ゾーニングとは?売上アップにつながる店舗レイアウト・基本と業界別のポイント

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ゾーニングはさまざまな分野で使われる言葉で、分野ごとにその意味や使われ方が異なります。基本的には、「区分けすること」や「年齢などによる物品やサービスの利用制限」を指し、共通して「分ける」という考え方が含まれています。

おもに利用される分野としては、医療、建築、ビジネス(マーケティングやIT)、ネット用語などが挙げられます。

例えば、売上が伸び悩んでいる企業では、ゾーニングを見直すことで課題を解決できる場合があります。また、訪日外国人観光客の増加に伴い、ゾーニングによって観光地や施設の売上アップも期待できます。

戦略的なゾーニングは、売上や顧客満足度の向上に直結します。この記事では、ゾーニングの基本的な知識や、業界ごとの具体的な活用方法について解説します。

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ゾーニングとは

ゾーニングとは、空間や土地、施設、サービスなどを特定の目的や用途に応じて分けたり区画することを指します。

マーケティングにおいては商品陳列や顧客ターゲットを分類する、という意味があります。とくに小売業では、商品を分類し、どの分類の商品を売り場のどの場所に配置するのか決めるために使用されます。

配置を工夫することにより、売上を向上させる試みを意味する言葉でもあります。

顧客は、求めている商品の陳列場所が分かりにくいと商品の購入には至りません。顧客の目線や動線を考慮して商品を配置するゾーニングは重要な考え方です。

また、購買行動には「計画購買」と「非計画購買」があり、ゾーニングでは、計画購買をスムーズに達成させつつ、非計画購買を促す工夫が重要です。

たとえば、顧客が非計画購買を検討するようになれば、目的の品だけを購入する場合よりも店舗での滞在時間が長くなります。滞在時間が増えれば、顧客がより多くの商品を目にする機会が増え、その結果、売上の向上が期待できるのです。

ゾーニングの意味と一例

もともとは都市計画の用語として使われ、土地利用を目的別に区分けする手法を意味していましたが、現在ではさまざまな分野で広く使われています。ここでは、ゾーニングの一例を紹介します。

1. 空間や土地の区分け

建築や都市計画では、住居エリア、商業エリア、工業エリアなどに区分けすることを指します。

2. サービスや商品の利用制限

たとえば年齢制限を設けることで、特定のサービスや商品の購入、利用を制限することを意味します。

3. 役割や目的による分け方

医療やオフィス内で、用途に応じてエリアを分ける(例:診療室と待合室、作業スペースと休憩スペース)ときに用いられます。

マーケティングにおけるゾーニングの方法2つ

ゾーニングにはおもに2つの方法があります。ひとつは店内全体のレイアウト、もうひとつは陳列棚での商品配置(どこに商品を置くか)を指す商品陳列です。

どちらか一方だけでは十分な効果が期待できないため、両方を組み合わせて計画することが重要です。

また、最適なゾーニングは業種に関係なく、立地条件や利用する顧客の特徴によって異なります。そのため、店舗に合った柔軟なゾーニングの設計が求められます。

1. 店内のおおまかなレイアウトを考える

まずは、入店率を高めるための全体的なレイアウトを設計します。とくに重要なポイントは、入口周辺・店の奥・店の中央の3か所です。

・入口周辺

顧客が最も目にしやすい入口周辺には、季節商品やセール品を配置します。衝動買いを促す効果があります。

・店の奥

目的を持って購入されることが多い商品や、高価格帯の商品は店の奥に設置します。顧客を自然に店の奥まで誘導できます。

・店の中央

入口や店外から見えにくい店の中央エリアには、強い購入意欲が必要な商品(例:文具、調味料、生活雑貨、ペット用品)を配置します。これらの商品を求める顧客は、結果的に店内全体を歩き回ることになり、滞在時間の増加につながります。

適切にレイアウトを設計することで、顧客の動線を自然に店内の奥まで誘導し、店舗内での滞在時間を延ばす効果が期待できます。

2. 商品陳列を考える

商品陳列の基本は、見つけやすく、選びやすい配置を心がけることです。これを基に陳列棚を配置し、売上を効率的にコントロールします。陳列方法には、大きく分けて以下の2種類があります。

・バーチカル陳列(縦方向の陳列)

商品をカテゴリごとに縦に並べる方法です。目線の高さに関係なく、顧客にそのカテゴリの商品があることを認識してもらいやすくなります。

・ホリゾンタル陳列(横方向の陳列)

