オーストラリアは、日本と長年にわたって良好な関係を築いてきた重要なパートナー国の一つです。政治や経済だけでなく、文化や教育、観光など多方面でつながりが深く、相互理解が進んでいます。
この記事では、オーストラリアの基本情報から日本との関係、インバウンド動向、オーストラリア人の日本へのイメージなどをわかりやすく解説します。
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オーストラリアの基本情報
まずオーストラリアの基本情報から見ていきましょう。オーストラリアから日本を訪れる場合の所要時間、オーストラリア市場のインバウンドデータについても掘り下げていきます。
基本情報
面積 | 768万8,287平方キロメートル |
人口 | 約2,720万人(2024年6月時点) |
主要都市 | キャンベラ(首都)、シドニー、メルボルン、ブリスベン、パースなど |
言語 | |
宗教 | キリスト教43%、無宗教38%(2021年国勢調査) |
1人当たりGDP |
6万4,821米ドル(2023年) |
92万200人(2024年) |
オーストラリアは南半球に位置し、面積は768万8,000平方キロメートルと日本の約20倍におよびます。広大な国土に対して、人口は約2,720万人(2024年6月時点)と少なく、自然と都市が共存する国です。
首都はキャンベラで、人口は約47万人。シドニーやメルボルン、ブリスベン、パースなども主要都市として知られ、それぞれ経済や観光、文化の拠点となっています。公用語は英語です。宗教はキリスト教が最多である一方で、無宗教の人も増えており、多様性のある社会を形成しています。
経済面では、1人当たりGDPが6万4,821米ドル(2023年)と高水準で、安定した先進国の一つに数えられています。
日本との距離
オーストラリアの主要都市からは、それぞれ日本の空港に直行便が運航されています。たとえば、シドニー=羽田間の所要時間は約9〜10時間です。
時差は1〜2時間ほどと少なく、移動による身体的負担が比較的少ない点も、相互の交流が活発な理由の一つといえるでしょう。
ビジネスや観光を目的とした短期滞在もしやすく、今後も往来のさらなる拡大が期待されます。
インバウンドデータ
2024年の訪日豪州人数は92万200人で、コロナ前2019年比で48.0%増、前年比では50.1%増となり過去最高を記録しました。特に12月はスクールホリデーや直行便の増加により、単月で過去最多の訪日客数を記録しました。

また、2024年の訪日豪州人の旅行消費額は3,492億円で、2019年比で129.9%増、前年比では67.2%増と大きく増加して過去最高を更新しました。

1人当たりの消費額は38万492円で、全市場平均(22万6,851円)よりも15万円以上高く、イギリスに次いで2番目に高い水準となっています。
関連記事:2024年の訪日豪州人数は92.0万人、消費額もともに過去最高【最新のインバウンドデータを解説】
オーストラリアと日本の関係をわかりやすく解説
日本とオーストラリアは、長い歴史と共通の価値観に支えられたパートナーシップを築いてきました。政治・経済・安全保障の各分野で連携を強めており、互いにとって重要な存在となっています。
ここでは、両国の関係を政治・経済の視点からわかりやすく紹介します。
日本は「アジアで最も緊密かつ成熟した関係」
オーストラリアにとって日本は、アジア諸国の中で最も緊密かつ成熟した関係を築いているパートナーです。両国は自由や民主主義、人権、法の支配といった基本的価値観を共有し、経済面だけでなく安全保障分野でも強い信頼関係があります。
両国の結びつきは、1800年代末の貿易開始にさかのぼります。第二次世界大戦による断絶を経て、1952年に外交関係が再開され、1957年には日豪通商協定、1976年には日豪友好協力基本条約(奈良条約)が締結されました。
さらに、2007年には安全保障協力に関する共同宣言が発表され、2015年には日豪経済連携協定(JAEPA)が締結。現在は「特別な戦略的パートナーシップ」として、政治・経済・文化の各分野で多角的な協力が進められています。
お互いに補完し合う経済関係を築く
日本とオーストラリアは、互いにとって主要な貿易相手国です。2023年、日本はオーストラリアにとって、輸出先として第2位、輸入元として第3位の相手国となりました。
日本からの主な輸出品は乗用車、商用車、精製油などで、オーストラリアからは石炭、天然ガス、鉄鉱石、牛肉などです。日本はオーストラリアから資源や食料を輸入し、工業製品を輸出することで、互いに補完し合う関係を築いています。
オーストラリアでは日本のさまざまな文化が浸透
次に、ポップカルチャーや日本食、日本語教育など、オーストラリアで親しまれている日本文化について紹介します。
日本のポップカルチャーが人気
オーストラリアでは、ジブリ映画をはじめとした、日本のアニメや漫画などのポップカルチャーが浸透しており、日本語学習を始めるきっかけの一つにもなっています。
2022年7月にシドニーで開催されたポップカルチャーイベント「SMASH!」には約2万6,000人が来場。オーストラリア各地でも日本祭が開催され、キャラクターやコスプレイヤーによるパフォーマンスが増えています。
