星野リゾートは4月22日、オンラインプレス発表会を開催。施設の開業・リニューアルや新ブランドの設立など、新たな取り組みについて発表がありました。
また、星野リゾート代表の星野佳路(ほしのよしはる)氏が、大阪・関西万博や観光産業の課題について述べる場面もありました。
本記事では、発表会の中からインバウンドに関するトピックをまとめます。
「山」が拠点の新ブランド設立 日本の自然観光を強化
発表会では、新ブランド「LUCY(ルーシー)」が設立されることが発表されました。「心揺さぶる山ホテル」をコンセプトに、2025年9月には群馬県・尾瀬国立公園に「LUCY尾瀬鳩待」が開業します。
設立の背景について星野代表は、「訪日外国人の多くが大都市に集中するなか、35の国立公園が存在し豊かな自然を持つ日本においては、自然観光を強化する必要がある」として、星野リゾート全体で、「山」を観光拠点として改めてコンテンツを作り上げていく方針を示しました。
その中でも山小屋は、自然観光の宿泊拠点としてすでに確立されており、その数は全国で361軒にも上ります。まずは、山小屋における宿泊機能面での快適性向上を目標として、山岳観光に特化した「LUCY」を立ち上げたということです。
星野氏は「登山者以外も含めて、幅広い層が気軽に訪れられる場所にしていく」と、今後のブランド発展に向けて意気込みを語りました。

星野代表が語る観光業界の動向
発表会では、星野代表から観光業界の動向についての話もありました。
万博はいかに快適に過ごせるかが重要
開催中の大阪・関西万博については、「来場者数の目標達成という数に注目しすぎるのではなく、いかに今の時代に合った快適な観光コンテンツが作り上げられるかが重要」という考えを示しました。
また、自身が1970年の大阪万博を訪れ、混雑していたという経験から、「今はオンラインの時代。入場者には事前にオンライン予約を済ませてもらい、運営が快適に過ごせるキャパシティを守ることに徹すれば、結果的に目標を達成できると思う」と述べました。
オーバーツーリズムは、いわゆる「一極集中」
続いて、都市部へのオーバーツーリズムの問題については、「日本のオーバーツーリズムの特徴は、一部の時期、地域に集中していること」であるとして、これを「オーバーコンセントレーション(一極集中)」と表現しました。
その解決方法については、「日本は文化観光が強いから、東京、京都、大阪といった都市部に集中してしまう。他の地域にも分散させるためにも、自然観光を強くしていくことが必要」と述べ、日本全体でオーバーコンセントレーションの解消法を考えることの重要性を伝えました。

宿泊税は「条件付きで賛成」
さまざまな観光地で導入が進んでいる宿泊税については、「条件付きで賛成だが、このままでは反対」という意見を示しました。
星野氏は、地域の事業者に対して、「消費者の負担が増えることで需要は落ちるため、結果的に税金を自分たちが負担していると意識を持つべき」と呼びかけました。その上で、「宿泊税が観光振興に効果的に利用されているかがポイントになる」と述べました。
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