AIDMAとは?AISASやSIPSとの違い、店舗での活用方法やメリットを解説

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【連載:マーケティング用語・施策の基礎解説】

本連載では、国内外問わず通用するマーケティング施策を取り上げ、インバウンド対策にも役立つヒントをお届けします。

AIDMA(アイドマ)とは、消費者が商品やサービスを購入するまでの心理的なプロセスを説明するマーケティングモデルです。

Attention(注目)」「Interest(関心)」「Desire(欲求)」「Memory(記憶)」「Action(行動)」という5段階での購買行動を表しています。

AIDMAは消費者の心理状況に沿ったアプローチのため、新たな顧客を獲得したい場合に特に効果を発揮します。

飲食店などの小売業ではぜひ取り入れたい考え方です。

そこで本記事では、AIDMAの5段階の購買プロセスを店舗や小売業で活かす方法とメリットを解説します。またAIDMAとよく比較されるマーケティングモデルの、AISASとSIPSも合わせて説明します。

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AIDMAとは

AIDMAとは、消費者が商品やサービスを購入するまでの心理的なプロセスを説明するマーケティングモデルです。

AIDMAは1920年代後半から1930年代初頭にかけて、アメリカの作家であるサミュエル・ローランド・ホール氏によって提唱されました。サミュエル氏は大量生産・大量消費が全盛の時代だったアメリカで、広告や販売に関する書籍を執筆していた中でAIDMAを考案しました。

AIDMAでは、消費者が商品やサービスを購入する際、以下の5つの流れがあると提唱しています。

  1. まず商品やサービスの存在を知り(Attention:注目)
  2. 商品やサービスに対して興味を抱き(Interest:関心)
  3. 欲しいと思うようになり(Desire:欲求)
  4. 商品やサービスの存在や欲しいという思いを記憶し(Memory:記憶)
  5. 最終的に購入へと至る(Action:行動)

これら5つの行動のうち、Attentionは認知段階、Interest, Desire, Memoryは感情段階、Actionは行動段階として区分されています。

顧客はこれらの段階を経て商品やサービスの購入に至っており、各段階により執るべきマーケティング戦略はそれぞれ異なります。

消費者心理を正しく理解し、無駄のない効率的なマーケティング施策をするのがAIDMAの目的です。

AIDMAと合わせて知っておきたいマーケティングモデル

マーケティングモデルでAIDMAと比較されることの多いAISAS(アイサス)と SIPS(シップス)について解説します。

AISAS

AISAS(アイサス)とは、AIDMAの考え方を基にインターネットでの購買を考慮に入れたマーケティングモデルです。AIDMAと同じように消費者の購買行動のプロセスを、次の5段階で表しています。

  • Attention(注目):商品やサービスを認知する
  • Interest(関心):商品やサービスに興味を持つ
  • Search(検索):インターネットで検索する
  • Action(行動):購入する
  • Share(共有):口コミサイトやSNSで情報をシェアする

関心を持つまではAIDMAと同じですが、その後のプロセスに違いが見られます。AISAS(アイサス)は、インターネットで検索してから購入し、感想などをシェアするまでを購買行動の一連として捉えている点が特徴です。

関連記事:AISASモデルとは?AIDMAやDECAXとの違いや具体的な活用法を解説

SIPS

SIPS(シップス)とは、SNSでの交流を前提とした購買行動のマーケティングモデルです。2011年に電通が提唱したもので、比較的新しい概念です。次の4段階のプロセスを表しています。

  • Sympathize(共感):共感できる情報を発見する
  • Identify(確認):さらに深く内容を確認する
  • Participate(参加):購入やポストのシェア、口コミの投稿といった行動をする
  • Share&Spread(共有・拡散):他の消費者によって情報がさらに拡散されていく

SIPSでは、購入には至らない行動も「参加する」として概念に取り入れていることや、AIDMAやAISASと違い「Sympathize(共感)」から始まることが特徴です。

AIDMA・AISAS・SIPSの使い分け

AIDMAとよく比較されるAISASとSIPSですが、どのマーケティングモデルを使うかは、サービス内容や顧客層、目的などによって変わります。

実店舗などオフラインでの展開がメインであればAIDMAが最適です。インターネットを中心とした集客であればAISAS、SNSマーケティングをメインで行っていきたい場合はSIPSがおすすめです。

自店舗に適したマーケティングモデルを使うことで、マーケティングの効率が向上します。

AIDMAはもう「古い」?

