとは

ゼロパーティデータとは、冒頭にも述べたように、顧客によって積極的に提供された顧客データのことです。2018年にForrester Research社によって提言されました。

たとえば、メールプリファレンスのデータ、購入意思、個人的背景などが含まれます。マーケティング活動をする上で、ユーザーの志向を知ることは必須事項です。そこで、ゼロパーティデータが役立ちます。

ゼロパーティデータの類語

ここでは、ゼロパーティデータを知る上でおさえておきたい類語を紹介します。


1. ファーストパーティデータ:閲覧履歴やメールアドレスなど自社で収集したデータ

ファーストパーティデータとは、自社が保有するWebサイトで発行したCookieから自社の顧客やwebサイトの訪問者に関して独自で収集したデータのことです。おもな例として以下のものがあります。

  • 自社ECサイトやアプリでの会員登録
  • オフラインでのアンケート
  • POSデータ
  • 自社サイトの閲覧履歴

独自で収集しているため、データの出自が明確であり信頼性が高いといえます。

2. セカンドパーティデータ:パートナーから入手したデータ

セカンドパーティデータとは、自社が保有しているデータではなく、特定のパートナー企業が保有するWebサイトで発行したCookieから得ることができる外部データのことを指します。おもに以下のものがあります。

  • パートナー企業からの提供
  • 他社サイトの閲覧履履歴
  • SNSデータ
  • 第三者調査機関によるアンケート結果や顧客調査

ある会社で収集したファーストパーティデータが、自社にとってのセカンドパーティデータとなります。

ただし、顧客が意図的に提供したゼロパーティデータと異なり、セカンドパーティデータは企業が外部から取得した情報であるため、顧客の直接的な意思を反映しているわけではありません。

3. サードパーティデータ:第三者から入手したデータ

サードパーティデータとは、リサーチ会社などが収集して提供しているものなど、第三者(サードパーティ)から入手したデータのことです。広告主や企業が購入して活用します。おもな例として以下のものが挙げられます。

  • 市場調査会社によるアンケートデータ
  • 専門機関から購入したデータ
  • 公共機関が提供するオープンデータ(経済指標、統計情報など)

自社や一般的な企業で集めるには困難なマクロなデータに多いことも特徴です。そのため個別性に乏しく、顧客との直接的な関係性を築くには適していません。

関連記事:「稼ぐ観光」をいかに実現するか?日本の観光DX、3つの先進事例と今後【観光庁 観光DX成果報告会を取材】

ゼロパーティデータを収集するメリットとは


ここでは、ゼロパーティデータを収集するメリットを紹介します。

1. Cookie規制に対応

まずは、Cookie規制に対応しながら顧客のデータを収集できる点です。

近年の代表的なブラウザではサードパーティCookieとよばれる、第三者によって発行されたCookieの利用が規制され始めています。

サードパーティCookieとは、ユーザーが訪問しているドメインとは異なるドメインから発行されるCookieのことです。

サードパーティCookieが利用できる状態では、訪問しているWebサイトのなかにその母体が発行していない広告が表示されていた場合に、その広告の発行元もCookieを取得でき、ユーザーの趣向に合わせた広告の配信に利用できます。

以前からサードパーティCookieは多くのWebサイトで利用されていましたが、プライバシー保護の観点から、現在は多くのプラウザでユーザーの同意がない限り収集ができなくなっています。そのため、以前よりサードパーティCookieは利用しづらくなっています。

ゼロパーティデータを収集するためには、次章で紹介する代替の収集方法が役立ちます。

2. 顧客の意図や行動背景を推測する必要がない

続いてのメリットは、顧客の意図や行動背景を推測する必要がない点です。

サードパーティデータなどは数字に現れる顧客意図を読み取る必要がありますが、ゼロパーティデータには顧客の意識が直接的に反映されるため、その必要がありません。

3. 信頼性が高い

最後に、信頼性の高いデータである点です。誰によって提供されたデータであるかが明確であり、信頼関係のもと提供されたデータであることから顧客の本音が反映されやすく、信頼性も高まります。

ゼロパーティデータの収集方法

ゼロパーティデータを収集する方法を解説します。

1. アンケート

まず、アンケートをとる方法があります。アンケートによって得られたデータはユーザーが積極的に回答することからゼロパーティデータの一種に数えられます。

アンケートをとるには、ユーザーがアプリをダウンロードして利用を開始したり、Webサイトに訪問したりした時に回答してもらう方法があります。

「どんな商品を探しているのか?」「どんな動機なのか?」などを選択してもらうことで、ユーザーの思考を探ることができます。

2. SNS

SNSの投稿もゼロパーティデータの一種です。インセンティブを与えることなどにより、積極的な投稿を促進できます。

3. 口コミ

口コミも、ゼロパーティデータのひとつといえるでしょう。口コミでは、顧客が製品や利用した感想などをGoogle口コミサイト上に投稿し、それを通じて企業側が顧客の嗜好を知ることに役立ちます。

しかし一般的に自発的に口コミを投稿することは少なく、信頼関係の構築や企業側からの依頼が重要となります。

4. 診断やクイズ

診断やクイズ形式の施策は、ゼロパーティデータを収集する効果的な方法のひとつです。

たとえば、「季節に合ったスキンケア診断」や「あなたにぴったりの旅行先診断」などのテーマを設定し、回答内容に基づいて個々の顧客に最適な商品やサービスを提案することが可能です。

診断やクイズなどエンターテインメント性のある手法は、顧客が楽しみながら自然に参加できる点が特徴です。

さらに、診断結果を活用してパーソナライズされた提案を行うことで、顧客が期待する体験を提供し、満足度やエンゲージメントの向上につなげることができます。

ゼロパーティデータを収集する際の注意点

ゼロパーティデータには大きな可能性がありますが、ただ収集しようとするだけでは、ゼロパーティデータとしてユーザーが進んで提供するものには至りません。

そこで、ゼロパーティデータを収集する際に気をつけたいことを解説します。

1. 使用目的を示す

収集する際には、使用目的を示すことです。ユーザーはプライバシーの観点から、自分の情報が何に使われるのかが気になります。進んで提供してもらうには、収集する際に、使用目的を明示することが必要でしょう。

使用目的を示さなければ不信感につながる一方、しっかりと明示することで透明性の向上になり、企業の信頼性も高まります。同意文などを導入するとよいでしょう。

2. 顧客へのメリットを明示する

ゼロパーティデータは、ユーザーから積極的に提供されたデータです。しかし、必ずしも無償で自分の情報を提供するわけではありません。

何らかの対価やユーザーにとってのベネフィットがあれば、より収集率が高まるはずです。

たとえば、「アンケートに回答していただいた場合は合う商品を提供します」など、必ず顧客にとってのメリットを提示します。

3. 顧客を圧迫しない

ゼロパーティデータを収集する際に、データを提供して欲しいからといって顧客を圧迫しないことも気をつけなければなりません。

必要な質問のみをして、無理強いはさせず、なるべく負担にならないようにし、顧客との信頼関係を崩さないように気をつける必要があります。

ロイヤリティの高さが収集を可能にするゼロパーティデータ

ゼロパーティデータを適切に収集するには、まず顧客との信頼関係が前提にあります。顧客に対して常に真摯に向き合いましょう。

データを収集したら、これを分析してサービスに反映します。顧客は自分が提供したデータを活用してもらえたと感じ、より企業に対して信頼感を抱くことにもつながるでしょう。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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