経産省がエンタメ・クリエイティブ産業の戦略とりまとめ スポーツ観戦する訪日客の倍増目指す

完全無料 口コミアカデミー 「インバウンドの教科書」出ました! 国別・都道府県別データ・トレンドをカバー 見てみる

経済産業省は3月11日、「エンタメ・クリエイティブ産業戦略」の中間とりまとめ案を公表しました。本戦略ではエンタメ・クリエイティブ産業を日本の基幹産業として捉え、産業全体を成長させて海外市場の競争力強化を目指しています。

本記事では、中間とりまとめ案の概要を紹介するとともに、インバウンド地方創生に関わるポイントを中心に解説します。


【訪日ラボは、インバウンドカンファレンス「THE INBOUND DAY 2025」を8月5日に開催します】

カンファレンスについて詳しく見てみる

コンテンツ産業の海外売上は5.8兆円 半導体や鉄鋼に並ぶ

アニメ漫画ゲームといった日本発のコンテンツは、世界中で高く評価されています。

経済産業省によると、2023年のコンテンツ産業*の海外売上額は約5.8兆円に達しています。これは、同年の半導体産業(約5.5兆円)や鉄鋼産業(約4.8兆円)の輸出額に匹敵し、コンテンツが日本を代表する産業のひとつであることを示しています。近年の海外売上額の推移を見ても、コンテンツ産業は年々増加の一途をたどっています。

加えて世界のコンテンツ市場も、2018年から2027年にかけてのCAGR(年平均成長率)は5%と予測されています。日本が持つコンテンツの競争力をさらに高め、グローバル市場での存在感を強化していくことが、今後の成長に向けた鍵となっています。

*映像、アニメゲーム、出版、音楽の5分野

関連記事:【前編】クールジャパン戦略とは?これまでの取り組みや、コロナ禍による変化を読み解く

▲日本の産業の海外売上額推移(2010年-2023年):中間とりまとめ案より
▲日本の産業の海外売上額推移(2010年-2023年):中間とりまとめ案より

また中間とりまとめ案では、アートやファッション、食などの輸出額についても、この10年で大きく伸長していることが示されました。2010年から2022年にかけ、食に関する海外売上は約2.5倍増加しました。

和牛や生わさびといった、日本独自の品種の食べ物が評価されているようです。

関連記事:「伝統的酒造り」無形文化遺産に登録 インバウンド人気の高まりにも期待

▲アートやファッション等の海外売上・海外収入額:中間とりまとめ案より
▲アートやファッション等の海外売上・海外収入額:中間とりまとめ案より

エンタメ産業の活性化で、地域経済に高い効果

エンタメ・クリエイティブ産業の活性化は、地域経済にも高い効果が期待されています。

まずは、「制作拠点による効果」です。たとえばセガ社は、国内2番目の開発拠点として札幌スタジオを設立しました。こうした事例のように、制作機能が地方に分散されることで、地域の雇用創出などの効果が期待されます。

次に、「作品の聖地化による効果」です。映画「君の名は。」では、劇中で登場した四谷などに多くの観光客が集まりました。作品を通じて、その土地に関心を持ったファンが国内外から訪れ、地域への来訪者増加と観光消費につながっています。

さらに、「フェスやイベントの開催による効果」も挙げられます。たとえば「RISING SUN ROCK FESTIVAL」(北海道)は、2018年に全国で102億円、地域だけでも57億円の経済効果が生まれました。

コンテンツの活用は大規模な初期投資を必要としない場合が多く、ヒット作品が生まれれば、地域の観光振興や経済活性化につながる可能性が高くなっています。地域にこうした効果を波及させるためには、日本で制作された作品の海外展開が進み、市場が拡大することが重要であるとしています。

▲日本のコンテンツ産業が地域にもたらす影響:中間とりまとめ案より
▲日本のコンテンツ産業が地域にもたらす影響:中間とりまとめ案より

「8つの不足」を解決する、10分野100のアクションを提示

中間とりまとめ案では、現状のエンタメ・クリエイティブ産業が抱える「8つの不足」が挙げられ、これらを克服するために、10の分野にまたがる「100のアクション」が策定されました。

ここでは、インバウンド地方創生に関わる分野について、ピックアップして紹介します。

▲エンタメ・クリエイティブ産業の 「8つの不足」:中間とりまとめ案より
▲エンタメ・クリエイティブ産業の 「8つの不足」:中間とりまとめ案より

【アニメ・漫画】作品を用いた地方創生のあり方を検討

アニメの舞台となった「聖地」には国内外から多くの観光客が集まり、大きな経済効果を生み出しています。また、アニメの原作となる漫画を描いた作家の出身地など、作品にゆかりのある地域においても、作品の銅像を街中に建てるといった事例が多数生まれています。

中間とりまとめ案では、今後について、聖地巡礼などアニメを用いた地方創生のあり方を検討し、モデルを全国に普及するとともに、原作も含めて盛り上がれるような取り組みを進めていくとしています。