ここまで、AIDMAの特徴や同じく消費者の行動を説明するAISASとSIPSについて見てきました。

AIDMAは消費者が商品やサービスの購入に至るまでの過程を詳細に分解したものですが、1920年代後半から1930年代初頭にかけて提唱された概念ということもあり、もはや古いという意見も多く見られます。

ここでは、AIDMAが古いと言われる理由と、実際にAIDMAは古いのかどうかを解説します。

SNSの普及による「シェア」の重要性

2010年代より、SNSが大衆的な文化として広まり始めたことで、情報が共有(シェア)されることの重要性が高まりました。

しかし、AIDMAはあくまでも現実世界における消費者の行動を説明しているため、購入前に商品やサービスの情報を検索したり、購入後に感想をSNSで共有したりする行為には言及されていません。

一方で、AISASではインターネット上での消費者の行動を、SIPSではSNS上での消費者の行動をそれぞれ説明しています。

SNSが普及した現代においては、インターネット上の口コミや情報の拡散が購入の意思決定に大きな影響を与えるため、それらを考慮していないAIDMAは古い購入モデルだとも言われています。

ビジネスモデルによってはAIDMAのほうが当てはまることも

一部からは時代遅れな印象を持たれているAIDMAですが、実際にはAIDMAの概念は現代社会においても活用できる箇所が多くあります。

消費者が商品やサービスに興味を持ち、そこから購入に至るまでの過程は100年前も現在でも大きくは変わりません。AIDMAではこの過程における普遍的な原則が説明されているため、現代のマーケティング戦略においてもAIDMAを活用する余地は十分に残されています。

一方、現代ではインターネットやSNSに特化したAISASやSIPSという概念も存在するため、商品やサービスの特徴に合わせて最適なモデルを使うと良いでしょう。

AIDMAを店舗や小売業で活用する方法

AIDMAの5つの各プロセスの詳しい説明と、店舗や小売業での活用方法について解説します。

Attention(注目)

AIDMAモデルの最初のプロセスであるAttention(注目)について、飲食店を例に解説します。

この段階では、消費者はまだ飲食店のことを知らない状態です。まずは、店舗について知ってもらい、認知度を向上させることが目標です。

具体的には、チラシの作成やポスティング、看板の設置などで注目を集めましょう。

Googleマップ上でお店を調べる人に認知されるためには、Googleビジネスプロフィールの設定も欠かせません。また、食べログなどの口コミサイトへの登録も大切です。

Web検索する人に知ってもらえるきっかけが生まれます。

関連記事:Googleビジネスプロフィールとは?インバウンド客を集客する方法やメリット、注意点など

Interest(関心)

AIDMAの2番目の段階である Interest(関心)について、飲食店を例に解説します。

Interest(関心)における消費者の心理は、飲食店について「知ってはいるが興味はない」という状態です。この段階でのマーケティング目標は、店舗についてもっと知りたいと関心を持ってもらうことです。

関心を抱かせるには、店舗の特徴を分かりやすく伝える必要があります。他店との差別化ポイントはどういった点かアピールすることが重要です。看板であれば、お店の名前やキャッチコピーが該当します。

例えば、ラーメン店の場合は「豚骨」「味噌」「しょうゆ」「塩」といった味の特徴や、「博多」「喜多方」「高山」などの地名を入れることでお店の特徴が表れます。

 Interest(関心)に当てはまる消費者には、店舗に興味を持ってもらえるような施策をしましょう。

Desire(欲求)

