9月の大阪インバウンド訪問数は過去最高 溝畑理事長、大阪・関西万博に手応え【大阪観光局会見】

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公益財団法人大阪観光局は10月29日、定例会見を実施。大阪府の観光の概況や大阪・関西万博の総括などについて報告しました。

記者会見では、「万博おばあちゃん」の愛称で知られる山田外美代さんへの感謝状贈呈式も行われました。

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9月の大阪インバウンド訪問者数、単月として過去最高に

9月に大阪府を訪れた訪日客数は132万6,000人を記録し、単月として過去最高を更新しました。9月までの累計では1,700万人を超え、2024年を上回って推移しています。

なかでも、中国台湾を中心に東アジアが好調に推移し、9月は韓国中国インバウンド訪問者数が東京を上回りました。東南アジアにおいても、ベトナムインドなどを中心に順調に推移しています。

また溝畑氏は「特に大きな収穫」として、ヨーロッパ圏が非常に高い水準で推移している点を挙げ、背景に大阪・関西万博の影響もあったのではないかという認識を示しました。アメリカカナダについても、引き続き前年を上回る順調な推移を見せていると話しました。

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大阪・関西万博における観光局の取り組み

溝畑氏は、これまで交流がなかった国と対話できたことや、リアルな交流により多くのネットワークを築けたことが大きな財産になったと振り返り、万博における観光局の取り組みについても紹介しました。

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全国の魅力を発信 日本の観光を引っ張る存在目指して

溝畑氏は、大阪が「日本のハブ都市」として観光を引っ張る立場になるためには、大阪の来訪客に日本各地の魅力を発信していく必要があると語りました。

万博においては、温泉をはじめ、相撲、忍者、空手といった日本文化の発信や、SDGsに関する取り組みなどを実施し、その内容を紹介しました。

▲記者会見の様子:訪日ラボ撮影
▲記者会見の様子:訪日ラボ撮影

MICEの営業活動やネットワーク構築に注力

大阪は「日本No.1、アジア有数のMICE都市」を目指してMICEの誘致体制を強化しています。

溝畑氏は、MICEの開催にはネットワークとノウハウが必要なことから、万博を活用できたのは大きかったと振り返り、MICE開催に向けて一定の成果があったと述べました。

また、今回ネットワークを構築できた国の中でも、次回(2030年)の万博開催地となるサウジアラビアとの関係構築には特に力を入れたと話しました。サウジアラビアは、開催都市以外の都市の情報発信や自治体の連携に関心を寄せており、今回得られたノウハウや課題を共有していきたいと話しました。

関連記事:2030リヤド万博はどうなる?万博内サウジアラビア・ナショナルデーで開催された「サウジ・ビジョン2030フォーラム」を取材

万博来訪者の傾向を分析 大阪訪日客の4分の1が万博へ

会見では、大阪・関西万博来訪者の傾向分析が公表されました。同調査は、関西国際空港にて2025年5月および8月から9月にかけて実施され、大阪を訪れたインバウンド客約2,000人が対象となりました。

調査によると、関空から出国したインバウンド客のうち約24.9%が万博を訪れたと推計されています。

国籍別では訪問率に差が見られ、中国(15.6%)や韓国(17.3%)などは訪問率が低い一方、台湾(35.7%)や東南アジア(34.5%)、ヨーロッパ(30.8%)の訪問率は相対的に高かったと示されました。

また万博の開催が大阪訪問にどの程度影響したかを5段階で聞いた質問では、「5(とても影響があった)」が18.9%で、3〜5の合計は45.3%となりました。溝畑氏は、大阪・関西万博の開催がインバウンド客に対して影響を与えているという認識を示しました。

また他にも、1回目の訪問よりもリピーターの方が万博を訪問する割合が高いことや、万博来場者の方が、非来場者よりも府内を周遊する傾向があることが示されました。

※調査対象者には、万博関係者や万博における単発イベントの参加目的での訪日者も含まれると推定されるため、データを確認する際には留意が必要です。

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アフター万博、2030年に向けた取り組み

大阪では、2030年までの道のりを「HOP, STEP, JUMP」の3つの段階に分けており、万博後の取り組みをSTEPとして位置付け、アジアNo.1の国際観光文化都市に向けてさまざまな施策を進めています。会見では、今後の取り組みについて溝畑氏より説明がありました。

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「Connections Luxury Asia Pacific」開催決定 瀬戸内との連携も強化

大阪・関西万博の開催を契機として、2024年にはグラングリーン大阪の開業や高級ホテルの誘致などが行われました。なかでも、ラグジュアリートラベル商談イベント「Connections Luxury Asia Pacific」の大阪での開催決定は大きな成果だと強調しました。

また、IRの開業を見据えて、瀬戸内との連携を強化していると説明しました。具体例として、瀬戸内の海域を中心に航行する周遊船「guntû(ガンツウ)」が、8月に初めて大阪を含む特別航路を運航したことを挙げ、2030年には大阪を母港として瀬戸内を回る周遊コースを作成するために検討を進めていると述べました。

関連記事:大阪を富裕層インバウンドの「ハブ」に ラグジュアリートラベル商談イベント「Connections Luxury Asia Pacific」開催決定【会見レポート】

「地域社会との共生」で大阪が模範を示す

万博後に進めるべき重点施策の一つとして、溝畑氏は「SDGsの強力な推進が必要」と強調し、ダイバーシティやカーボンニュートラルの推進は必須であると述べました。

また、量から質への転換を目指すにあたって、富裕層向けのネットワークを強化するほか、観光客全体の満足度を向上させるために施策を実施すると語りました。

溝畑氏は、なかでも「大阪が模範を示す必要がある」柱として、オーバーツーリズム問題をはじめとする「地域社会との共生」を挙げました。受け入れ体制強化のほかに、地域住民を含めてしっかりと合意形成を行い、全員がWin-Winになるような関係性を作るために、これまで以上に努力する必要があるという考えを示しました。

万博おばあちゃんに感謝状贈呈「万博で感じたことを次につなげたい」 

会見では、「万博おばあちゃん」の愛称で知られる山田外美代さんへの感謝状贈呈式も行われました。

山田は、大阪・関西万博の開催期間全184日の皆勤賞を達成。5月には大阪・関西万博のPR大使に就任していました。

溝畑氏は、「万博おばあちゃんが184日間で出会った感動・交流・発見をレガシーとして国内外に発信していきたい」と述べ、「大阪・関西万博のため、日本のため、世界のためにフル稼働していただいたことに深く感謝申し上げたい」と伝え、感謝状を贈呈しました。

山田さんは、次の万博にもぜひ行きたいと意気込み、「大阪・関西万博で教わったこと、感じたことを次の万博へとつなげていきたい」と語りました。

▲贈呈式の様子:訪日ラボ撮影
▲贈呈式の様子:訪日ラボ撮影

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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