関連記事:聖地巡礼によるインバウンド集客の可能性は?ポイントや事例も紹介

【映画・映像】「ロケ地の聖地化」の実現を後押し

映画の舞台となったロケ地の「聖地化」が実現すれば、国内外から集客が見込まれ、地域に大きな経済効果を生み出すと考えられます。また、ロケ地が聖地になることで継続的な集客が実現すれば、作品の長期的な人気にも影響し、好循環が生まれる可能性もあります。

しかし、こうした聖地化は偶然発生することが多く、製作側がプロモーションに協力的でない場合、地元企業が作品のライセンスを求めても承諾が受けられないという課題もあります。

このため中間とりまとめ案では、「ロケ地の聖地化」を狙って実現できるよう、フィルムコミッションなどの運営や連携のあり方に加え、地方におけるライセンスのあり方について検討しガイドライン化を進めるとともに、国としても顕彰できるように制度化を検討するとしています。

関連記事:マレーシアの人気ドラマ、舞台は「佐賀」 ロケ誘致で地域を盛り上げるフィルムコミッションの挑戦

【「みる」スポーツ】2030年までに、スポーツ観戦する訪日客の倍増目指す

地方でのスポーツ興行やイベントは観光需要を創出し、地方創生に直結します。しかし、余暇の選択肢の増加や、少子高齢化・人口減少が進むなか、「みる」スポーツを拡大させるには、国外のファンも獲得していく必要があります。

そこで中間とりまとめ案では、2030年までに訪日外国人旅行者(スポーツ観戦)の倍増(100万人超)を目指し、業界の海外展開の取り組みを支援するとしています。現地のニーズや嗜好に合わせたコンテンツのローカライズやプロモーションの支援を進めるほか、試合会場での海外観戦客の受け入れ体制も強化します。

また、漫画アニメといったエンタメ、食文化など、他の地域資源とも連携し、国内外の観光需要を創出していきます。

関連記事:【事例紹介】スポーツツーリズムとは?地域活性化への効果も紹介

インバウンド対策にお困りですか?
「訪日ラボ」のインバウンドに精通したコンサルタントが、インバウンドの集客や受け入れ整備のご相談に対応します!

訪日ラボに相談してみる

<参照>

経済産業省:エンタメ・クリエイティブ産業戦略中間とりまとめ案
SAPPORO企業進出総合ナビ:株式会社 セガ札幌スタジオ 代表取締役社長 瀬川隆哉

【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」

インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。

本イベントでは「顧客への情報アピール」「顧客体験(ゲストエクスペリエンス)」「運営のデジタル化」など、施設運営に必要なをテーマを、市場の最前線を走るエキスパートたちが集結。お客様が施設を見つける「旅マエ」から、実際に滞在する「旅ナカ」まで、あらゆるフェーズにおける最新戦略と成功事例を徹底解説します。

<本セミナーのポイント>

  • 変わりゆく市場の状況と、今後注目のトレンドを把握できる
  • 旅マエの顧客行動を理解し、集客・予約率アップのヒントが得られる
  • 旅ナカの接客品質を高め、顧客満足度向上に繋がる実践的な対応を学べる
  • 各分野の専門家から、ビジネスを加速させる具体的な戦略や成功事例が聞ける

詳しくはこちらをご覧ください。

宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」【7/3開催】

【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」

2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。

「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。

初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。

参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。

<こんな方におすすめ>

  • インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
  • 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
  • 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
  • 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
  • インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生

「THE INBOUND DAY 2025」特設ページを見てみる

【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか


訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。

この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。

※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。

口コミアカデミーにご登録いただくと、レポートの全容を無料にてご覧いただけます。

詳しくはこちらをご覧ください。

「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか:インバウンド情報まとめ 【2025年6月後編】

今こそインバウンドを基礎から学び直す!ここでしか読めない「インバウンドの教科書」

スマホ最適化で、通勤途中や仕込みの合間など、いつでもどこでも完全無料で学べるオンラインスクール「口コミアカデミー」では、訪日ラボがまとめた「インバウンドの教科書」を公開しています。

「インバウンドの教科書」では、国別・都道府県別のデータや、インバウンドの基礎を学びなおせる充実のカリキュラムを用意しています!その他、インバウンド対策で欠かせない中国最大の口コミサイト「大衆点評」の徹底解説や、近年注目をあつめる「Google Map」を活用した集客方法など専門家の監修つきの信頼性の高い役立つコンテンツが盛りだくさん!

→ 【無料】「インバウンドの教科書」を見てみる

完全無料 口コミアカデミー 「インバウンドの教科書」出ました! 国別・都道府県別データ・トレンドをカバー 見てみる

関連インバウンド記事

 

役にたったら
いいね!してください

この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

訪日外国人観光客インバウンド需要情報を配信するインバウンド総合ニュースサイト「訪日ラボ」。インバウンド担当者・訪日マーケティング担当者向けに政府や観光庁が発表する統計のわかりやすいまとめやインバウンド事業に取り組む企業の事例、外国人旅行客がよく行く観光地などを配信しています!

プロモーションのご相談や店舗の集客力アップに