観光庁の村田茂樹長官は8月22日、定例会見を実施。20日に発表された日本政府観光局(JNTO)訪日外客統計などについて報告しました。
さらに長官は、「予言」に関する各国の動向や、7月に発生した津波への対応などについても所感を述べました。
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7月の訪日数は前年比4.4%増 予言の影響あるも「力強い成長軌道」
7月の訪日外国人数は343万7,000人で、前年同月比4.4%増でした。 昨年2月以降、18か月連続で同月過去最高を更新しています。堅調な訪日需要と航空便の回復などが追い風となり、「力強い成長軌道にある」と話しました。
一方、香港や韓国など、一部の国・地域の訪日旅行者数は前年比で減少しました。これは、「7月に日本で大災害が起きる」という噂が各国のSNSなどで広まったことが影響していると考えられます。長官は、科学的根拠のない情報が訪日市場に影響を与えることがないよう、今後も適切な情報発信に取り組むとしました。
訪日客の減少は、東南アジア諸国でも見られています。長官は、もともと夏は東南アジア市場の訪日需要が低くなるとした上で、タイは経済の低迷、シンガポールは航空便の減便や日本の記録的猛暑、マレーシアやフィリピンは祝日・休暇時期の移動などが影響しているとし、それぞれの国で異なる事情があると説明しました。
また訪日消費については、百貨店の売上減少といった動きはあるものの、2025年4〜6月期のインバウンド消費額では買い物代が前年比で微増したことを踏まえ、全体としては堅調に推移しているのではないかと話しました。
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津波発生時における対応について
会見では、7月30日にカムチャツカ半島沖で発生した地震の津波に際する、訪日外国人への対応についても触れられました。
観光庁は、訪日外国人が言語の壁によって正確な情報を得にくい現状を踏まえ、多言語による情報発信に取り組んでいます。津波警報時には、災害時の情報提供アプリ「Safety tips」や、日本政府観光局(JNTO)のWebサイト、SNS公式アカウントで情報発信を行いました。また、24時間対応可能なJNTOコールセンターでも問い合わせに対応したということです。
長官は、平常時から災害に不慣れな訪日外国人の来訪を想定した準備が重要だとし、地方自治体による観光危機管理計画の策定を支援していると述べました。
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2026年度予算の概算要求について
観光庁の一般財源からの当初予算額は2018年度をピークに減少傾向にあります。長官は、 2019年1月に創設された国際観光旅客税(出国税)の財源や補正予算を合わせ、必要な観光政策を進めるための予算確保に努めてきたと話しました。
そして、2026年度の概算要求に向けては、一般財源と国際観光旅客税の双方を確実に確保したいとし、観光立国推進基本計画に基づく政策の実施に必要な予算の確保を最重要課題と位置づけていると述べました。
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アウトバウンド施策について
2025年7月の海外旅行者数は120万5,500人で、前年同月比14.9%増となりました。しかし、コロナ前2019年と比べると、回復率は約7割にとどまっています。
これに対し長官は、国民の海外旅行への機運醸成や若者の国際交流促進、海外旅行をしやすい環境・体制の整備が必要であるとし、外務省や日本旅行業協会(JATA)と連携した「もっと!海外へ宣言」に基づく施策や、海外教育旅行プログラムの開発などを進めていると述べました。
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