【連載:マーケティング用語・施策の基礎解説】 |
宣伝とは、商品やサービスの認知度を高めると同時に、消費者に興味や好感を持ってもらうための活動です。 広告やPRも情報を発信する手段ですが、それぞれ目的が異なります。
この記事では、宣伝の概要、広告・PR・広報との違い、活用できる媒体の特徴、そして効果的な宣伝を行うためのポイントや注意点について詳しく解説します。
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宣伝とは?
宣伝とは、商品やサービスの魅力を伝え、購買意欲を高めるための情報発信のことです。販売促進の一環として行われ、消費者に興味を持ってもらい、行動を促す役割を果たします。
まずはマーケティングにおける宣伝の意味やターゲットについて解説します。
マーケティングにおける宣伝の意味
マーケティングにおいて、宣伝は単に商品やサービスを知ってもらうだけではなく、その特徴や背景を伝え、消費者の行動や意識を変えることを目的としています。
たとえば、ブログや自社サイト(オウンドメディア)、SNSなどを活用し、継続的に情報を発信することで、メディア関係者や消費者の目に留まり、商品やサービスの認知度を高める効果が期待できます。
マーケティングにおける宣伝のターゲット
宣伝のターゲットは、すでに自社の商品やサービスを知っている人です。商品の魅力を詳しく伝えることで、購入へつなげたり、ファンを増やしたりすることが目的となります。
一方、まだ商品やサービスの存在を知らない人に対して行うのは「広告」です。広告は、より多くの人にブランドや商品名を認知してもらうための手段であり、宣伝とは目的が異なります。
「広告」「PR」「広報」との違い
市場では、広告・PR・広報も宣伝と同じように大衆に向けた情報発信を行っています。しかし、それぞれの目的は異なり、使われる手法が似ていることから混同されることが多くあります。
ここでは、宣伝・広告・PR・広報の違いについてわかりやすく解説します。
広告とは:広く知ってもらうための情報発信
広告は英語の「advertising(アドバタイジング)」に由来し、商品やサービスの認知度を高めることが目的です。
広告は「広く告知する」ことが基本であり、より多くの人に商品やサービスを知ってもらうことを重視します。この点で、すでに認知されている商品やサービスについて深く理解してもらうことを目的とする「宣伝」とは異なります。
広告は宣伝の一部とも言えますが、その種類は多岐にわたります。なかには、見る人の行動を変えることを目的とした広告もあり、宣伝との境界があいまいな場合もあります。
関連記事:広告とは?定義やおもな種類、特徴を解説
PRとは:双方向のコミュニケーションを重視
PRは「Public Relations”(パブリックリレーションズ)」の頭文字です。
パブリックは大衆、リレーションは関係の意味であり、企業やブランドと消費者、関係者と良好な関係を構築することを目的としています。
広告や広報は企業が一方的に情報を発信するのに対し、PRは双方向のコミュニケーションを重視します。たとえば、企業がSNSを活用して消費者と対話をしたり、イベントを通じてブランドイメージを向上させたりする活動がPRにあたります。
近年ではSNSの普及により、PR活動は企業と消費者の直接的な交流だけでなく、消費者同士の口コミによる影響も含むため、より複雑で多面的なものになっています。
広報とは:理解を得るための情報発信
広報とは、企業や商品の正しい理解を得るための情報発信を指します。なかには関係性の向上を目指したPRが含まれるほか、行動の変容を期待する宣伝の要素を含む場合もありますが、広報の最も重要な目的は情報を発信し、正しく理解されることです。
広報と宣伝の大きな違いは、情報発信の主導権にあります。
広報は、メディアを通じて情報を発信するため、どのタイミングで、どのように報道されるかはメディア側に委ねられます。
一方、宣伝は企業側が発信する内容やタイミングを自由にコントロールできるため、意図したメッセージを直接届けることができます。
また、広報の目的は社会と企業の信頼関係を築くことにありますが、宣伝の目的は企業や商品の魅力を伝え、最終的に購買へとつなげることです。
