多くの企業は常に何か課題を抱え、売り上げを伸ばすための解決策を求めています。このような状況で役に立つのが「パレート分析」です。
パレート分析とは、問題を解決する優先順位をつけるときに活用される分析方法で、売り上げを伸ばすためにはどのような選択をすればいいのかヒントを得られます。
本記事では、パレート分析を解説するとともに、適切なパレート図を作るための準備、エクセルで作成する方法を紹介します。
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パレート分析とは
![▲[Excelを使ったパレート分析のグラフ]:口コミラボ編集部 ▲[Excelを使ったパレート分析のグラフ]:口コミラボ編集部](https://static.honichi.com/uploads/editor_upload_image/image/19334/main_01fce67887c194ca641afd2745582ed8.png?auto=format)
パレート分析とは、影響の大きい順に要素を並べた棒グラフと、それに累積比率を示す折れ線グラフを重ね合わせることで、どの要素が全体にどれだけ貢献しているかを明確にする手法です。
具体的には、「パレート図」を作成し、事象や現象の中で頻度や影響が大きい項目を左から順に並べて優先順位を分析します。この方法を使うことで、重要な要因を効率的に特定できます。
たとえば売上額が多い商品や、購入金額が高い顧客を分類し、重点的に対応する際に活用されます。
パレート図は、「左側に大きな値を持つ棒グラフ」と、「その累積比率を示す折れ線グラフ」で構成されています。この組み合わせにより、上位の要素が全体に与える影響を視覚的に理解しやすくなります。
パレートの法則とは
パレート分析をする上で重要になる概念が、イギリスの経済学者ヴィルフレド・パレートによって提唱された「パレートの法則」です。
パレートの法則は「2:8の法則」とも呼ばれ、「全体の2割の要素が、全体の8割の数値を生み出している」という法則になります。たとえば以下のような使われ方をします。
- 売上の8割は、全商品の中の上位2割で占めている
- 故障の8割は、全部品の2割に問題がある
- 仕事の成果の8割は、作業にかけた時間の2割で生み出されている
パレートの法則は品質管理、在庫管理、売上管理、マーケティングなどにも適用できると言われています。また、経済以外の自然現象や社会現象までに、このパレートの法則があてはまると言われています。
パレート分析を導入するメリット
時間や経営資源が限られるなかで、経営者やマーケティング担当者がパレート分析を導入することで得られるメリットを説明していきます。
1. 何から手を付けるべきか…「優先順位」がわかる
スピードが求められるビジネスの世界では、重要な物事から処理をする、あるいは改善効果が大きい物から手をつけることが重要といわれています。
パレート分析はスピードが重要視されるビジネスの世界で、こうした優先順位付けに非常に効果的な役割を果たしています。
一般的にですが、たとえば発生頻度が少ない項目(=課題)をゼロにするよりも、発生頻度の多い項目(=課題)を低減させるほうが効果は大きく、努力も少なく済むといわれています。パレート分析は、まさにこれを実現するツールです。
パレート分析をすることで、問題となっている重要項目がひと目で把握することが可能になり、問題解決の的が絞りやすく、効率的な改善活動ができるようになるといわれています。
2. 問題をグラフで「可視化」できる
パレート分析をすることで問題を可視化でき、提案材料として説得力を増すことが可能になります。
数字だけをExcelにまとめても、どの項目がどれほど大きい影響を与えているのか、瞬時に判断することは困難です。しかしグラフで可視化することで、ひと目で重大な項目を特定するとともに、影響力の大きさを伝えられます。
たとえば社内で課題解決の提案をする場合、言葉だけでなく「パレート図」を資料に差し込むことで、誰が見ても理解できる説得材料としての役割を果たしてくれます。
Excelでパレート図を作成する方法
パレート分析は知っているものの、使ったことがない方や活用方法が分からない方も多いのではないでしょうか。ここからは、エクセルを使用した、実践的なパレート分析のやり方について解説します。
1. データを整理する
パレート分析をする際に、まず取り掛かる作業が「データを整理する」作業です。具体的な手順は下記の2つです。
- 集めるデータを決定
- データの収集・集計
たとえばある店舗で売れ筋のメニューを把握し、全面的に押していきたいという思いがある一方、一番売れているメニューが特定できていない状況であったと仮定します。
この状況ではじめに取り掛かるのが、一定期間内で注文されたメニューと件数を取集し、集計をすることです。
