政府が2030年に「インバウンド6,000万人・消費額15兆円」という目標を掲げるなか、高い体験価値を提供して収益を上げるなどして、持続可能な観光地経営に取り組むことが求められています。その施策の一つとして、デジタルを含む新たな技術の活用が挙げられます。
そこで本記事では、内閣府が開催した「デジタルで拓く、地域のチカラ ~NFT・ドローン・イマーシブが実現する、 地域での新たな観光体験~」セミナーの内容をもとに、観光分野におけるNFT活用の可能性や活用事例を紹介します。
NFTとは?
NFT(Non-Fungible Token:非代替性トークン)とは、ブロックチェーン上で発行される改ざん不能なデジタルデータのことを指します。デジタルデータはこれまでコピーが容易で、オリジナルと複製との区別が困難でしたが、NFTでは改ざん不能なブロックチェーン技術によって「本物であること」が証明できます。NFTの特徴である唯一性によって、世界に一つだけのデジタルアイテムを所有できる点が魅力です。ブロックチェーン上に永続的に記録が残るため、デジタル上でも確かな保存価値を持ちます。
さらに、個人間で安全に取引できる二次流通(転売)が可能で、転売時に自動で元の制作者に一定の手数料が支払われる仕組みも組み込めます。SBT(Soul Bound Token)と呼ばれる譲渡・販売不可のトークンも発行可能です。
また、条件に応じた自動処理が可能で、たとえば人手を介さずに「特定のNFTを持つ人だけが閲覧可能なコンテンツ」を用意するなど、目的に応じてさまざまなサービスを構築できます。
NFTは2010年代後半からアートを中心に普及し、現在ではリアルなモノ・体験価値を、NFTを活用して展開する新たな可能性が検討されています。
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NFTは観光業・インバウンド対策にも活用できる?そのメリット・目的とは
体験や地域資源をデジタル上に可視化し、唯一の思い出として残せることから、NFTは観光分野との親和性が高い新技術としても注目されています。NFTの観光における活用目的・メリットとしては、主に「売上・利益の向上」と「地域のファン獲得」の2つに分類できます。ここでは各目的について、セミナーで示された仮説の活用モデルを交えながら紹介します。
1. NFTで売上・利益の向上
NFTと希少性の高い地域資源や体験を紐づけて提供することで、単なる物販にとどまらない付加価値を生み出し、売上・利益の向上につながります。NFTの購入による売上だけでなく、二次流通によるロイヤリティ(手数料)の獲得も期待できます。特に、売上・利益向上の活用モデルと相性が良いとされるのが「お酒」です。たとえば「酒蔵ツーリズム」において、酒蔵見学や限定酒の販売など、希少な体験とNFTを組み合わせることで、購入者は「限定体験への参加権」や「デジタル証明付きボトル」を得られるといったモデルが考えられます。
酒蔵ツーリズムは多様なインバウンド層に訴求できる可能性がありますが、なかでも日本酒のコアファンや富裕層をターゲットに「高付加価値・高価格・限定数」のNFTを設計することが有効です。
関連記事:酒蔵ツーリズムとは | 見学や試飲・日本全国の事例・インバウンド対策
2. NFTを契機に地域のファンを獲得
地域での体験に紐づいたNFTを販売・配布し、NFTの保有によるインセンティブを付与することで、再訪を促せます。この仕組みは、たとえば温泉地との相性が良いと考えられています。これまで、温泉地では宿泊中心で地域全体を巡る機会が少ないという課題がありました。これに対し、地域の食文化と温泉体験を掛け合わせ、NFTで可視化・記録することで、周遊意欲を喚起する効果が期待されています。
具体的には、温泉街を巡りながらNFTを収集し、一定数を集めるとクーポンや新しい体験機会が得られるような仕組みが考えられており、すでに国内外ではイベント開催時にスタンプラリー形式で活用されています。
一方で、旅行者が利用したことのないサービスや、特定の旅先でしか使えないサービスに対するハードルの高さも指摘されています。
利用者の周遊の面でも、サービス導入障壁の面でも、広域での連携を実現できるかが重要だといえます。
関連記事:【食×旅】ガストロノミーツーリズムとは?魅力と効果、事例を紹介
NFTの活用事例3選
観光にNFTを取り入れる取り組みは、すでに国内外で導入が進んでいます。ここでは、インバウンド誘客や体験価値向上に寄与した3つの事例を紹介します。
1. 大阪・関西万博:ミャクミャクとの写真撮影券をNFT化
大阪・関西万博では、公式キャラクター「ミャクミャク」との写真撮影をNFTチケット(SBT:Soulbound Token)として発行。EXPO2025デジタルウォレットのアプリを通じて抽選が行われ、来場者がスマートフォンから予約・取得できる仕組みを導入しました。わずか30枠に対して1日5,000件以上の応募が集まる人気コンテンツとなり、NFTを活用した非転売型の体験チケットとして高い評価を得ました。デジタルウォレットアプリは展覧会終了後も継続利用され、地域観光連携や交通サービスにも応用が広がっています。
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2. 奈良の酒蔵めぐり:奈良酒NFTキャンペーン
奈良県では、県内の酒蔵を巡るスタンプラリー型の「奈良酒NFTキャンペーン」を実施。各酒蔵の日本酒ラベルをNFT(SBT)として配布し、訪問者がNFTを集めると、同デザインの缶バッジや店舗限定サービスを受けられる仕組みです。数千人がコンプリートを達成し、NFT収集とリアル体験が連動することで、地域回遊と購買意欲を高める事例となりました。
3. NFTでインバウンド誘客:BREW MY SAKE@SADO
新潟県・佐渡島では、海外の日本文化ファンを対象に「自分だけの日本酒を醸す」体験型プログラムを展開。廃校を再生した酒蔵で、杜氏とともに酒造りを行い、参加証としてNFTを発行しました。この続きから読める内容
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