UGCは「User Generated Contents」の略で、日本語では「ユーザー生成コンテンツ」と呼ばれています。
UGCには、Facebook、Instagram、X(Twitter)などのSNSに投稿された内容が含まれます。さらに、口コミサイトのレビューや通販サイトの商品レビューなどもUGCに該当します。
2010年より前は、企業の広告は広告代理店などの専門家が制作し、発信するのが一般的でした。しかし、2010年代以降、UGCを広告戦略に取り入れる企業が増えてきました。
近年、訪日外国人観光客が増加する中、UGCの活用は外国人の興味を引き、企業の集客やブランド価値向上に大きく貢献しています。
本記事では、UGCが注目される理由やそのメリット、企業がどのようにUGCを活用しているのかについて解説します。
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UGCとは
UGC(User Generated Content)とは、ユーザーが自発的に作成・投稿したコンテンツのことです。日本語では「ユーザー生成コンテンツ」と呼ばれ、SNSの投稿、レビュー、ブログ記事、動画など、多様な形で存在します。
「IGC」「CGM」との違いは?
UGCは、一般のユーザーが自らの体験や感想をSNSやレビューサイトなどに投稿するコンテンツを指します。企業が関与せず、純粋にユーザーが発信するのが特徴です。
一方、CGM(Consumer Generated Media)は、ユーザーが投稿したコンテンツを集め、それを中心に運営されるメディアのことを指します。UGCが「コンテンツ」なら、CGMは「そのコンテンツを集約する仕組みや媒体」と考えられます。
CGM主な例として、食べログや価格.comなどの口コミサイト、AmazonのカスタマーレビューやGoogleマップの口コミなどのレビューサイトが挙げられます。
また、IGC(Influencer Generated Content)は、インフルエンサーやクリエイターが作成したコンテンツを指します。
フォロワーを多く持つインフルエンサーやクリエイターが制作するコンテンツは影響力が大きく、ターゲット層にリーチしやすいのが特徴です。IGCは、企業がインフルエンサーに依頼して作成することもあり、広告としての側面が強くなります。
UGCが必要な背景
UGCがなぜ必要とされる背景について、主な理由を2つ紹介します。
デジタルマーケティングの重要性の高まり
2010年代は、通信される情報量が飛躍的に増大した時代でしたが、スマートフォンの普及によって日常におけるインターネットコンテンツとの接触が増え、デジタルマーケティングの重要性が高まりました。
企業は上位表示のためにSEO施策や広告に投資するようになりますが、SEOは頻繁にアルゴリズムが変動して対応を迫られ、ネット広告で主流のリスティング広告では入札制で人気のキーワードほど広告費が高くなります。結果として、これらの手法では費用対効果に見合わないケースも出てきます。
またユーザーが目にする情報も爆発的に増加し、ただ検索し上位にあるだけでは関心を得ることが難しくなってきています。こうしたなか、各種SNSで一般ユーザーが発信するUGCの宣伝効果に注目が集まりました。
SNSで事前に情報収集するユーザーの増加
データ通信量の増大は、SNSが広く普及した点にも由来しています。
SNS上では実際に利用した体験や客観的評価が投稿されており、そうした内容を事前の情報収集によって取得する見込みユーザーが増加しました。
2020年にアライドアーキテクツが自社サービス利用ユーザーの4,069名へアンケート調査を実施しています。この結果によれば、SNS上での口コミなどの情報検索はInstagramとX(Twitter)のユーザーに多い傾向があることを示しています。
また、70%のユーザーが今後もSNSを情報収集のツールとして利用したいと考えており、60%のユーザーが商品やサービスの申し込みおよび購買目的での使用を検討しています。これらのユーザーへの訴求力として、リアリティのあるUGCが有効に働きます。
UGCの主な種類
UGCには、さまざまな形態があります。ここでは、代表的な例を紹介します。
1. SNS投稿(写真・動画・テキスト)
ユーザーが自分の体験をSNSに投稿することで生まれるUGCです。具体的には以下のような投稿が挙げられます。- 飲食店:「#カフェ巡り」でInstagramに投稿された、おしゃれなスイーツの写真
- 食品:インスタントラーメンのアレンジレシピ
- コスメ:「使ってみた感想」とともにビフォーアフターの画像をInstagramに投稿
- メイク・ファッション:「〇〇円以内で全身コーデ」企画
- 旅行:観光地で撮った動画をTikTokにアップ
- ゲーム:YouTubeでの実況プレイ動画
- ガジェット:最新スマホの開封&レビュー動画
- DIY用品:手作りインテリアの投稿
2. 口コミ・レビュー投稿
ECサイトや口コミサイトに投稿されたレビューもUGCに含まれます。以下が主な例です。- 通販サイト:Amazonや楽天での「購入者レビュー」
- 飲食店・ホテル:食べログやGoogleマップの口コミ
- 家電・ガジェット:価格.comの評価や使用感の共有
3. ハッシュタグキャンペーンへの参加
企業が指定したハッシュタグをつけて投稿することでUGCを促すものもあります。- ファッションブランド:「#〇〇コーデ」キャンペーン
- コーヒーチェーン:「#私の朝のルーティン」投稿企画
- テーマパーク:「#夢の国の思い出」共有企画
UGCが創出されやすいモノ・サービスの特徴
UGC(ユーザー生成コンテンツ)が創出されやすいモノ・サービスには、以下のような特徴があります。
これらの特徴をもつ商品やサービスをユーザーに届けることで、共感が得やすく効率よく浸透させられるでしょう。
