- 訪日フィリピン人のハイシーズンは4月と12月、春と冬が人気
- 競合旅行先は東アジア諸国
- 技能実習生の多さはインバウンドにも好影響
インバウンドにおけるフィリピン市場の特徴とは
訪日フィリピン人数は2019年には約61万人でしたが、2023年には約62万人でした。2023年、訪日フィリピン人は一人あたり18万508円を訪日旅行時に使っています。訪日フィリピン人のインバウンド市場で特筆すべき点は「ハイシーズンは4月と12月」「旅行先としての東アジアの人気」「VFR需要の高さ」の3つです。それぞれ詳しく解説していきます。
訪日フィリピン人インバウンド市場、3つの特徴を解説
1. 訪日フィリピン人のハイシーズンは4月と12月、春と冬が人気
コロナ前は、4月と12月に最も多くのフィリピン人が訪日していました。桜の時期が人気であるほか、雪や温泉といった日本の冬に魅力を感じるフィリピン人が多いようです。2023年もおおむね同じような傾向となっています。フィリピン人向けのインバウンド対策は、4月と12月に重点を置いて実施することも効果的であるといえます。
2. 競合旅行先は東アジア諸国
東南アジア諸国の傾向として、隣接する国が旅行先として人気を集める傾向があります。これは、陸路で行き来できる隣国への旅行ならば、交通費を抑えることができるからです。しかし島国であるフィリピンにはこの傾向はあてはまりません。そのため、フィリピン人に人気の旅行先は、中国や香港など東アジアの国々となっています。フィリピン人に向けたプロモーションを行う際には、他の東アジア諸国との差別化を意識して、日本ならではの魅力を前面にアピールしていくことが重要になりそうです。
3. 技能実習生の多さはインバウンドにも好影響
法務省の2023年6月末時点のデータによると、技能実習生として暮らす在留フィリピン人は約3万人であり、これは全国籍中4番目の多さです。観光庁が発表している訪日外国人消費動向調査で訪日フィリピン人の「全目的(※すべての訪日目的)」を見ると滞在期間が比較的長くなっていますが、これは技能実習生として在留している外国人の数が反映されているためです。
また在留フィリピン人数が多いということは、それだけ彼らの親族や友人が日本を訪れる需要、いわゆるVFR(Visit Friends and Relatives)の需要もありそうです。訪日フィリピン人に向けてプロモーションを行う際には、技能実習生として暮らす在留フィリピン人の存在を意識するのも効果的といえそうです。
フィリピン人の特徴
フィリピン人の性格・国民性
フィリピン人の性格・国民性には、一般的に以下のような特徴があるといわれています。
- 話好きである
- フィリピン人は基本的に話好きです。コミュニケーションは挨拶から始めましょう。
- 楽天的
- フィリピン人は基本的にものごとを深くまで考えません。ユーモアがあり、元気な人が多いです。
- 家族を大切にする
- キリスト教徒が多いフィリピンでは「家族」という存在は特別なものです。
- 時間にルーズである
- フィリピン人は基本的にマイペースであり、時間をあまり守らない傾向にあります。
<参照>
- 明石書店出版:大野拓司・鈴木伸隆・日下渉著「フィリピンを知るための64章」
フィリピン人と接するうえで気を付けておきたいマナー
フィリピン人と接する際には以下のことに注意しましょう。
- プライドを傷つける行為であるため、人前で怒らない
- マルチタスクが苦手な傾向にあるので、一度に多くのことを要求しない
- 食事の際は右手にスプーン、左手にフォークを持つようにする
- 食事の際に左手を使っていない場合は、左手はテーブルの下の膝の上に置く
- 食事中には音をたてないようにする
<参照>
- 明石書店出版:大野拓司・鈴木伸隆・日下渉著「フィリピンを知るための64章」
フィリピン人の親日度・日本語学習者数
電通「ジャパンブランド調査」によると、フィリピンは2019年時点で「親日度ランキング」全20か国のうち同率4位となっており、特に高い親日度を持っていることが分かります。(*1)
国際交流基金「海外日本語教育機関調査」によると、フィリピンには2015年時点で209校の日本語教育機関と721人の日本語講師が存在し、50,038人が日本語を学習しています。(*2)
<参照>
(*1)電通 チーム・クールジャパン「ジャパンブランド調査2019」 (*2)国際交流基金 2015年度 海外日本語教育機関調査
フィリピン人のスマホ事情:人気の機種やSNSは?