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次に、注文されたメニューを多い順に上から並べていきます。その際に、項目数が多いと手作業では時間がかかってしまので、ソート(並び替え)をすると簡単にこの作業ができます。
具体的なExcel上の手順は、まずタブメニューの「ホーム」を選択し、「並べ替えとフィルター」のタブから、「降順」を選択します。
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2. セル上で累積件数と累積比率を計算
続いては、分類した項目ごとに数字を累計します。
ここでは、「累積件数」と「累積比率」の2つを算出します。累積とは、同じデータを順に加えていくことです。件数が大きい順に並べたデータ数の、1番上の項目に、その次に大きい項目の数字を足していきます。この作業を最後の項目まで繰り返します。
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累積比率とは、構成要素の比率(数量を全体と比べた時の割合%)を順次、加算した比率のことです。
「累積比率」の算出方法は下記です。
【累積件数(同行)の数値 ÷ 累積件数(最下段の合計値)の数値】
ただし、作成したグラフが原点を通るようにするため、累積構成比の最初に「0」を追加しておくことをおすすめします。
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そのため、上の例だとE3セルに「0」を入力し、E4セルに以下の数式を入れます。
=C4/C$9+E3
この数式でE4セルの計算をして、その数式をE5以下のセルにコピーします。
3. グラフ化する
次にエクセルにまとめた数値をグラフにしていく作業をしていきます。まず「項目」と「件数」「累積比率」をすべて選択します。
![▲[Excelを使ったパレート分析のグラフ]:口コミラボ編集部 ▲[Excelを使ったパレート分析のグラフ]:口コミラボ編集部](https://static.honichi.com/uploads/editor_upload_image/image/19328/main_451582dda2e39b1bec3975c4e7fce439.png?auto=format)
そして、「挿入」タグのグラフタブの中から、「集合縦棒」を選択します。すると縦棒のグラフが作成されます。
![▲[Excelを使ったパレート分析のグラフ]:口コミラボ編集部 ▲[Excelを使ったパレート分析のグラフ]:口コミラボ編集部](https://static.honichi.com/uploads/editor_upload_image/image/19317/main_c3e0a4485441a65f07fcbac100d111e6.png?auto=format)
次に、「件数の累積比率」を、「縦棒」から「折れ線グラフ」へと変更します。
手順は、先ほどの過程で作成されたグラフの「累積比率」を選択し、右クリックで「系列グラフの種類の変更」を選択します。
「現在の選択範囲」というタブが表示されるので、「集合縦棒」から「マーカー付き折れ線」に変更します。
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4. 折れ線グラフのメモリを第2軸に合わせる
最後の作業は、折れ線グラフのメモリを第2軸に合わせる作業です。初期設定では、折れ線グラフの使用軸が主軸(下/左側)となっています。
グラフを作成した目的は、「パレートの法則」を発見することです。80%がどこなのか知りたいので、これを第2軸(上/右側)に変更します。
最後に、表示された折れ線グラフを右クリックして、「データ系列の書式設定」から「系列のオプション」を選択し、使用する軸の中を「主軸」から「第2軸」に変更します。
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件数の累積比率が折れ線に変更されていれば、作業完了となります。
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パレート分析で解決すべき優先順位が高い課題を見つけ、対策する
パレート分析で大事なのはパレート図の作成ではなく、分析によって具体的なアクションを決定することです。パレート分析には注力すべきことが明確になる効果があり、課題解決のためのプロジェクトを立案・提案しやすくなります。
課題がはっきりしていなかった問題がある、何から手をつけて良いか分からないと悩んでいる方は、パレート分析で解決のヒントを得られるかもしれません。
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