POP（以下、ポップ）とは、店頭や店内で商品名や価格、商品のセールスポイントや説明文などを伝えるものです。
ポップは販促ツールの1つですが、もたらす効果やメリットは販売促進や顧客の購買意欲の刺激にとどまらず、店舗の雰囲気や信頼度をも左右しうる重要な役割を担っています。
ポップの色使いやレイアウト、配置場所によっては、顧客に与えるインパクト、プロモーションの効果に大きく差が出ます。
インバウンド需要が高まる中、特に多言語対応やビジュアルを意識したポップを導入することで、外国人観光客にとって利用しやすい環境を提供でき、購買促進や顧客満足度の向上が期待できます。
本記事では、ポップの種類と役割、ポップの三大原則、作成時の3つの注意点について解説します。
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ポップの種類や効果について簡単に解説
ポップといえば商品の隣に設置するものを思い浮かべることが多いかもしれません。しかし、そのほかにも店頭や催事場に設置するものもポップと呼ばれ、配置場所や役割によってさまざまな種類に分類できます。
また、ポップには販売促進以外のメリットもあり、ポップがもたらす効果やメリットを理解することはより良いポップ作成に役立ちます。
ポップとは
ポップとはPoint of Purchaseの略で直訳すると「購買時点」となります。
購買時点とは顧客が購入する瞬間のことを指しており、店頭や商品の陳列棚など、まさに顧客が商品を購入する場における販促ツールであることからポップと呼ばれます。
具体的には印刷や手書きで作成された商品やサービスを紹介するための紙製の案内札をポップと呼ぶことが多いです。
ポップの種類と役割
ポップはそれぞれの役割によって適した場所に配置する必要があります。ポップのおもな配置場所と役割は次のとおりです。
- 店頭ポップ：店先や店の外に配置することで店の前を通りかかる訪日客に対してアプローチできます。
- 店内案内ポップ：フロアごとの売場案内、トイレ、飲食店などのテナントの所在を示すことでどのフロアに何があるかについて案内します
- コーナーポップコーナーごとの販売商品を示すことで大まかな商品配置を案内します
- 催事ポップ：店内で開催中、または開催予定の催事やイベントについて示すことでインバウンド客へアピールします
- 商品ポップ：商品名、価格などの基本的な情報に加え、商品の特徴やメリットなど、プラスアルファになる情報を示すことでインバウンド客の目をとめ購買意欲を刺激します
インバウンド客に向けたポップの効果・メリット
ポップは、店頭で商品を目立たせたり、インバウンド客の購買意欲を刺激したりする重要な販売促進ツールです。適切に活用することで、売り場の魅力を向上させ、業務の効率化にもつながりします。
ここでは、ポップがもたらす具体的な効果やメリットについて解説します。
1. インバウンド客に安心感を与えられる
ポップを設置するメリットとして、まず挙げられるのがインバウンド客に安心感を与えられる点です。
日本語が理解できないインバウンド客にとって、言葉が通じない場所では不安を感じることがあります。英語表記のポップを設置するなど、ちょっとした工夫を加えるだけでリラックスしてショッピングやサービスを楽しんでもらえます。
2. 商品説明を助ける
ポップには商品の特徴や使い方を説明する役割もあります。とくにインバウンド客は日本語が読めないことが多く、機械損失につながっているケースも少なくないでしょう。
食品や家電製品など、詳細な説明が必要な商品ではポップに簡潔な情報を記載することで、日本語がわからないインバウンド客の理解を助けることができます。
3. 購買意欲を高められる
ポップは商品の魅力を強調し、インバウンド客の購買意欲を刺激します。
例えば、「東京限定」「本日限り」などの文言を使用することで、購買を後押しする効果が期待できます。さらに、インバウンド客の心理に訴えかけるデザインやストーリー性を持たせることで、感情的な購買行動を引き出すことができます。
4. 店舗の雰囲気づくりをサポートする
さらに、ポップは店舗の雰囲気づくりをサポートする効果もあります。商品を陳列するだけでは他店舗と似通った印象になりがちですが、ポップの色使いや文字の色使い、とくに手書きポップを設置することで他店舗との差別化ができます。
たとえば和を感じさせるデザインや、ブランドのイメージに合わせたポップを設置することで、店舗のコンセプトを強調できます。また、ポップなフォントやイラストを使えば、親しみやすい雰囲気を演出することも可能です。
5. 業務の効率化につながる
ポップを活用することで、店員の接客負担を軽減し、業務の効率化につながります。たとえば店頭で商品について尋ねられる回数が多いものの、外国語での対応が難しい場合、ポップに必要な情報を記載しておけば、インバウンド客が自ら情報を得ることができ、店員が他の業務に専念しやすくなります。
また、商品陳列のガイドラインとしてポップを活用することで、店舗全体のレイアウトを統一しやすくなります。
インバウンド客に商品を買ってもらうためのポップの工夫3つ
ポップはインバウンド客の購買意欲を刺激するためのツールとなりますが、実際に購入につながりやすいポップとつながりにくいポップがあります。
購入につながりやすいポップを作成する3つのポイントを解説します。
1. 色使いは多すぎず、目立つ配色を選ぶ
ポップの色や文字の色を選ぶ際には目立つ色使いによって顧客の目にとまりやすいポップ作りをするといいでしょう。特に目立たせたい部分については文字の色を反転させる方法が効果的です。
