「戦友」の2人が描く、日本復活のシナリオ ── 橋下徹氏との対談に向け、大阪観光局・溝畑理事長にインタビュー

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2025年1〜6月に大阪を訪れた外国人の数は847.6万人(前年同期比23%増)となり、上半期として過去最高を記録したことがわかりました。

大阪・関西万博の開催も追い風に、ますます盛り上がりを見せる大阪のインバウンド。その中で観光振興、情報発信、さらに万博等のイベント開催時の機運醸成までを牽引するのが、公益財団法人大阪観光局です。

本記事では、mov/訪日ラボ主催カンファレンスTHE INBOUND DAY 2025」の開催に先立ち、基調講演に登壇する大阪観光局理事長 溝畑 宏氏へのインタビューをお届けします。講演で対談する元大阪府知事・元大阪市長 橋下 徹氏との出会いや、インバウンドそして日本の産業に対する思いなどについて語っていただきました。

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「まさに『戦友』だった」── 溝畑氏にとっての「橋下徹」という存在

2009年、当時橋下さんがやってたIR研究会の講演に呼ばれた。そのときIRには見識がなかったんだけど、橋下さんのIRへの熱い想い、「大阪から日本を変える」という想いがわかり、「すごい男がおるな」と思った。それが橋下さんとの出会いだった。

大阪観光局・溝畑宏理事長
▲大阪観光局・溝畑宏理事長

それをきっかけに観光庁長官になったが、ちょうどリーマンショックで低迷期に入って、日本の経済これからどうなるんだ…という暗黒時代だった。間違いなく、橋下さんの熱意が下支えになった。

各国を回るうち、観光が他国でいかに基軸産業であるかを思い知った。観光業がGDPの10%を超えている国もあり、たとえばスペインでは17%、フランスでは13%にのぼる。日本は今でも7%にとどまっている状況だ。これからは「最低10%、できれば15%」を目指したい。自動車産業は17兆円だが、 観光産業は「80兆円」を目指せるポテンシャルがある。

日本には、観光資源が世界一たくさんある。四季の変化、美しい自然、安全安心、伝統文化SDGsなど、観光立国として成り立つためのベースがすでにある。あとはこれをどうやって売り込むか、どうやって受け入れるかだけなのに、僕が長官になった当時はまだビザの問題、免税問題、空港の問題、Wi-Fiの問題、すべて手つかずだった。

このとき、橋下さんと組んだ。橋下さんが自治体を背負い、改革マインドを広げてくれた。まさに「戦友」だったんだ。

「Think Globally, Act Locally」 ── 今の日本、そして観光業界に必要なこと

── 今、日本そして観光業界に必要なこととは。

日本という国は大きな過渡期にある。ものを作るという大切な日本の産業が衰退していく。そんな中で、インバウンドは日本を救う可能性のある産業だ。

まず大事なのが、観光産業の社会的地位をあげること。給料が上がる産業になってない。それに、地域だと観光協会は商工会議所の下にある。国全体でも「観光省」ってなくて、重要な産業として位置づけられてない。これは変えていかないといけない。

あとは、客観的データで自分たちをチェックしていないのも問題。プロモーションを腐るほどやってるけど変わらないのは、そのせいもある。地方は真剣に費用対効果を検証していかないといけない。

「Think Globally, Act Locally(地球規模で考え、足元から行動する)」。地域のことも、本来は橋下さんのように「国家を語れる」人がやらないといけない。常に世界的視野でものを見ながら、地域のために地道にやっていくことが大切だ。

── 「足元から行動」とは何を指すのか。

具体的には、オーバーツーリズム対策、安心安全・清潔さの提供、防災対策・急患対策、ナイトタイムエコノミーフードダイバーシティ。それにサービスのクオリティを上げること。アプリを作って、決済や認証もしやすくして、お客様の満足度・快適度を上げる。

