【連載:マーケティング用語・施策の基礎解説】 |
温かみがあり、お客様の目を引きやすい手書きPOPは、コストを抑えながら売上アップを目指せる効果的な手段です。しかし、「どうやって書けばいいの?」「センスがないと難しいのでは?」と感じる方もいるでしょう。
この記事では、手書きPOPが初めての方でも簡単に効果的なPOPを作成できるよう、基本的な書き方のコツから、目立つデザインのポイント、設置する際の注意点、おすすめの道具、参考にしたい実践事例まで、手書きPOPの全てを分かりやすく解説します。
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POPの役割
POPは単純な商品紹介ではなく、来店顧客の興味関心や購買意欲を高めるなど、重要な役割を持ちます。
POP(ポップ)とは
来店した顧客に商品やサービスの存在を知らせ、価値を訴求し、購買意欲を掻き立てる役割を持ち、商品説明カードやプライス・カード、棚札やのぼり、ポスターやパネル、キャラクター人形など形状はさまざまです。
POPとは「Point Of Purchase」の頭文字で、「購入時点の広告」という意味です。店頭や店内に設置する広告、宣伝物が該当します。
POPは顧客の購買意思決定を促す
店頭に来る顧客の消費行動として、目的買いよりも衝動買いの方が多いため、POPが効果的に機能すれば販促ツールとして大きな役割を果たします。
顧客は買う予定のなかった商品についても、POPを見て手に取る可能性があります。POPにより顧客単価を上げる効果も期待できるでしょう。
顧客の視点をキャッチし、効率的にアピール
売り場に陳列されたすべての商品を顧客が目にすることは不可能です。POPを置くことで、売り場スタッフのおすすめや注目してほしい商品をアピールし、顧客の目線を集めることができます。
店内の導線や商品レイアウトなど売り場環境とのバランスを見ながら、POPの設置箇所を定めることが重要です。
手書きPOPを簡単に!魅力が伝わる書き方4つのコツ
手書きPOP制作における文字の入れ方や色、装飾、構成要素について、4つの視点からコツを説明します。
1. 個性的・抑揚ある文字で印象強く
印刷した文字のような正確性は必要なく、むしろオリジナリティがある文字の方が顧客に親近感を与えます。
手書きPOPならではの魅力は、温かみのある個性的な文字です。印刷したような綺麗な文字である必要はありません。むしろ、少し不揃いでも味のあるオリジナリティ豊かな文字の方が、お客様に親近感を与え、目立つ効果も期待できます。
また、遠くからでも認識できるサイズで書くことを意識するのがコツです。3メートル離れた場所からでも問題なく読めるかを目安にしましょう。
伝えたいメッセージや価格など、情報の重要度に応じて文字のサイズや太さを変え、メリハリをつけると読みやすい手書きPOPになります。文字間隔の調整も忘れずに行いましょう。
2. レイアウトパターンを決め、中身のテキストを作る
書く内容の基本は、以下の3要素です。
- 商品名
- キャッチコピー
- 価格
また以下のような内容も、商品の購入検討に役立つでしょう。情報の価値が増します。
- 商品説明やアドバイス
- 思い入れや試した感想など
各情報をどこに配置するか、枠を決めてからテキストを考えると失敗しません。

3. 基本は赤、黄色、黒、多くても5色まで
手書きPOPを目立たせたいからといって、たくさんの色を使うのは逆効果になるケースも見受けられます。色鮮やかでも、情報が散らかって読みにくくなり、本当に伝えたい内容が埋もれてしまう可能性があります。
基本は見やすい色の組み合わせ(例:黒と黄、赤と黄、黒+蛍光色など)を2〜3色に絞り、多くても5色程度に抑えるのが見やすい手書きPOPを作るコツです。これにより視認性が上がり、効果的に情報を伝えられます。

4. 文字の縁取りや光沢効果、イラスト、枠でメリハリを
文字や色使いだけでなく、ちょっとしたデザインの工夫で手書きPOPはさらにおしゃれに、目立つようになります。例えば、以下のようなデコレーションを施すと良いでしょう。
- 文字の装飾:文字を縁取りしたり、影をつけたり、光沢(ハイライト)を入れたりするだけで、メリハリが出て強調したい部分が引き立ちます
- 簡単なイラスト:商品のイラストや、使い方をイメージさせるイラストを添えると、補足説明になったり、親しみやすさが増したりします。難しく考えず、シンプルなものでOKです
-
フレーム(枠):POP全体を枠で囲むと、情報にまとまりが出て視線を集めやすくなります。波線や点線など、枠のデザインも工夫してみましょう。 売り場の雰囲気やブランドイメージに合ったデザインを意識することで、お店らしさを演出し、お客様の記憶に残りやすくなります。
手書きPOPを用意する際の注意点は?