またNetflixやHulu、クランチロールなどの動画配信サービスの普及により、日本のドラマやバラエティ番組にも日常的にアクセスできるようになっています。
日本食は日常的な存在
オーストラリアでは日本食の人気が高く、農林水産省の調査では、2023年時点で約2,000店舗の日本食レストランが存在するとされています。「やよい軒」や「一風堂」など日本の飲食チェーンも進出しており、日本食は日常的な存在です。
その一方、国内で提供される寿司やラーメンは日本の味と必ずしも同じではないため、訪日した際に本場の日本料理を求める人も多いようです。
ただ、日本食ばかりが続くことに抵抗感がある人もいるため、宿泊施設の朝食バイキングなどでは和洋食が選択できるのが望ましいでしょう。また、食べられる食材に制約がある人も多く、ヴィーガン、ベジタリアン、グルテンアレルギーの人などへの配慮も求められます。
日本語学習者数は世界4位
オーストラリアの日本語学習者数は約41万5,000人(2021年度、国際交流基金)で、国別では世界4位となっています。
学校教育で日本語を学習している人がほとんどで、特に初等教育の学習者数は、世界全体の約8割をオーストラリアが占めています。
「人口10万人あたりの日本語学習者数」では世界1位(1,751.2人)となっており、日本語がオーストラリアの教育現場で浸透している様子がうかがえます。
オーストラリア人が日本に抱くイメージ
オーストラリア人の日本に対するイメージは良好で、訪日旅行の満足度は高くなっています。ここでは、オーストラリア人が抱く日本のイメージについて紹介します。
日本のスキーリゾートが人気
オーストラリアでは、日本はスキーやスノーボードを楽しめる旅行地として知られています。なかでもニセコの人気は高く、「時差が少ない」「距離が近い」「雪質が良い」といった理由から、欧米のリゾートよりも好まれる傾向にあります。
北海道では、ニセコの他にもルスツ、富良野、サホロ、トマム、キロロなどもオーストラリア人旅行者の受け入れに積極的で、長期滞在型のスキーリゾートとして整備が進んでいます。また、近年は白馬や蔵王、会津など、本州のスキー場も注目されつつあります。
関連記事:
日本は「親切で礼儀正しい」「治安が良い」
オーストラリア人は日本に対して、「人々が親切で礼儀正しい」「治安が良い」「公共交通機関が発達している」といった好意的なイメージを持っています。こうした安心感は、旅行先としての日本の魅力を高める要因となっています。
一方で、「英語が通じにくい」など、日本に対するマイナスイメージも存在します。言語面の不安は、旅行を計画する際の阻害要因の一つとされており、情報不足や現地でのコミュニケーションへの不安から、日本旅行を躊躇するケースもあるようです。
近年では、英語表記の拡充や英語ガイド付き体験メニューの整備、英語対応が進んだ観光地(ニセコ・白馬など)の存在などにより、受け入れ環境は着実に改善しています。オーストラリア市場のさらなる取り込みに向けて、今後も英語による情報発信や対応の強化が重要となるでしょう。
関連記事:飲食店のインバウンド対策9選!実施したほうがいい理由と食文化への対応も紹介
オーストラリアは多角的に日本と結びつくパートナー国
オーストラリアは、日本と経済・文化の両面で深い関係を築いてきた重要なパートナー国です。日本食やポップカルチャー、スキー環境なども高く評価され、2024年は訪日客数・消費額ともに過去最高を記録しました。
今後も、英語対応などの受け入れ体制や情報発信を強化することで、さらなる訪日豪州人の増加が期待されます。
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<参照>
- 外務省:
- 日本政府観光局(JNTO):外国旅行の動向|豪州
- 観光庁:インバウンド消費動向調査
- 在日オーストラリア大使館:
- 一般財団法人自治体国際化協会シドニー事務所:オーストラリア最大規模のマンガ・アニメのイベント「SMASH!」に出展(7月1日~2日)
- 農林水産省:海外における日本食レストランの国・地域別概数
- 国際交流基金:2021年度 海外日本語教育機関調査
【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
- 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
- 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
→「THE INBOUND DAY 2025」特設ページを見てみる
【インバウンド情報まとめ 2025年5月後編】2025年の訪日客数「4,500万人」へ、観光庁長官の見解は? ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
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※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
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