同じカテゴリの商品を横一列に並べる方法です。商品が見わたしやすく、横に移動しながら商品を探しやすくなるため、店内を回遊する動きが生まれやすくなります。

ゾーニングで売上を増加させるための「3つ」のキーワード

ゾーニングを考える際には、「ゴールデンゾーン」「AIDMAの法則」「行動分析」の3つを押さえましょう。

この3つのポイントを取り入れることによって、より効果的にゾーニングのメリットをが期待できます。

1. ゴールデンゾーン:最も目に入りやすい領域

ゴールデンゾーンとは顧客の目に最もとまりやすく、手に触れやすい高さにある領域のことです。明確な定義はなく、一般的に床上60cm~160cmの範囲といわれています。

身長によって目線の高さが異なるため、女性に比べて平均身長の高い男性のゴールデンゾーンは高くなる傾向があります。

ゴールデンゾーンに置かれる商品の売れ行きは基本的に良好であるため、ゴールデンゾーンを利用することで売りたい商品を効果的に訴求することが可能です。

2. AIDMAの法則:消費者の購買までの心理プロセス

商品を購入してもらうためには、消費者の心理的プロセスを理解する必要があります。AIDMAは消費者の心理的プロセスについて5つの段階に区分しとらえるモデルで、各段階の頭文字を取ってこのように名付けられています。

プロセスを分解して見ていくと、消費者が商品を購入するまでのプロセスは注意→興味→関心→欲求→記憶→購買という流れになります。

このモデルに沿って消費者を理解するのならば、顧客に商品を購入してもらうための第一歩は、顧客に商品に興味、関心を持ってもらうことということになります。ゾーニングにおいても、注意を引くことを主眼においた計画を立てることで、購買への第一歩となります。

3. 行動分析:顧客の行動を集積しデータ化・分析

顧客の滞在時間を長くするために実際にレイアウトや陳列を設置した後に必要になるのが顧客の行動分析です。

最近ではAIやICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)の進化により購買行動を分析するサービスも存在し、ネットワークカメラなどによって消費者の行動を集積、データ化、数値化する方法もあります。

分析の内容はレイアウト分析、年代や性別ごとの分析、来店率の計測などがあり、分析結果をゾーニングの方針に反映します。

業界別のゾーニング方法

ゾーニングはあらゆる業界で効果が期待できる方法で、業界によってゾーニングの方法は異なります。自分の業界に合ったゾーニングをすることでより高い効果が期待できます。

飲食業界

飲食店では飲食の最中だけではなく、入店から退店までを対象として、顧客が快適にすごせるように工夫します。

座りやすいテーブルの位置、会計がスムーズにできるレジの位置、顧客とホールスタッフが店内でぶつからない空間づくりが重要です。

居酒屋などトイレを使用する顧客が多い形態ではトイレの位置もポイントになります。また顧客の属性に合わせたゾーニングも大切です。たとえばカップル用、家族用、友達用と、対象をターゲティングした席を設けておくことでリピーターの増加も期待できます。

小売業界:アパレルショップ

アパレルショップでは、店舗全体を見たときにどのような印象を与えるのかを重視するべきです。顧客は商品単体ではなく、店舗の雰囲気も含めてブランドを認識するからです。

同時に、売り場では商品が目につき、なおかつ手に取りやすいように配置します。また出口が分かりやすいと顧客にすぐに店から出られる安心感を与え、気軽に立ち寄ってもらえます。

小売業界:コンビニエンスストア

コンビニエンスストアでは、一般的に店の入り口に雑誌などの書籍類を配置しています。雑誌を立ち読みしたり選んだりしている顧客が外から見えることで、これから店内に入ろうとしている顧客を入店しやすくする効果が期待できます。

また、店の一番奥に飲み物を設置しているのは、飲み物を目的とした顧客が多いからです。目的とする商品を一番奥に設置することで、その商品にたどり着くまでに他の商品を見てもらえます。

宿泊施設

北海道ニセコ地域では、外国人観光客向けの高級リゾートエリアと、ローカル向けの宿泊エリアを分けるゾーニングを実施しています。

高級リゾートでは外国人向けサービスに特化し、ローカルエリアでは地域住民や国内観光客も利用しやすい価格帯を維持することで、異なるニーズに対応しています。

観光地の用途別エリア分け

京都の観光地では、静かな歴史地区(寺院や神社)と商業地区(土産物店や飲食店)を分けるゾーニングが行われています。

観光客がエリアの性質を理解しやすくなり、訪問目的に応じてスムーズに移動できるようになります。また、歴史的景観を保護しつつ、商業エリアでは経済活動を促進できます。

ゾーニングを活用して売上向上へ

商品のカテゴリごとの配置や、陳列の工夫は、店舗の売上を左右します。こうした仮説や定説に基づく配置はゾーニングといい、様々な業界で取り入れられてきました。

業態によって効果的なゾーニングは異なるため、どんな商品をどうやって売るのか、また顧客のニーズは何かを正確につかむことが必要です。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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