- ヒンドゥー教、イスラム教など宗教への理解が必要
- ハイシーズンは4月と5月
- 団体ツアーの需要もあり
インバウンドにおけるインド市場の特徴とは
訪日インド人数は2019年には約18万人で、2023年には約17万人でした。2023年、訪日インド人は一人あたり23万1,049円を訪日旅行時に使っています。訪日インド人のインバウンド市場で特筆すべき点は「ヒンドゥー教、イスラム教など宗教への理解が必要」「ハイシーズンは4月と5月」「訪日旅行の一般化」の3つです。それぞれ詳しく解説していきます。
訪日インド人インバウンド市場、3つの特徴を解説
1. ヒンドゥー教、イスラム教など宗教への理解が必要
世界一の人口を持つインドですが、人口の約8割がヒンドゥー教を信仰しています。また残りの2割のうち多くはイスラム教徒が占めていますが、そのほかにも多様な宗教を信仰するインド人がいます。それぞれの宗教ごとに、礼拝の有無・頻度や、口にすることのできない食べ物なども異なってきます。インド人向けのインバウンド対策に着手する場合には、こうした宗教に対する基礎的な理解を深めておくことが重要です。
2. ハイシーズンは4月と5月
コロナ前の2019年までの傾向では、訪日インド人が最も増加するのは4~5月を中心とする春季でした。日本のインバウンドの全国籍的な傾向と同じく、いわゆる日本の桜の時期といえる春季に、訪日インド人の人気も集まっています。2023年もおおむね同じような傾向となりました。インド人向けのインバウンド施策を打つ場合には、インバウンド全体が盛り上がりを見せるこの春季に実施するのがよいでしょう。
3. 団体ツアーの需要もあり
東南アジアの主要国の場合と同様、観光・レジャー目的で訪れる訪日インド人については、団体ツアーの需要が一定程度見込めます。2023年第3四半期(7〜9月期)のデータでは、観光・レジャー目的で訪日したインド人のうち18.4%が団体客でした。コロナ禍の日本の観光業界において、個人旅行以上に団体旅行は「消滅」してしまっていたため、団体客を受け入れるための設備やノウハウが失われている現状もあります。訪日インド人を受け入れるためには、団体客の受け入れ態勢立て直しも視野に入れると有効でしょう。
インド人の特徴
インド人の性格・国民性
インド人の性格・国民性には、一般的に以下のような特徴があるといわれています。
- 話好きである
- インド人は基本的に話好きです。気さくでフレンドリーな国民性であるということができます。
- 楽天的
- インド人は基本的にものごとを深くまで考えません。
- 派手な色を好む
- 民族衣装などを見るとわかりますが、インド人は派手でゴージャスな色を好みます
- 他人のプライベートに関して興味を持つ
- インド人は、他の人のプライベートな話を根掘り葉掘り聞いてくる傾向があります。親しい親しくない関係なく他人に対して興味を持ちます。
- 時間にルーズである
- インド人は基本的にマイペースであり、時間をあまり守らない傾向にあります。
- 自分の非を認めない
- インド人はミスを起こした場合に、他人のせいにする傾向があります。
インド人と接するうえで気を付けておきたいマナー
インド人と接する際には、基本的に以下のことに気を付けましょう。
- インドでは肌を露出する習慣がないため、ノースリーブやショートパンツなどの服装は控える
- 左手は不浄の手をされているので、握手する際などは右手を使う
- 失礼にあたるため、人を指で刺してはいけない
- 腕を組んだりポケットに手を入れた状態で会話しない
- パーソナルスペースが近い民族であるためなるべく近い距離で会話したほうが良い
- 牛は神聖視されているため牛肉を食べることは基本的にNG
インド人の親日度・日本語学習者数
電通「ジャパンブランド調査」によると、インドは2018年時点で「親日度ランキング」全20か国のうち9位となっており、高い親日度を持っていることが分かります。(*1) 国際交流基金「海外日本語教育機関調査」によると、インドには2015年時点で184校の日本語教育機関と655人の日本語講師が存在し、24,011人が日本語を学習しています。(*2)
<参照>
(*1)電通 チーム・クールジャパン「ジャパンブランド調査2019」 (*2)国際交流基金 2015年度 海外日本語教育機関調査
インド人のスマホ事情:人気の機種やSNSは?