POPは設置方法次第で効果が大きく変わってきます。POPの完成度が高くても、設置場所や時期を誤ると逆効果になるため注意が必要です。
1. 売り場の随所に貼らず、PRしたい商品に限定して貼る
ありがちな例として、PRしたい商品が多岐にわたり、店内がPOPで溢れてしまうことがあります。この場合、一つひとつのPOPが目につかなくなり効力が減ってしまうことが考えられます。
また、POPが前に出すぎていて商品の邪魔になっていないかもチェックしましょう。
時期や売上げ状況に応じて対象商品を決め、メインとなる商品の存在を引き立てるPOP設置が、良い売り場作りにつながります。
2. 書かずともわかる常識的な内容は不要
商品の仕様をそのまま説明するのでは、読み手にとって付加価値が感じられません。
使うとどんな効果が得られるのか、どんな気持ちになるのかなど、体験に軸をおいて訴求すると、商品のスペックだけではわからない効果を想像してもらい、興味を持ってもらえるでしょう。
3. 季節やイベントを盛り込む場合はタイムリーに
情報の鮮度の落ちたPOPは、往来する人やリピート客の信頼を失うことになります。
季節商品やイベントにちなんだ商品をPOPでアピールすることは有効ですが、掲示期限を決め、旬な期間のみの設置を徹底することが重要です。
POP作成に必要な道具
顧客の目に入りやすく、質の高いPOPを作るには、専用の筆記用具があると便利です。
発色や耐水性を兼ね備えたマーカー
POPの文字を書くツールは、鮮やかに発色し、耐水性があり滲みにくいマーカーが適しています。
無地のものから、罫線やデザインがあらかじめ入っているPOP専用用紙も市販されています。おしゃれな雰囲気にしたい場合はクラフト紙、かわいい印象にしたい場合は色画用紙など、お店や商品のイメージに合わせて選ぶのもコツです。
通常の画用紙を使用し、ラミネート加工で耐久性を高める方法もあります。
劣化しにくい丈夫なPOP用紙やブラックボード
何日間も飾ることを想定し、破れにくく色褪せしにくい用紙を選びます。
無地のものから、マス目があり文字を入れやすいもの、ある程度装飾が入っているものなど種類が豊富にあります。
通常の画用紙を使用し、ラミネートフィルムを貼って耐久性を強化する方法もあります。
また、紙より丈夫で存在感のあるブラックボードもおすすめです。背景が黒色なので、白や黄、蛍光カラーで書いた文字を浮きだたせます。
ポップスタンド
設置や補強用にポップスタンドを用意しておくとよいでしょう。
倒れにくく、目立つように設置をサポートしてくれます。
顧客が思わず立ち止まる!業界別・手書きPOP活用アイデア3選
工夫を凝らした手書きPOPは、さまざまな業界で顧客の心をつかみ、売上アップに貢献しています。ここでは、特に参考になる業界別の活用アイデアを3つご紹介します。
事例1. 書籍・雑貨店など:商品の個性を引き立てる「共感・発見型」POP
セレクトショップや専門性の高い雑貨店、書店など、ユニークな商品やこだわりの品揃えが魅力の店舗では、商品の個性に負けない「語りかける」ような手書きPOPが効果的です。
活用例
- 店員さんの熱い思いが伝わる個人的なおすすめコメント(例:「店長が〇〇にはまってしまい、大量入荷しました!」)
- 商品の世界観やストーリーを表現するキャッチーな一言(例:「この本を読むと、明日から少しだけ優しくなれるかも」)
- 思わずクスッと笑ってしまうようなユーモアあふれる表現や、ターゲット層に「刺さる」ような鋭い問いかけ