ただ、全体として色使いが多すぎると読みにくくなってしまいます。1つのポップにつき2～3色までにとどめましょう。
2. 理解しやすい内容を心がける
理解しやすい文章作りはもちろん、内容を簡潔にまとめることも読みやすさにつながります。どうしても情報量が多くなってしまう際には吹き出しなどの工夫をするといいでしょう。
また、擬音語によるイメージ伝達や数字による具体的な数値があると商品の良さについて理解してもらいやすくなります。
3. 読みやすい字、写真・イラストを使う
ポップは読みやすい字で書くことが重要です。
印刷の方が手書きよりもばらつきがなく全体のバランスはいいですが、手書きポップの方が印象がよいという結果も出ています。他店との差別化を図るという面でも手書きポップの方が優れているため、手書きで丁寧に書くのが最もいい方法かもしれません。
また、写真やイラスト、ピクトグラムなどで視覚的に訴えるのもインバウンド客には効果的です。アレルギーに関する情報やベジタリアン対応などの情報も忘れずに記載しましょう。
インバウンド客に向けてポップを書く際の6つの注意点
色使いや内容、字のポイントをおさえることでポップのクオリティは高くなりますが、ポップ作成にはその他に具体的なテクニックも存在します。
ポップそのものの読みやすさに加え、マーケティングの観点からポップ作成を考えることでさらにレベルの高い販促ツールへと昇華させることが可能です。
ポップ作成の際に気を付けるべき6つの注意点について解説します。
1. 書く順番に注意
インバウンド客に限った話ではありませんが、ポップの内容だけでなく、書く順番にもポイントがあります。
商品名を先に書きがちですが、商品名と価格はポップなしでも分かります。まずは簡潔に商品を表すキーワードやキャッチフレーズを、続いて具体的な内容、最後に商品名と価格の順番で書くとポップの効果を最大限発揮できます。
ポップに載せる情報は、パッケージに書いていないことや使ってはじめてわかる情報を選ぶようにするといいでしょう。
2. 本当におすすめの商品だけにつける
ポップはいわば店舗を代表するおすすめ商品です。ポップの数が多すぎると、おすすめしたい商品が埋もれて逆効果になってしまいます。
また、ポップのついている商品を購入したインバウンド客がその商品について満足できなければ店舗に対する信頼度が下がってしまうため、どの商品にポップをつけるかについても吟味する必要があるでしょう。
3. ターゲットをはっきりさせる
ポップ以外の販促ツールにも共通する事項ではありますがターゲット層を意識することも効果的なポップづくりをする上で重要です。具体的には顧客の居住地や性別、年代、抱えている悩みなど、ターゲット層とする顧客をイメージすることです。
どのような客層に商品を購入してもらうためにポップを作成するのかを明確にすることで、ターゲット層の顧客に対してより刺さるキャッチコピーや内容を掲げることが可能になります。
4. 「強調したい情報」を整理する
ついついポップを作成する際は、「目立たせること」に目がいって、情報過多になりがち。また、「何を伝えたいか」がはっきりしていないと、どこに目をやって良いかわからず、本来伝えたかったことが伝わらないこともあります。
このポップを通して、どんな感情を抱いて欲しいか考えながら、「役立つ情報」「使ってみたい」と思わせる文言を入れましょう。
5. まずは英語からスタート
日本にはさまざまな国・地域から旅行者が訪れますが、まずはどの言語に対応するのが正解なのでしょうか。
農林水産省による調査では、飲食店に対する外国語のメニュー表の対応言語についての質問に対し、9割が英語で対応しているという回答結果に。次いで、中国語（繁体字・簡体字）や韓国語の対応が多くなっていました。
ひとつの言語に絞るなら英語。予算や時間的余裕があれば、中国語（簡体字・繁体字）や韓国語など複数の言語で対応できると良いでしょう。
6. お客様に購入してもらうために行動を促す
「商品の認知」→「興味・関心の訴求」→「購買の比較・検討」といった形で段階的なアクションがあります。
ポップで目を引かせることが「商品の認知」につながり、「これ必要かも」と自分事化されることが「商品への興味・関心」につながります。そして「購買の検討」というアクションをつなげるために、「これが良い」と思わせるポップにする必要があります。
「購買の検討」では価格や、類似商品との比較、効果などを検討します。ポップでは、「売れてます」や「大人気につき再入荷しました！」など、希少性を出す言葉を入れると効果的です。
また、最近では商品の詳細情報を詳しく見るためにQRコードをポップに記載しているものもあります。このような工夫を行うことで、より詳しく商品を知ってもらい、購入へのアクションに繋げます。
インバウンド客目線に立ったポップを目指そう
販売促進にはさまざまなツールがありますが、ポップは顧客が商品を手に取る場に設置できる有力な販促ツールです。
購買意欲の刺激だけではなく、最もニーズに合っている商品を選択するための情報を提供することも求められています。デザイン性だけではなく顧客目線から必要な情報を考えることができればその商品の良さを最大限伝えられるでしょう。
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＜参照＞
日本政策金融公庫：外国人客おもてなしガイドブック 小売業・サービス業編
農林水産省：平成 30 年度国産農産物消費拡大委託事業
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