フィリピンはAndroidがiOSより人気で、約83%のシェアを持っています。フィリピンの平均月収は303.46米ドルとなっており、100米ドル程度から購入できる手頃なAndroidスマートフォンが人気のようです。
人気のSNSアプリはiOS・Android共にFacebook Messengerがランクインしています。また、iOSで第3位にランクインしているViberは、日本・楽天株式会社が展開しているチャットアプリで、インド、アメリカ、ロシアなどの国で多くのユーザーを持っています。
2023年・2024年 フィリピンの祝日カレンダー
2023年 | 2024年 | |
---|---|---|
元日 | 1月1日 | 1月1日 |
中国旧正月 | 1月22日 | 2月10日 |
エドサ革命記念日 | 2月25日 | 2月25日 |
聖木曜日 | 4月6日 | 3月28日 |
聖金曜日 | 4月7日 | 3月29日 |
聖土曜日 | 4月8日 | 3月30日 |
勇者の日 | 4月9日 | 4月9日 |
イドゥル・フィトリ(イスラム教断食明け祭) | 4月21日〜4月22日 | 4月10日〜4月11日 |
メーデー | 5月1日 | 5月1日 |
独立記念日 | 6月12日 | 6月12日 |
イドゥル・アドハ(イスラム犠牲祭) | 6月28日 | 6月16日 |
ニノイ・アキノ記念日 | 8月21日 | 8月21日 |
英雄の日 | 8月28日 | 8月26日 |
万聖節(諸聖人の日) | 11月1日 | 11月1日 |
死者の日 | 11月2日 | 11月2日 |
ボニファシオ生誕記念日 | 11月30日 | 11月30日 |
聖母マリアの日 | 12月8日 | 12月8日 |
特別休日(クリスマスイブ) | 12月24日 | 12月24日 |
クリスマス | 12月25日 | 12月25日 |
リサール記念日 | 12月30日 | 12月30日 |
大晦日 | 12月31日 | 12月31日 |
フィリピンの歴史
14世紀ごろ、中国や東南アジア、インド、中東で海上貿易を営んでいたイスラム系商人がフィリピンを訪れていたことから、フィリピンではイスラム教が広まります。同時期にはイスラム王国がいくつか誕生しており、フィリピンのルーツはイスラム教であるともいえるでしょう。
1521年にフェルディナンド・マゼランがスペイン海軍を率いてフィリピンにやってきます。キリスト教への改宗やスペインへの服従を求められたことで、フィリピンとスペインは戦争に突入します。結果、フィリピンは敗北し、長い間スペインの支配下に置かれることになります。
状況が変わったのは、アメリカ・スペイン戦争です。19世紀、キューバでスペインともめていたアメリカは、フィリピンにアメリカに協力することで独立の協力を約束しました。その後、スペインに勝利したアメリカは、フィリピンの期待を裏切ります。結果、独立を逃したフィリピンはアメリカの支配下に入ることになります。
太平洋戦争時には日本がフィリピンにおいて主導権を握りますが、これも長くは続かず。1945年に日本が太平洋戦争に敗北し、フィリピンから撤退すると、マニュエル・ロハスが大統領となりフィリピンに共和国が成立しました。
このようにフィリピンは、スペインやアメリカとは歴史的に深いかかわりを持っており、言語や慣習など、現在でもその影響は色濃く残っています。
<参照>
- 明石書店出版:大野拓司・鈴木伸隆・日下渉著「フィリピンを知るための64章」
フィリピン宗教観
フィリピンの人口の約90%はキリスト教徒であり、イスラム教徒が占める割合は5%から10%となっています。
スペインの植民地時代にキリスト教が広まったのがきっかけとなり、町の至る場所に教会があったり、都市部に住む人たちでさえミサの儀式を欠かさなかったりと、キリスト教はフィリピン社会で重要な役割を果たしています。
一方、イスラム教は主にフィリピンの南部に多くの信者を抱えています。先述の通り、イスラム教徒はフィリピンの人口の10%未満となっていますが、大統領令によって毎年断食明けの祭りが祝日として定められていたり、ムスリムのみが離婚のみならず、最大4人までの妻帯が認められていたりと、ある種の特権が与えられているようです。
<参照>
- 明石書店出版:大野拓司・鈴木伸隆・日下渉著「フィリピンを知るための64章」
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