AIDMAの3番目のプロセス、Desire(欲求)について飲食店を例に解説します。

Desire(欲求)における消費者の心理は、飲食店について「興味はあるが、行きたい(食べたい)とは思っていない」という状態です。この段階でのマーケティング目標は、消費者のニーズを喚起することです。

例えば、店先にメニュー表を置いて、料理の種類や料金を消費者に訴求します。口コミサイトなど、Web上にメニューや店内の写真を載せることも大切です。

消費者のニーズと合致していると、来店してもらえる確率が高まります。

Memory(記憶)

AIDMAの4番目のプロセスである、Memory(記憶)ついて飲食店を例に解説します。

この段階での消費者の心理は、飲食店について「行きたい(食べたい)と思ったことを忘れている」状態です。

店舗の前を通るたびに「行きたい」と思っていたとしても、すぐに来店してくれる方ばかりではありません。そのため、この段階の消費者に対しては、記憶を呼び起こすことがマーケティングの目標です。

例えば、営業時間や電話番号などを記載したショップカードを店先に置いておくと効果的です。「機会がある時に利用しよう」と思ってもらいやすくなり、来店を促す宣伝になります。

また、Web媒体の場合は、リターゲティング広告などを用いて店舗を思い出してもらいましょう。

Action(行動)

AIDMAの5つ目のプロセスである、Action(行動)について解説します。

ここまでの4つの段階を経た消費者は、「動機はあるが、入店する機会がない」という心理状態です。そのため、消費者の心理的ハードルがどこなのかを見極めて、来店する機会を提供することが必要です。

初めて来店する顧客限定の割引クーポンを提供するなど、ターゲットに合わせて、入店の最後の一押しとなる施策を行いましょう。

AIDMAを店舗や小売業に活かすメリット

AIDMAを、店舗や小売業でのマーケティングに活かすメリットは次の2つです。

  • 顧客の行動段階に適したアプローチができる
  • 自店舗の状況を客観視できる

それぞれ詳しく解説します。

顧客の行動段階に適したアプローチができる

AIDMAを店舗や小売業でのマーケティングに活かす1つ目のメリットは、顧客の行動段階に適したアプローチができることです。効果的なマーケティングには、消費者の心理状態や行動段階の理解が欠かせません。

例えば、店舗を全く知らない人に対して、新メニューの情報のみを提供しても、来店する可能性は低いでしょう。まずは、店舗を認知してもらうことが必要になります。

AIDMAモデルは、消費者が商品やサービスを購入に至るまでのプロセスを5段階に分ける考え方です。そのため、店舗や小売業のマーケティングAIDMAを活用することで、消費者がどの行動段階かを把握しながら、適切なアプローチができます。

自店舗の状況を客観視できる

AIDMAを使う2つ目のメリットは、自店舗の状況を客観視できることです。店舗のマーケティング目標を達成できていない時などに、AIDMAを当てはめることで、どの段階に問題点があるか発見できます。

例えば、飲食店口コミサイトへのユーザーアクセスはあるにもかかわらず、問い合わせにはあまりつながっていないとします。これは、「Interest(関心)は高いが、Desire(欲求)には至っていない」と判断できます。

この場合は、食材や調理方法、店内の雰囲気など、具体的に記載内容を変えることや、割引サービス実施などの対策をする判断ができます。

店舗でのマーケティングAIDMAを活かすと、店舗の弱みを客観的に見つめやすくなり、効果的な施策に取り組みやすくなります。

店舗や小売業での集客にAIDMAの活用を

ここまで、AIDMAの5段階の心理的なプロセスの概要や店舗での活用方法、メリットとAISAS・SIPSとの違いなどについて解説しました。

店舗や小売業でのマーケティングAIDMAを活用することで、顧客の行動段階に適したアプローチができます。

また、状況を客観的に判断しやすくなり、飲食業界や小売業界では効果的に売上アップを狙えるアプローチだと言えます。

長引くコロナ禍で競争がより激化する時代において、無駄のないマーケティングを行うためには、AIDMAを取り入れてみるのも一つの手だと言えます。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

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