- 訪日インド人の約82%が男性
- ハイシーズンは4月と5月、春先に集中
- 一般庶民にも手が届くようになった訪日旅行
インバウンドにおけるインド市場の特徴とは
2019年の訪日インド人は17万人を超え、2014年と比較すると約2倍に増加しています。2019年、訪日インド人は一人あたり157,244円を訪日旅行時に使いました。2018年に訪日したインド人を年齢・性別ごとに見てみると、男性は30代、女性は20代が大きな割合を占めています。また、訪日インド人のインバウンド市場で特筆すべき点は「男女差に極端な隔たりがある」「ハイシーズンは4月と5月」「訪日旅行の一般化」の3つです。それぞれ詳しく解説していきます。
訪日インド人インバウンド市場、3つの特徴を解説
1. 訪日インド人の約82%が男性
2019年の訪日インド人は、全体のうち約82%が男性でした。インドは男女の身分差に未だ大きく隔たりの残る国であり、女性の社会進出も各先進国と比較するとまだまだ進んでいません。そのため、海外旅行をするインド人もその多くは男性となっているようです。多くの女性は家族旅行などで日本に来る傾向があるとも言えます。なお、年齢層で見てみると20代と30代が全体の約60%を占めており、日本への旅行は若年層を中心に広がっているようです。
2. ハイシーズンは4月と5月、春先に集中
訪日インド人数を月別に見てみると、2019年は5月に最も多くのインド人が訪日しています。2019年5月の訪日インド人は19,914人で、次に人気のあった4月の18,376人と合わせると2019年度訪日インド人全体の約22%が4月と5月に集中していることが分かります。インドは基本的に四季が無く、日本の春の温暖な気候を花見と共に体験しに来るインド人が多く存在するようです。インバウンド対策をする場合、4月と5月に集中してインド人向けのインバウンド対策を行うことが望ましいでしょう。
3. 一般庶民にも手が届くようになった訪日旅行
訪日インド人は2019年、全体で約277億円を消費しました。一人あたり消費額は157,244円となっており、ここ6年間一人あたり消費額は伸び悩んでいるものの、全体としての消費額は順調に増加しています。これは以前より多くのインド人が日本に来るようになったことを示しており、インドは電通チームクールジャパン調査による親日度ランキング第9位の国ということもあり多くのインド人が日本に親近感を持ち、特に若年層を中心に旅行に訪れています。市場は今後も拡大していく見込みがあるため、インド人に向けたインバウンド関連のプロモーションなどは今後も積極的に行うべきだと言えるでしょう。
インド人の特徴
インド人の性格・国民性
インド人の性格・国民性には、一般的に以下のような特徴があるといわれています。
- 話好きである
- インド人は基本的に話好きです。気さくでフレンドリーな国民性であるということができます。
- 楽天的
- インド人は基本的にものごとを深くまで考えません。
- 派手な色を好む
- 民族衣装などを見るとわかりますが、インド人は派手でゴージャスな色を好みます
- 他人のプライベートに関して興味を持つ
- インド人は、他の人のプライベートな話を根掘り葉掘り聞いてくる傾向があります。親しい親しくない関係なく他人に対して興味を持ちます。
- 時間にルーズである
- インド人は基本的にマイペースであり、時間をあまり守らない傾向にあります。
- 自分の非を認めない
- インド人はミスを起こした場合に、他人のせいにする傾向があります。
インド人と接するうえで気を付けておきたいマナー
インド人と接する際には、基本的に以下のことに気を付けましょう。
- インドでは肌を露出する習慣がないため、ノースリーブやショートパンツなどの服装は控える
- 左手は不浄の手をされているので、握手する際などは右手を使う
- 失礼にあたるため、人を指で刺してはいけない
- 腕を組んだりポケットに手を入れた状態で会話しない
- パーソナルスペースが近い民族であるためなるべく近い距離で会話したほうが良い
- 牛は神聖視されているため牛肉を食べることは基本的にNG
インド人の親日度・日本語学習者数
電通「ジャパンブランド調査」によると、インドは2018年時点で「親日度ランキング」全20か国のうち9位となっており、高い親日度を持っていることが分かります。(*1) 国際交流基金「海外日本語教育機関調査」によると、インドには2015年時点で184校の日本語教育機関と655人の日本語講師が存在し、24,011人が日本語を学習しています。(*2)
<参照>
(*1)電通 チーム・クールジャパン「ジャパンブランド調査2019」 (*2)国際交流基金 2015年度 海外日本語教育機関調査
インド人のスマホ事情:人気の機種やSNSは?
インドはAndroidがiOSより人気で、約91%のシェアを持っています。iPhoneの普及率は著しく低く、フィーチャーフォン(いわゆるガラケー)と合わせて「その他」の中に入っています。スマートフォン使用率も40%であることから、多くのインド人は今でもフィーチャーフォンを使用しているようです。人気のSNSアプリはiOS・Android共にWhatsAppがランクインしています。また、TelegramもAndroidの第3位にランクインしており、インド独自のSNSアプリは少ないようです。
インドのイベント・祝日カレンダー(2019年・2020年)
2019年 | 2020年 | |
---|---|---|
共和国記念日 | 1月26日(日) | 1月26日(火) |
マハビラ生誕日 | 4月6日(月) | 4月25日(日) |
勤労感謝の日 | 5月1日(金) | 5月1日(土) |
釈迦誕生日 | 5月7日(木) | 5月26日(水) |
独立記念日 | 8月15日(土) | 8月15日(日) |
マハトマ・ガンジー生誕日 | 10月2日(金) | 10月2日(土) |
ダシャラー祭 | 10月25日(日) | 10月15日(金) |
ディーワーリー(光の祭典) | 11月14日(土) | 11月4日(木) |
ナナック生誕日 | 11月30日(月) | 11月18日(木) |
インドの歴史
11世紀から14世紀にかけて、インドではイスラム系の王朝が乱立します。1526年、ムガル帝国が成立すると3代皇帝アクバルはイスラム教とヒンドゥー教の融和を図ります。5代目のシャー・ジャハーンの時代に王国は最盛期を迎え、この時期にタージ・マハルが建設されます。18世紀までムガル帝国はインド全域を支配していましたが、その後、求心力を失いインドには多くの地方政権が乱立する状態になってしまいました。
その後、東インド会社を設立したイギリスがインドに興味を持ち、各地の政権を次々と服従させていくことで、インドの統治領域を広めていきます。このとき、ヒンドゥー教とイスラム教の地域を分割して統治したことで、のちのちパキスタンが分離独立する要因となってしまいます。第一次・二次世界大戦中もイギリスに対する不満は消えず、頻繁に反乱がおこります。戦後にイギリスはインドを放棄。1947年には現在のインドが独立します。その後、パキスタンやセイロン(スリランカ)が独立し、イギリスの植民地支配は完全に終わりを告げることになります。しかし、カシミール問題やカースト制など、インドには今現在でも多くの歴史的課題を抱えています。
インド宗教観
インド人の大多数はヒンドゥー教を信仰しています。2011年の統計によると、国民の79.8%がヒンドゥー教徒であったとのこと。ヒンドゥー教と次に多くのインド人に信仰されている宗教は、イスラム教です。インド人のうち14.2%がイスラム教徒です。その他には数こそ少ないですが、インド人の中にはキリスト教徒や仏教とも存在しているようです。
<参照>
- First Post:India has 79.8% Hindus, 14.2% Muslims, says 2011 census data on religion