1. 視覚的に映える(フォトジェニックな)商品・サービス
ユーザーが写真や動画を撮りたくなるような、見た目に魅力的な商品はUGCが生まれやすくなります。- おしゃれなカフェやレストランの料理
- デザイン性の高いファッションアイテムやコスメ
- 旅行先の絶景スポットや観光地
このような商品やサービスは、意図的にUGCを創出できるでしょう。
2. 体験型・参加型の要素がある
実際に体験したことをシェアしたくなる商品やサービスは、SNSでの投稿が増えやすい傾向にあります。- アトラクションやテーマパーク
- 体験型ワークショップ(陶芸、キャンドル作りなど)
- ゲームやアプリのプレイ体験
3. SNSで共有しやすいストーリーや話題性がある
ユーザーが「誰かに伝えたくなる」ような背景やストーリーがあると、UGCが生まれやすくなります。- 期間限定のイベントやコラボ商品
- 企業のユニークな取り組み(サステナブル商品、社会貢献活動など)
- 感動や驚きのある商品(ユニークなパッケージや仕掛け)
4. 口コミが重要な商品・サービス
実際に使った人のレビューや評価が購入の決め手になりやすい商品も、自然にUGCが増えていきます。- 化粧品やスキンケア商品(「使ってみた」レビューが多い)
- 家電やガジェット(性能比較やおすすめポイントを共有しやすい)
- 健康食品・サプリメント(効果の実感をシェアしやすい)
多くのユーザーは、すでに利用している人の口コミを参考に商品を購入する機会が増えているため、口コミ特典をつけて口コミ投稿を促すことで、UGCを増やすこともできるでしょう。
5. コミュニティを作りやすい
ユーザー同士が交流したり、共感しやすいブランドは、自然にUGCが生まれやすくなります。- スニーカーやファッションブランド(コーディネート投稿が盛ん)
- フィットネス関連(トレーニング記録や成果のシェア)
- 音楽・映画・アニメ(ファン同士で感想を共有しやすい)
UGC導入のメリット
UGCを導入するメリットについて、3つの要素から解説していきます。これらはいずれもUGCの根幹に関わるものであり、企業がベースとなって発信するものとの違いになります。
メリット1. リアルなレビューから信頼感を獲得
UGCは、ユーザーが生成したコンテンツです。つまり、同じ立場や似た価値観からの具体的な情報の共有が見込めるため、ユーザーの心をつかみやすくなります。
また、企業が提供する情報では得られないような、ユーザー目線での押し付けではないリアルなレビューによって、信頼できるコンテンツとしての価値上昇が見込めます。
メリット2. 宣伝コストの削減
UGCの導入は、多様な広告戦略における時間や人員や費用といったコスト削減につながります。
SNSにおけるハッシュタグを利用したイベントやキャンペーンの実施によって、こうしたUGCはユーザーが率先して投稿してくれることを見込めます。コンテンツの充足はさらなるコスト削減の可能性につながるでしょう。
メリット3. サービス向上のきっかけに
UGCは、ユーザーが作成するコンテンツゆえに、ユーザーからのリアルなフィードバックを得る手段にもなります。そのため、良い声も反映されれば、悪い声も反映される可能性があります。
これらの内容をノイズとして排除するのではなく、消費者心理や消費者行動の分析に有益に活用できると捉えれば、サービス向上のきっかけにできます。
UGC導入の際の注意点
UGCの導入にはメリットだけでなく、注意すべき点もあります。これはユーザーが作成して投稿するコンテンツであるがゆえに生じる問題のため、事前に把握しておくことで適切な対処できるでしょう。
以下の3つのポイントから解説します。
注意点1. 誤った情報が載る可能性
UGCは、ユーザーが自由に発信するコンテンツです。この情報に関しての正確性は担保されておらず、間違った情報が拡散される可能性を否定できません。
虚偽の情報が掲載されていると、コンテンツ全体のクオリティを下げるのみならず、ビジネスの価値を損なうことも考えられます。
注意点2. コンテンツをこまめにチェック
誤情報の拡散を避けるためには、投稿されたコンテンツのこまめなチェックが大切です。
これはユーザーに配信の権限が委ねられているUGCで重要な内容であり、情報の正誤を判断してコンテンツの質を維持していきます。
UGCの質の維持に取り組むのも有効です。企業がハッシュタグやお題を指定してキャンペーンを実施するのも、一定のテーマとクオリティを管理する方法のひとつといえます。
注意点3. 権利侵害の可能性
ユーザーに悪意がある場合は当然として、悪意がない場合でも、肖像権や著作権などの権利は侵害されやすいものです。
しかし、それが意図的であってもなくても、第三者の権利の侵害は思わぬ事案につながります。場合によってはクレームで済まず、信頼も大きく低下してしまうかもしれません。
管理する企業側がUGCのチェックを徹底し、万一の場合にも問題が大きくならないように心がけ、リスクを排除していくことが求められます。
自社の宣伝はユーザーに頼る時代、UGCを活用し集客
UGCは、ユーザーが生成したコンテンツのことです。コンテンツというと物々しいですが、ファッションのコーディネート例を撮影したり、化粧品の詳細なレビューを投稿したりすることもまた、コンテンツ生成活動といえます。
企業にとって、UGCは競合との差別化を図る優良なコンテンツになり得ますが、常に正しく高品質な内容が生成されるとは限りません。正しい情報に基づいているか、また他者の権利を侵害していないかをチェックし、一定の質が保たれる施策を打つことが重要です。
こうした生活者目線でのリアリティのあるUGCの活用で、企業は単なる広告宣伝を超える有効な集客とともに、良質なコスト削減を達成できる可能性が生まれます。
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