経産省がエンタメ・クリエイティブ産業の戦略とりまとめ スポーツ観戦する訪日客の倍増目指す

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経済産業省は3月11日、「エンタメ・クリエイティブ産業戦略」の中間とりまとめ案を公表しました。本戦略ではエンタメ・クリエイティブ産業を日本の基幹産業として捉え、産業全体を成長させて海外市場の競争力強化を目指しています。

本記事では、中間とりまとめ案の概要を紹介するとともに、インバウンド地方創生に関わるポイントを中心に解説します。

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コンテンツ産業の海外売上は5.8兆円 半導体や鉄鋼に並ぶ

アニメ漫画ゲームといった日本発のコンテンツは、世界中で高く評価されています。

経済産業省によると、2023年のコンテンツ産業*の海外売上額は約5.8兆円に達しています。これは、同年の半導体産業(約5.5兆円)や鉄鋼産業(約4.8兆円)の輸出額に匹敵し、コンテンツが日本を代表する産業のひとつであることを示しています。近年の海外売上額の推移を見ても、コンテンツ産業は年々増加の一途をたどっています。

加えて世界のコンテンツ市場も、2018年から2027年にかけてのCAGR(年平均成長率)は5%と予測されています。日本が持つコンテンツの競争力をさらに高め、グローバル市場での存在感を強化していくことが、今後の成長に向けた鍵となっています。

*映像、アニメゲーム、出版、音楽の5分野

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▲日本の産業の海外売上額推移(2010年-2023年):中間とりまとめ案より
▲日本の産業の海外売上額推移(2010年-2023年):中間とりまとめ案より

また中間とりまとめ案では、アートやファッション、食などの輸出額についても、この10年で大きく伸長していることが示されました。2010年から2022年にかけ、食に関する海外売上は約2.5倍増加しました。

和牛や生わさびといった、日本独自の品種の食べ物が評価されているようです。

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▲アートやファッション等の海外売上・海外収入額:中間とりまとめ案より
▲アートやファッション等の海外売上・海外収入額:中間とりまとめ案より

エンタメ産業の活性化で、地域経済に高い効果

エンタメ・クリエイティブ産業の活性化は、地域経済にも高い効果が期待されています。

まずは、「制作拠点による効果」です。たとえばセガ社は、国内2番目の開発拠点として札幌スタジオを設立しました。こうした事例のように、制作機能が地方に分散されることで、地域の雇用創出などの効果が期待されます。

次に、「作品の聖地化による効果」です。映画「君の名は。」では、劇中で登場した四谷などに多くの観光客が集まりました。作品を通じて、その土地に関心を持ったファンが国内外から訪れ、地域への来訪者増加と観光消費につながっています。

さらに、「フェスやイベントの開催による効果」も挙げられます。たとえば「RISING SUN ROCK FESTIVAL」(北海道)は、2018年に全国で102億円、地域だけでも57億円の経済効果が生まれました。

コンテンツの活用は大規模な初期投資を必要としない場合が多く、ヒット作品が生まれれば、地域の観光振興や経済活性化につながる可能性が高くなっています。地域にこうした効果を波及させるためには、日本で制作された作品の海外展開が進み、市場が拡大することが重要であるとしています。

▲日本のコンテンツ産業が地域にもたらす影響:中間とりまとめ案より
▲日本のコンテンツ産業が地域にもたらす影響:中間とりまとめ案より

「8つの不足」を解決する、10分野100のアクションを提示

中間とりまとめ案では、現状のエンタメ・クリエイティブ産業が抱える「8つの不足」が挙げられ、これらを克服するために、10の分野にまたがる「100のアクション」が策定されました。

ここでは、インバウンド地方創生に関わる分野について、ピックアップして紹介します。

▲エンタメ・クリエイティブ産業の 「8つの不足」:中間とりまとめ案より
▲エンタメ・クリエイティブ産業の 「8つの不足」:中間とりまとめ案より

【アニメ・漫画】作品を用いた地方創生のあり方を検討

アニメの舞台となった「聖地」には国内外から多くの観光客が集まり、大きな経済効果を生み出しています。また、アニメの原作となる漫画を描いた作家の出身地など、作品にゆかりのある地域においても、作品の銅像を街中に建てるといった事例が多数生まれています。

中間とりまとめ案では、今後について、聖地巡礼などアニメを用いた地方創生のあり方を検討し、モデルを全国に普及するとともに、原作も含めて盛り上がれるような取り組みを進めていくとしています。

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【映画・映像】「ロケ地の聖地化」の実現を後押し

映画の舞台となったロケ地の「聖地化」が実現すれば、国内外から集客が見込まれ、地域に大きな経済効果を生み出すと考えられます。また、ロケ地が聖地になることで継続的な集客が実現すれば、作品の長期的な人気にも影響し、好循環が生まれる可能性もあります。

しかし、こうした聖地化は偶然発生することが多く、製作側がプロモーションに協力的でない場合、地元企業が作品のライセンスを求めても承諾が受けられないという課題もあります。

このため中間とりまとめ案では、「ロケ地の聖地化」を狙って実現できるよう、フィルムコミッションなどの運営や連携のあり方に加え、地方におけるライセンスのあり方について検討しガイドライン化を進めるとともに、国としても顕彰できるように制度化を検討するとしています。

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【「みる」スポーツ】2030年までに、スポーツ観戦する訪日客の倍増目指す

地方でのスポーツ興行やイベントは観光需要を創出し、地方創生に直結します。しかし、余暇の選択肢の増加や、少子高齢化・人口減少が進むなか、「みる」スポーツを拡大させるには、国外のファンも獲得していく必要があります。

そこで中間とりまとめ案では、2030年までに訪日外国人旅行者(スポーツ観戦)の倍増(100万人超)を目指し、業界の海外展開の取り組みを支援するとしています。現地のニーズや嗜好に合わせたコンテンツのローカライズやプロモーションの支援を進めるほか、試合会場での海外観戦客の受け入れ体制も強化します。

また、漫画アニメといったエンタメ、食文化など、他の地域資源とも連携し、国内外の観光需要を創出していきます。

関連記事:【事例紹介】スポーツツーリズムとは?地域活性化への効果も紹介

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<参照>

経済産業省:エンタメ・クリエイティブ産業戦略中間とりまとめ案
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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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