満足度という話でいえば、私はいつも「お客さんに声をかけろ」と言っている。日頃から人を喜ばせる。目の前の人すら幸せにできないのでは、観光をやるのは無理だと思う。

観光業は「人」で決まる。まちを歩いている人の表情、人の集積がまちを表すんだ。だからもっと挨拶したり、大阪のおばちゃんのように気軽に声をかけたりすること。それが一番大事だ。

── どうすれば「世界的視野」で物事を捉える人材になれるのか。

海外から人・モノ・カネが入ってきたら、人材が育つんじゃないかと期待している。競争力が上がって、給料も上がる。失われた30年を取り戻すには競争に勝つこと。インバウンド産業は、そういうところに意識を変えていかないと。日本の国際競争力が上がっていくように、一人ひとりの国民が意識することが重要だ。

今年は戦後80年、昭和100年という節目の年でもある。世界の分断対立は激化し、少子高齢化という大きな問題もある中で、この国がどのように発展していくのか。その転換点に来ているといえる。

観光業にも、「1億円プレイヤー」を誕生させたい

── 観光業界に携わる人たちに、伝えたいことは。

いろんな人にこの業界にチャレンジしてほしい。特に、若い人に来てほしい。若い人は怖いもの知らずだから、チャレンジすることを厭わない。

観光産業には、大谷翔平みたいな業界のスーパースターがいないんだよね。でも消費額が8兆なのだから、そのうち1億を1人が稼いだっていいはず。そういうところを狙うヤツが観光業でも出てきてほしい。もし、自分が20代に戻れるならやってみたいね。

給料が上がらない業界には人が来ないから、観光業を夢のある産業にしないといけない。ゴールは1億円プレイヤー・10億円プレイヤーをこの業界で誕生させることだ。

「インバウンドで日本を元気に」 ── 8月5日、橋下徹氏と対談へ

── 「THE INBOUND DAY 2025」で橋下 徹氏と初めて対談することになるが、その心境は。

当時、一番インバウンドに前のめりになってたのが橋下さんだった。8月5日は、自分をインバウンドに目覚めさせてくれた橋下さんと再会できる日だ。あの出会いがなかったら、人生は変わっていたかも。

そんな橋下さんと、みんなの前で話すのは初めてのことになる。橋下さんは謙虚な人だから、俺が、俺がという話にはならないと思うけど、IRに対して国民の理解もない時代、僕は孤立無援で、大阪で橋下さんが旗を振ってくれてるというのが一番の心の拠り所だった。まさに橋下さんが歴史を開いた。税金を使わずに日本の観光を変えていくんだという道筋が見えたんだ。

万博IRも、新しい取り組みは批判されがちだ。だが、万博はご存知の通り、大盛況だ。確かにデメリットがゼロとは言わない。でも、メリットを最大化し、デメリットを最小化できるものはやるべきだと考えている。

講演では、大阪が2030年に「アジアNo.1の観光都市」を目指す中で何をやっていくのか。そして、どうやって「観光やインバウンドで日本を元気に」していくか。そんな「日本復活」のシナリオを橋下さんと描けたらいいと思う。

元大阪府知事・元大阪市長の橋下徹氏と、大阪観光局理事長 溝畑 宏氏の初対談が実現!mov/訪日ラボ主催「THE INBOUND DAY」

本記事では、大阪観光局理事長 溝畑 宏氏へのインタビューをお届けしました。

mov/訪日ラボ主催「THE INBOUND DAY」では、橋下徹氏と溝畑宏氏の初の対談が実現!激動の時代を駆け抜けた二人が、「インバウンドで日本を元気に!」と題したセッションで何を語るのか。ここでしか聞けない本音、秘話、そして未来への熱い提言をお見逃しなく。

開催が8/5に迫っておりますので、この機会にぜひお申し込みください。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

訪日外国人観光客インバウンド需要情報を配信するインバウンド総合ニュースサイト「訪日ラボ」。インバウンド担当者・訪日マーケティング担当者向けに政府や観光庁が発表する統計のわかりやすいまとめやインバウンド事業に取り組む企業の事例、外国人旅行客がよく行く観光地などを配信しています!

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