インドはAndroidがiOSより人気で、約91%のシェアを持っています。iPhoneの普及率は著しく低く、フィーチャーフォン(いわゆるガラケー)と合わせて「その他」の中に入っています。スマートフォン使用率も40%であることから、多くのインド人は今でもフィーチャーフォンを使用しているようです。人気のSNSアプリはiOS・Android共にWhatsAppがランクインしています。また、TelegramもAndroidの第3位にランクインしており、インド独自のSNSアプリは少ないようです。
2023年・2024年 インドの祝日カレンダー
2023年 | 2024年 | |
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共和国記念日 | 1月26日 | 1月26日 |
ホーリー祭(水掛け祭り) | 3月8日 | 3月25日 |
ラム・ナバミ(ヒンドゥー教ラーマ神誕生祭) | 3月30日 | 4月17日 |
ジャイナ教マハビラ誕生日 | 4月4日 | 4月21日 |
聖金曜日 | 4月7日 | 3月29日 |
イドゥル・フィトリ(イスラム教断食明け祭) | 4月22日 | 4月11日 |
ブッダ・プルニマ(釈迦誕生日) | 5月5日 | 5月23日 |
イドゥル・アドハ(イスラム教犠牲祭) | 6月29日 | 6月17日 |
ムハラム(イスラム教新年) | 7月29日 | 7月17日 |
独立記念日 | 8月15日 | 8月15日 |
ジャンマシュタミー(ヒンドゥー教クリシュナ神生誕日) | 9月7日 | 8月26日 |
イスラム教モハメッド誕生日 | 9月28日 | 9月16日 |
マハトマ・ガンジー誕生日 | 10月2日 | 10月2日 |
ヒンドゥー教ダシェラ祭 | 10月24日 | 10月12日 |
ディワリ(ヒンドゥー教新年祭) | 10月24日 | 10月31日 |
シーク教ナナック誕生日 | 11月27日 | 11月15日 |
クリスマス | 12月25日 | 12月25日 |
インドの歴史
11世紀から14世紀にかけて、インドではイスラム系の王朝が乱立します。1526年、ムガル帝国が成立すると3代皇帝アクバルはイスラム教とヒンドゥー教の融和を図ります。5代目のシャー・ジャハーンの時代に王国は最盛期を迎え、この時期にタージ・マハルが建設されます。18世紀までムガル帝国はインド全域を支配していましたが、その後、求心力を失いインドには多くの地方政権が乱立する状態になってしまいました。
その後、東インド会社を設立したイギリスがインドに興味を持ち、各地の政権を次々と服従させていくことで、インドの統治領域を広めていきます。このとき、ヒンドゥー教とイスラム教の地域を分割して統治したことで、のちのちパキスタンが分離独立する要因となってしまいます。
第一次・二次世界大戦中もイギリスに対する不満は消えず、頻繁に反乱がおこります。戦後にイギリスはインドを放棄。1947年には現在のインドが独立します。
その後、パキスタンやセイロン(スリランカ)が独立し、イギリスの植民地支配は完全に終わりを告げることになります。しかし、カシミール問題やカースト制など、インドには今現在でも多くの歴史的課題を抱えています。
インド宗教観
インド人の大多数はヒンドゥー教を信仰しています。2011年の統計によると、国民の79.8%がヒンドゥー教徒であったとのこと。ヒンドゥー教と次に多くのインド人に信仰されている宗教は、イスラム教です。インド人のうち14.2%がイスラム教徒です。その他には数こそ少ないですが、インド人の中にはキリスト教徒や仏教とも存在しているようです。
<参照>
- First Post:India has 79.8% Hindus, 14.2% Muslims, says 2011 census data on religion
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