購入につながる効果的な宣伝方法10選
購入につながる効果的な宣伝方法について10個ご紹介します。
1. オウンドメディアの活用
オウンドメディアとは、「自社で所有するメディア」のことです。たとえば企業が所有するホームページやブログ、SNSアカウントなどのメディアのことを指しています。
オウンドメディアは消費者との「初回接触用コンテンツ」として効果を発揮します。まずは自ら情報発信することで自社の商品を多くの人に知ってもらいましょう。
また、オウンドメディアを活用することで自社の商品を好きになってもらい、長期的な顧客(ファン)を獲得することも期待できます。企業がアピールしたい強みや自社商品への思い、開発プロセスといった情報を積極的に発信しましょう。
関連記事:トリプルメディアとは?効果的な広告やWeb上での宣伝戦略について解説
2. ニュースサイトや新聞
ニュースサイトや新聞では、新規性、独自性のある情報を即時取り扱うのが原則です。宣伝する対象となる事業や商品にこのような特徴が備わっている場合は、その側面をアピールすることで、さまざまなニュースメディアに取り上げられる可能性があります。
自社のブランドや事業を支える理念と親和性の高いメディアで話題にされれば、それに共感し支持してくれる人々に認知され、生活に取り入れられることが期待できるでしょう。
また地域に根差したサービスである場合にはローカル紙にも働きかけることが大切になってきます。
3. インターネット広告
インターネット広告とは、Webサイトや検索エンジンに掲載する広告のことです。
特徴として、「誰に対して」「何を見ている時に」「どんな広告を」表示するのかといった細かなターゲティングができます。よって、より細かいターゲットに対して見てほしい広告を掲載することが可能です。
また、インターネット広告は広告閲覧数や閲覧者の情報などを数字として正確に把握できるため、これらを分析・効果測定することで、広告宣伝の改善を素早く行うことができます。
さらに、広告の中でも低コストで始めることが可能です。最近では成果報酬型広告(ユーザーが広告をクリックしたり商品を購入したりなど、何らかのアクションを起こした時のみ広告料が発生する広告形態)が主流となっているため、全体的に広告費が抑えられます。
関連記事:リスティング広告とは?意味・費用・運用方法・効果を解説
4. ダイレクトメール
ダイレクトメール(DM)とは、企業が個人宛に直接送る手紙やはがき、チラシ、電子メールを指します。
DMは、はがきや小冊子、メールなど発信する媒体からデザインまで、伝えたい内容や情報量に応じて自由に選択できることが特徴です。
しかし、DMによる販促はどんなに魅力的な内容であっても開封してもらわなければ効果を発揮することができません。そのため、ターゲットやタイミングを見極めたり、興味を持ってもらうための工夫をすることが重要になります。
関連記事:DM(ダイレクトメール)とは?種類や特徴・作成のコツを紹介
5. 折込チラシ
折込チラシとは、新聞に折り込まれているチラシのことで、配布地域や配布日を指定できます。
インターネットの普及によって新聞の需要は減少していますが、特定地域に密着した宣伝できるだけでなく、到達率や費用対効果が高いといったメリットがあります。
主婦層やファミリー層、インターネットを利用しない高齢者へのリーチ率が高い媒体です。
商品やサービスについて理解してもらうのに十分な情報量を確保しつつ、情報が多すぎて読みにくくなってしまわない程度の情報量におさえる必要があります。
6. ポスティング
ポスティングは、チラシやビラ、手紙などをポストに直接投函する広告手法です。新聞の折込チラシよりリーチ層が広く、ターゲットやエリアを絞って確実に届けることができます。
また、自ら投函すればコストを抑えられるだけでなく、ポストに販促物を投函するだけなので仕組みもシンプルです。
飲食店・宅配サービス、塾・習い事、不動産関連など、近隣住民がよく利用するサービスはポスティングが向いています。
関連記事:ポスティングとは?特定のエリアに確実に情報を届ける広告手法・メリットや向いている業種は?