- 「プレゼント選びに迷ったら」「〇〇な気分の時に」といった、顧客の状況や感情に寄り添う提案
商品知識豊富なスタッフの言葉は、顧客にとって価値ある情報源となります。単なる商品説明に留まらず、その商品があることで得られる「体験」や「発見」を提示することで、購買意欲を刺激します。
店舗独自の世界観をPOPのデザインにも反映させると、よりファンを獲得しやすくなります。
事例2. スーパーマーケットなど:親しみやすさで選ばれる「対話型」POP
日常的に多くの顧客が訪れるスーパーマーケットや食品販売店では、親しみやすさや安心感を伝える手書きPOPが顧客との距離を縮めます。
活用例
- 「今日の特売品を使った献立にいかがですか?」といった、タイムリーな情報提供。生産者のこだわりや、商品の背景にあるストーリー紹介
- 旬の食材の美味しい食べ方や、簡単レシピの提案(例:「この野菜、〇〇と炒めるだけで絶品です!」)
- 店員さんの正直な感想やおすすめ理由(例:「ぶっちゃけ高いです!でも、味が全然違うんです!」)
まるで店員さんと会話しているかのような、温かみのある言葉遣いが効果的です。商品のメリットだけでなく、時にはデメリット(正直な価格評価など)も伝えることで、かえって信頼感が増すこともあります。
各売り場の担当者が、自分の言葉で商品への愛情や豆知識を伝えることで、POPを読む楽しさが生まれ、顧客の滞在時間増加やファン化につながります。
事例3. ドラッグストアなど:選びやすさをサポートする「ナビゲーション型」POP
医薬品、化粧品、日用品など、多種多様な商品が並び、顧客が自分で比較検討して選ぶことが多いドラッグストアや量販店では、迷わせない・分かりやすい手書きPOPが重要な役割を果たします。
活用例
- 類似商品との違いや、選び方のポイントを簡潔に説明(例:「乾燥肌の方はこちら」「〇〇成分配合でしっとり」)
- 特定のお悩みやニーズに応える商品を明確に提示(例:「花粉症でお困りの方に」「疲れ目にこの一本!」)
- 専門知識が必要な商品の効果や使い方を、専門用語を避けて分かりやすく解説
- セットで使うと効果的な商品や、関連商品を一緒に紹介(ついで買い促進)
膨大な情報の中から、顧客が求めるものを素早く見つけられるように「案内役」となることを意識します。とくに、高付加価値商品や説明が必要な商品について、手書きPOPでていねいに補足することで、顧客の疑問解消や購買決定を後押しします。
遠くからでも目立つように設置場所を工夫したり、カテゴリーごとにPOPのデザインを統一したりするなど、売り場全体の分かりやすさを意識した戦略的な活用が有効です。
POPは重要な購買のフック
デジタル全盛の時代だからこそ、温かみと個性でお客様の心をつかむ手書きPOPは、実店舗にとって強力な販促ツールとなります。
この記事でご紹介した書き方のコツやデザインのポイント、注意点を参考に、まずは1枚、簡単なものから手書きPOP作りに挑戦してみましょう。
手書きPOPは、商品の魅力をダイレクトに伝え、お客様とのコミュニケーションを生み出す素晴らしいきっかけになります。
試行錯誤しながら、自店舗らしい効果的な手書きPOPで売上アップを目指しましょう。必要な道具も手軽に揃えられますので、ぜひ今日から始めてみてください。
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