7. SNS
宣伝に活用できるSNSには、たとえば、Facebook、X(Twitter)、Instagram、YouTubeなどがあります。
宣伝は事業者から消費者への一方的な情報伝達となってしまいがちですが、SNSを利用して消費者からも感想や意見を受け取ることでよりニーズを把握しやすくなります。
また、商品やサービスの情報を発信するだけでなく、実際に利用している様子を投稿してもらったり、投稿に対する感想や意見をもらったり、拡散を狙ったりなど、さまざまな活用方法があります。
一般的に、Facebookは新商品やサービスリリースまでの状況や販売状況の投稿が向いており、文字制限があるX(Twitter)では開発や製造、販売担当者の短いメッセージの発信が向いている傾向にあります。
Instagramでは商品やサービスの関連画像や使用イメージの画像とともにメッセージを投稿するのが有効です。そして、YouTubeは、新商品・サービスの開発秘話の動画やCMなどのメイキング動画を発信することに利用できます。
複数のSNSを運用し、商品やサービスをアピールすることは、販売チャネルの多様化につながります。
8. セールスプロモーション
セールスプロモーション(販促活動)とは、消費者の購買意欲を高め、実際の購入を促すための短期的な施策です。
代表的な方法として、割引クーポンの配布、ポイント還元、サンプル提供、プレゼント企画、期間限定キャンペーンなどがあります。
特に期間限定の施策は、「今買わなければ!」という心理を刺激しやすく、購買意欲を高める効果が期待できます。 また、SNS広告やメールマーケティングと組み合わせることで、より多くの人に情報を届けることが可能です。
さらに、SNSを活用したキャンペーンは拡散力が高く、宣伝効果が期待できます。特に、ユーザーが自ら体験をシェアしたくなるような投稿を促すことが重要です。そのため、SNSキャンペーンを成功させるには、消費者が共感しやすい投稿内容を工夫することがポイントになります。
9. イベント
イベントは、消費者と直接コミュニケーションをとりながらブランドや商品をアピールできる宣伝方法です。オンライン・オフラインの両方で活用でき、体験を通じて印象に残るプロモーションが可能になります。
体験型イベントならBtoC、展示会ならBtoBと、目的に応じた施策が展開でき、会場限定の特典や割引を用意することで、その場での購入を促すこともできるでしょう。
10. 口コミ対策
口コミは、消費者の信頼を得る上で最も強力な宣伝手法の一つです。SNSやレビューサイトの発展により、消費者のリアルな意見が購買行動に大きな影響を与えます。
効果的な口コミ促進方法としては、SNSキャンペーン、UGC(ユーザー生成コンテンツ)の活用などが挙げられます。
レビュー投稿特典やSNS投稿キャンペーンを活用し、ポジティブな口コミを増やす施策を検討してみましょう。また、ネガティブなレビューには誠実に対応し、ブランドの信頼を守ることも大切です。
関連記事:UGCとは?マーケティングでの重要性やメリット、活用事例を紹介
宣伝する際のポイント
宣伝はある商品やサービス、事業に対する理解を深めてもらい、実際に手に取ってもらったり参加してもらったりすることを目的としています。
たとえば肉体の老化を防ぐサプリメントを、男子高校生向けに情報発信しても、購入はさほど期待できないでしょう。また、こうした商品をやはり若年層が好むYouTubeやInstagramで宣伝しても、売上につながるとは考えづらいでしょう。
宣伝に取り組む場合には、ターゲットの選定やターゲットに応じた媒体の選択が必要不可欠です。以下では、宣伝を行う際の流れとポイントを紹介します。
1. ターゲットを選定する
宣伝活動に取り組むうえでは、宣伝する商品やサービスに応じたターゲットを選定する必要があります。まずは商品やサービスに興味を持ってもらえるであろう年代、性別などを分析してアプローチすべき見込み顧客をターゲティングすることが大切です。
商品のターゲットが若者なのか、シニアなのかなど、ターゲットに応じて適切な宣伝の方法や利用する媒体は異なります。
女性向け、20代向けなどとターゲットの属性を絞り込むことが宣伝の第一歩として重要なステップになるでしょう。
2. 想定したターゲットに対して媒体を使い分ける
ターゲットの選定後は利用する媒体を決定します。チラシ、テレビ、SNS、Webメディアなど、宣伝する商品やターゲットに応じた媒体を選択します。
それぞれのプラットフォームごとのユーザー層、拡散力、コンテンツとの親和性などを意識したうえでもっとも適した媒体を判断します。商品やサービスの形態、それを必要とする人物像に基づき、必要に応じて複数の媒体での宣伝活動を展開します。
3. SNS運用では「炎上」にも注意
SNSの運営において、もっとも注意すべきことのひとつが「炎上」です。投稿の内容によっては、集中的に批判を浴び、収束できなくなるケースもあります。
普段から投稿内容に気を付けていても、万が一、事故や事件、社員の不祥事などにより炎上してしまった場合は、対応速度と誠意が炎上収束の鍵となります。最近はネット監視予防システムなどが登場しており、このようなシステムの導入も炎上対策には効果的です。
SNSでの宣伝はすぐ効果を得られるわけではありません。そのため、SNSの運用は中長期的な視点をもって実践するということも、注意点のひとつです。
メディアの利用傾向と新たなフォーマットにキャッチアップし宣伝活動
宣伝は商品やサービスの認知度を高め、見る人の行動を変化させることを目的とした情報やメッセージの発信を意味します。広告やPRと並んで事業者にとって、売上を伸長するうえで必要不可欠な販促活動です。
宣伝活動に取り組む際には、どのチャネルで何を目的にどのような情報発信をするのか、メディアの変化に注意を払ったうえで計画し取り組むべきでしょう。
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